2016年3月12日土曜日

マネー・ショート 華麗なる大逆転


The Big Short
2015/米 上映時間130分
監督:アダム・マッケイ
脚本:チャールズ・ランドルフ
アダム・マッケイ
製作:ブラッド・ピット
デデ・ガードナー 他
製作総指揮:ルイズ・ロズナー=マイヤー
ケビン・メシック
撮影:バリー・アクロイド
編集:ハンク・コーウィン
原作:マイケル・ルイス

キャスト:クリスチャン・ベール
スティーブ・カレル 他

85点




"見たいものしか見えない"





たまにワールド・ビジネス・サテライトをぼんやり観ているからきっと大丈夫だろうと思い観に行くと、やっぱり台詞のほとんどが理解できませんでした。

でもそれが狙いなのかも。
つまり、冒頭のマーク・トゥエインの引用が物語っています。

”やっかいなのは、何も知らないことではない。実際は知らないのに、知っていると思い込んでいることだ。”








劇中ほぼ全てのシーンで専門用語が飛び交い、頭はフル回転。
しかし、フル回転させたところで、基礎の知識もないため理解はできない。
最低限、語られるそれらを物語的な何かとして、文脈で類推するしかない。

よって、映画をしっかり能動的に観ている分には上映時間中全く退屈しません。
そして、物語の最後にあたる未曾有の大事件、リーマンショックは世界中誰もが知ってて当然の常識のため、そこに向かう物語として観ていればとてもスリリング。

ただ、この分からせる気がない語り口が今作の肝なのかも。






言ってることは分からないのに、軽妙洒脱な語り口にほだされて気持ちよくなり、最後には現実を突きつけられ地獄に落とされ鳥肌する。
これは、当時の経済で甘い蜜を吸い、その果てに待つ破綻を無視し続けたあいつらの感覚を疑似体験させられている感覚なのかも。

監督はアダム・マッケイ。
『俺たちニュース・キャスター』シリーズのあの人ですよ。
そして、スティーブ・カレル。
彼がとにかく素晴らしい。
彼が出てくるシーンは全てピカイチで素晴らしいです。
白眉はベガスでの会食シーン。アダム・マッケイとの息もぴったり。
笑っ…ていいのか悪いのか。ゾっとしつつでも笑える。このバランス素晴らしい。
スティーブ・カレルが映画全体のトーンを決めていると言っても過言ではありません。






とにかく言いたいのはこれ。
この映画を観て、何も分かっていないのに分かってようなフリをすることほど愚かなことはないということ。


<あらすじ>
05年、ニューヨーク。金融トレーダーのマイケルは、住宅ローンを含む金融商品が債務不履行に陥る危険性を銀行家や政府に訴えるが、全く相手にされない。そこで「クレジット・デフォルト・スワップ」という金融取引でウォール街を出し抜く計画を立てる。そして08年、住宅ローンの破綻に端を発する市場崩壊の兆候が表れる。
映画.comより






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