2013年8月29日木曜日

ガッチャマン

2013/日本 上映時間113分
監督:佐藤東弥
脚本:渡辺雄介
製作:門屋大輔
柏木豊 他
製作総指揮:城朋子
佐藤直樹
原作:タツノコプロ

キャスト:松坂桃李 (大鷲の健)
綾野剛 (コンドルのジョー)
濱田龍巨 (燕の堪平)
剛力彩芽 (白鳥のジュン)
鈴木亮平 (みみずくの竜)


15点


”これでいいのか日本のヒーローよ"
アメコミヒーロー映画がハリウッドで大ブーム。しかも日本の十八番、特撮魂リスペクトの『パシフィック・リム』なんて観てしまったら、JAPANのヒーローにも期待してしまうのが人情と言うものじゃないですか。
本当に期待して観に行ったんですよ。嘘じゃないです、本当です。

確かに前評判は高くは無かったですよ。岸谷五朗の髪型とヒゲは違和感しかありませんでしたよ。
でも、もし面白かったらみんなに自慢出来るじゃないですか。

そして、期待と不安の混じった気持ちで観て参りました。
結果から言いますと、うーん、大爆発!!!!



荒廃=スプレーの落書きってもうやめましょうよ。ダサいから



冒頭の、未知の敵とやらに地球が破壊される描写を、ナレーションと字幕で済ますブサイクな演出の時点でもう首を捻ってたんですが、まあまあこれからこれからと姿勢を正して。
だけど、これが全ての始まりでした。

オープニングタイトル後、荒廃した中野の街並が登場するんですけど、街には他国から逃げて来た外国人で溢れていて『日本以外全部沈没』のような状態。
セットを頑張って作ったんでしょうね、褒めてと言わんばかりに意味もなくいろんな所を映しまくる。ただ、真っ昼間なのでチープさが際立ってます。うーん残念。

そこに、街の屋台で何かを食べている松坂桃李登場。なんでしょう、『ブレードランナー』のオマージュのつもりでしょうか。

そこに敵が突然攻めて来て戦闘が始まるんですけど、いつの間にか街並が新宿に変わってるんですよ。目の錯覚?

ただ、この戦闘シーンは観ていられましたよ。VFXがこの映画のウリらしいですからね。
でも、力とお金が尽きたのでしょう。残念ながら戦闘シーン、冒頭とラストにしかないんですよ。じゃあ他に何があるのか。
それは、がたがたの脚本によるただただ陳腐なドラマです。



めっちゃビルあるし



お話がとにかくがたがた。そして演出がとにかく陳腐。
『ガッチャマン』はダークヒーロー路線で行く、みたいな話は聞いてましたけど、『ダークナイト』でやってた、敵が捕まったのは実は作戦の内展開をもろパクリしているのには本当にあきれました。
007 スカイフォール』も『アベンジャーズ』もやってたからいいと思ったんでしょうか。
レベルが違うんだよレベルが。やるならちゃんとしてください。お願いしますよ本当。

そして本当に唐突に、何か戦う意味的なことを急に問いだすんですよ。
でも本当に急だから、事態の切迫感は全くないし、前半に割と楽しそうに戦ってたから、唐突に戦う意味を問われだしても頭のおかしい人達にしか見えないです。

そしたら今度は、鈴木亮平演じる”みみずくの竜”が、母親の身体が良くないから、除隊を考えてるみたいなことを突然言い出すんですよ。しかもその件はそれ以降触れられることはなく。

なんだか箇条書きみたいな脚本なんですよね。
台詞と台詞、シーンとシーンの繋がりがなくて、全てが点でしかないんですよ。すべてが事務的。これお話って言わないですよ。



敵のボスは元恋人



何が一番おかしいかって、中盤に明らかになるんですけど、敵のボスは、綾野剛演じる”コンドルのジョー”のかつての恋人だったと。しかも松坂桃李演じる”大鷲の健”も思いを寄せていて、三角関係であったと。
この3人の恋模様が物語の中心にあるんですよ。
もう邦画の病理ですよね。恋愛描写を入れれば若い女性が劇場に来ると思ってるんですもん。
元の原作にはこんな設定無いんですよ。今回の映画化での脚色ですよ。勘弁してくださいよ。
これだからテレビ局発の映画はダメだって言われるんですよ。



これを爆破するんです



三角関係の展開を入れちゃったもんだから、クライマックスは敵のボスを倒すか倒さないかで延々揉めるんですよ。しかもタイムリミットが6分しか無いって言っているのに。
倒した後も急ぐ様子は全く無く、延々なんか語り合ってるんです。何分経ってるの?
しかも戦闘の途中で、松坂桃李と綾野剛を除く3人はスクリーンから突然姿を消すわで、なんもなんとも言えない気持ちに。
クライマックスでこの体たらくですからあきれますよね。



スーツは良かったですよ



ここで強調しておきたいのは、役者さん達には全く罪は無いということです。
誰がやったって大火傷必須の企画なんですから。
というよりも、役者さん達の見せ場が全くないんですよ。

綾野剛は『クローズZERO2』で長い手足を活かして殺陣をやってたし、鈴木亮平は自慢の肉体があるし、剛力彩芽はダンスやってるんだから動けるはずだし。
なんでそれを活かさない。VFXがウリだかなんだか知らないですけど。

後、剛力さんがどうたらこうたら言ってるのをよく目にしますが、全くのお門違いじゃないですかね。むしろ、5人の中でアクションシーンは一番キビキビしてたと思います。
少なくとも、この映画の問題はその遥か以前かと。



『HK 変態仮面』を観よう!!



元々、三池崇監督に『科学忍者隊ガッチャマン』のオファーがあったんですけど、『ガッチャマン』を実写化するには、ダークナイト』を撮る予算と技量が必要になると断ったのだと。そして、同じタケノコプロでも、『ヤッターマン』なら勝機はあると監督を引受けたのだそうです。
つまり、そういうことです。

でも安心してください。
『ガッチャマン』がだめでも、日本には『変態仮面』という素敵なヒーローがいるんです。
ということで皆さん、『HK 変態仮面』を観ましょう!!!!

2013年8月24日土曜日

ワールド・ウォーZ (3D)

2013/アメリカ・イギリス 上映時間116分
監督:マーク・フォスター
脚本:マシュー・マイケル・カーナハン
ドリュー・ゴダード
デイモン・リンデロフ
製作:ブラッド・ピット
デデ・ガードナー 他
製作総指揮:デヴィット・エリソン
デイナ・ゴールドバーグ 他
原作:マイケル・ブルックス『WARLD WAR Z』

キャスト:ブラッド・ピット (ジェリー・レイン)
ミレイユ・イーノス (カリン・レイン)
ファナ・モコエナ (ティエリー)


70点


"走る!!襲う!!早い!!”
メディアではまったく宣伝されてないですけど、立派なゾンビ映画です。
『ゾンビ映画』だと宣伝をすると、お客さんが集まらなくなるのだと。なんだそりゃ。

TOHOシネマズ日劇へ観に行ってきたんですけど、お盆なのもあってか、千人近く入れる劇場がほぼ満員でした。
普段絶対『ゾンビ映画』なんて観なさそうな若い女性が何人も。
そういう意味では、宣伝は成功している、かも。
”ブラピが出てるゾンビ映画”で別にいいじゃないか。



どこからともなくゾンビが



予告を観る限りあんまり期待はしていなかったんですけど、観てみると意外とちゃんとしてる。おもしろい。
ゾンビがどこからともなく現れて、ブラピがどうにかするために右往左往するお話です。
ただ、ゾンビが早い、走る、群れて襲ってくる。
これがべらぼうに恐ろしや。



無秩序と化すスーパーマーケット


冒頭はスピルバーグ版『宇宙戦争』のように、大惨事に逃げ惑う家族のお話。
急に日常が壊れていくのは怖いもんです。

そして、ゾンビがとにかく群れる群れる。そんなにひとりぼっちが嫌なのか。なぜそんなに群れるのか。
しかも走る、猛ダッシュで走る。お正月の福男選びかってんだよ、まったく。

しかもしつこい。どこに行ってもやってくる。
ゾンビなんでね、いきなりやって来るんですよ。
ワンカットが長くて、不安をあおって、来るぞ来るぞと思ってたらほらやって来たよ。
ベタかっ、そんなの誰だってビックリするわ。俺の負けだわ。



人がゴミのようだ


群れるゾンビの真骨頂が、このイスラエルのシーンです。
奴ら目が見えないんで音に反応して襲ってくるんですけど、壁の中からイスラエルのお祈りが大音量で聞こえるもんだから我先に人間を襲おうとおしくらまんじゅう。
実に爽快で迫力満点スリル満点なシーンでして、人がゴミのようでした。



攻略のしかた、分かったぞ!


クライマックス、ゾンビへの対処法がなんとか分かり、WHOの研究所へ向かうんですけど、そこにもゾンビの姿が。
ただ、長い間人を襲ってないもんで動きが鈍い状態。
そーっと、音を立てずに奥の薬品が置いてある部屋までスニーキング。
さながらメタル・ギア・ソリッドのようでハラハラどきどき。うーん、親指立ちました。






さらっと書いてきましたけど、映画自体もさらっとしてて、描写自体は割と淡白でした。
グロい描写もほぼ無くて、正直もの足りず。
お話も小綺麗にはまとまっていますけど、今一弾けてない印象。
家族は安全な場所にいるし、ブラピ自体は万能キャラだから、あまりドラマでのハラハラはなかったです。
三部作構想らしいので、まあこのくらいでいいのかな。

いや、でもゾンビにはハラハラできました。
飛行機のシーンも良かったし。
それで十分満足。面白かった。

あと、3Dで観なくても問題なしかな!!

2013年8月22日木曜日

トゥ・ザ・ワンダー

2013/アメリカ 上映時間112分
監督・脚本:テレンス・マリック
製作:ニコラス・ゴンダ
サラ・グリーン
製作総指揮:グレン・バスナー
ジェイソン・グリークフェルト
ジョセフ・クリークフェルト
音楽:ハナン・タウンゼント

キャスト:ベン・アフレック (ニール)
オルガ・キュリレンコ (マリーナ)
レイチェル・マクアダムス (ジェーン)
ハビエル・バルデム (クインターナ神父)


50点


"理解できる日はくるのだろうか”
テレンス・マリック作品との初めての出会いは2年前の冬。
ブラット・ピットが出ていて、製作に関わっているという噂を聞いて劇場へ行った『ツリー・オブ・ライフ』でした。
でもそれは、ブラピ目当てで観に行った自分にとってあまりにも壮大で途方も無いもので、旧約聖書のヨハネのヨブ記から始まって、宇宙が出来て、地球が出来て、海が広がって、生命が生まれて、人間が誕生してと、ビッグユニバースなお話を、なんと一つの家族のお話に落とし込むんです。しかも全てが抽象的。
正直言って、とにかく、眠い・・・

これは多分、自分の読解力が足りないから眠くなるのだろうと長いこと思っていたんですけど、かの有名な映画評論の重鎮、蓮實重彦さんの評論を読むとこんなことが。


 テレンス・マリックの新作『ツリー・オブ・ライフ』は、その目にあまる「謙虚」さの欠如によって、見る側の「寛容」さへの最低限の敬意を装填しそびれており、ことによると映画の存在を肯定したのは人類が犯した最大の誤算ではないかと思わせかねない愚かで醜い作品である。
映画時評2009-2011 蓮實重彦 



こてんぱんに、完膚なきまでに叩きのめしておいででした。
眠いって感想で、良かったのかもしれない。

もちろん自分が蓮見先生と同意見などとはこれっぽっち思っておりませんで。
この映画を評価している人ももちろん沢山いますしね。
ただ、学んだことの一つは、自分の感想は自信を持ってしっかり持つべきだ!!と。

それでは、テレンス・マリック監督最新作、『トゥ・ザ・ワンダー』の感想を言いますと、ちょっと眠い。






この映画とても公開館数が少ないので、日比谷シャンテまで観に行って参りました。
お客さんの感じは、いかにもシャンテっぽい、こじゃれたダンディと奥様達。背筋をぴんと伸ばして鑑賞致しました。

家族と生命のお話が『ツリー・オブ・ライフ』だとしたら、『トゥ・ザ・ワンダー』は愛についてのお話。人生において愛とは何を意味するのか。それを、ある男女が出会ってから別れるまでの物語で語っていくんですけど、簡単に言うとこじんまりしたラブストーリーです。『ツリー・オブ・ライフ』に比べて取っ付きやすいお話ではありますね、お話は至ってシンプルでした。






冒頭のモンサンミッシェル周りの海の潮が満ちてくる場面は本当に惚れ惚れするくらい美しくて、二人の愛が満ちていく瞬間でもあるから溜め息ものでした。






テレンス・マリックの特徴として、照明を使わず、太陽の自然光を使って撮影をするんですけど、その効果で画面全体がほんわり暖かいんですよ。映画では中々ない逆光のシーンも多くそれもまた味わい深くて。
日が暮れかけた、一日の終わりのちょっと物寂しい雰囲気もとてもよかったです。

どのシーンを取っても絵画的に美しくて、これだけでも観に来た甲斐があったなと思いました。






お話は至ってシンプル、映像は綺麗、ただ、ただ、その語り口が抽象的すぎる。
冒頭のフランスのシーンこそ親指立ってましたけど、アメリカに移ってからは本当に、眠い。

なんていうんですかね、叙情的っていうんですかね。

正直、あんまり印象に残ってない。
美しい映像しか、記憶に無い。





お話自体はシンプル、『ツリー・オブ・ライフ』より断然分かりやすい。
だがしかし、『ツリー・オブ・ライフ』と比べると、なんです。

やっぱりシャンテ系はまだ早いと実感。
うーん、この映画を理解できる日は来るのでしょうか。

今現在の率直な感想でございます。

でも、主演のオルガ・キュリレンコは『オブリビオン』なんかより断然良かったです。

2013年8月20日火曜日

映画と尿意


今年の夏休みは大作映画が本当に多くて嬉しい悲鳴です。
しかもどれも面白いから困ったもんだ。どれを観ても当たりでこれまた嬉しい。

今日も試写会にて『マン・オブ・スティール』観て参りました。
アガる展開のつるべ打ちに鼻血が出そうになるくらい興奮いたしました。
はぁ、興奮。彼、本当にセクシーよ。思い出すだけで胸が苦しくなるの。

終止エキサイトしながらの鑑賞になるはずだったんです、尿意が無ければ。



冒頭から違和感はありました。こりゃ来るなと。
でも、そんな不安も気にならなくなるぐらいに、冒頭からトップギアで映画が盛り上がってくれてしばらく尿意を忘れられた、かのように見えて直ぐさまやって来た尿意
しかも、もう無視出来ないほどになって。


別に強制ではない。行きたくば行けばいいじゃないか。すっきりして観た方が安心だし、その方が集中できるじゃないか。

分かっているよそんなことは。トイレに行かないのはワンシーンたりとも見逃すまいとする自分の意地ですよ。
この、行こうと思えばいつでも行けることがさらに尿意を急き立てるんです。


しかもこの季節、劇場内の冷房がもの凄く効いててそれも尿意に拍車を掛ける。


膀胱はもうパンパン。映画に集中出来ない。これじゃ本末転倒だ。
しかしもう行かないと決めた。だってここまで耐えたのだから。


クライマックス。感動。迫り来る尿意
エンドロール。長い。早く。足をもぞもぞ。

開場明るくなる。急いで出る。人波。トイレへ駆け込む。


至福。至福。



先日観た『スター・トレック』でも全く同じ状態になってたんです。
その時も、右手には烏龍茶が。
利尿作用でもあるんですかね。

映画を観ている最中は当分、水分は取らないようにしようと心に決めました。



だらだらと本当にくだらないことを書いてしまいました。
でも、書いてみたらとてもすっきりしました。

おっと、うふふふ。

2013年8月17日土曜日

風立ちぬ

2013/日本 上映時間126分
監督・脚本・原作:宮崎駿
製作:奥田誠治
福山亮一
藤巻直哉
音楽:久石譲
主題歌:荒井由美『ひこうき雲』

キャスト:庵野秀明
瀧本美織
西島秀俊
西村雅彦
スティーブン・アルバート 他


80点


"いい風吹いてました”
宮崎駿最新作ってことで、数年振りのお祭りですよ。
なんせ前作が”さかなの子”ですから、これまた振り切ってる作品ですよね。
その分、大変いい風が吹いてました。本当に良かったです。

ちなみにジブリは好きですが、ファンと言えるほど詳しくはないです。






震災後初の作品になるので、監督なりの思いみたいなが入ったものになってるんだろうなと思ってたんですけど、予想に反して、もっとフラットで、より個人的な、小さなお話しで、震災を描いてる訳でもなく、戦争の時代を描いてるでもなく、一人の男が夢を叶えようとする話であり、その夢に孕んでいる残酷さのお話ではないでしょうか。
自分はそう感じました。



二郎の夢は、"美しい風のような飛行機”を造ることです。
でも、カプローニが夢の中で言ったように、飛行機は呪われた発明であり、二郎が生きる時代はその飛行機を使って戦争をしている時代です。
そんな時代に生きていながら、二郎はただ実直に、自分の夢を叶えようと生きています
機銃を乗せなければもっと軽くなるんだけどなぁ」なんて、戦闘機を設計している人間とは思えないような無邪気な発言をしたりも。



しかし、"美しい風のような飛行機”零戦を設計し、遂に夢を叶えた二郎を待っていたものは、日本の敗戦、飛行機の墓場、造った飛行機は一機も帰って来なかったという事実であり、二郎の言葉にあるように、地獄のような現実でした。
でも、そんな過酷な夢の中でずっと待っていてくれたのは菜緒子であり、それでも二郎に「生きて」と伝えるのです。

このラストシーンからの『ひこうき雲』は破壊力抜群でした。






二郎と菜緒子のささやかな生活も本当に良くて、お互いに時間が無いと分かっているからこそ添い遂げようとする2人の姿は気高くも思えて、胸に迫るものが。

急場しのぎの結婚式のシーンもグッときましたし、初夜のシーンも本当に良かったです。

そして菜緒子が黙って山奥の高原病院に戻っていき、黒川の奥さんの「美しいところだけ好きな人に見てもらったのね…」の台詞で涙腺決壊、号泣でした。






ジブリっぽくないと言われている作品ですが、主人公が、自分より先に相手に何かを分け与える描写でキャラクターの性格付けをする辺り、やっぱりジブリだなと感じたりも。
シベリアって何なんでしょ。


賛否両論らしいですけど、自分の目でしっかり確かめてください。
もし風が吹いたなら、自分の中で大切な一本にきっとなると思いますよ。



2013年8月16日金曜日

この空の花 -長岡花火物語

2012/日本 上映時間160分
監督:大林宣彦
脚本・撮影台本:長谷川孝治
大林宣彦
主題曲:久石譲

キャスト:松雪泰子 (遠藤玲子)
高嶋政宏 (片山健一)
原田夏希 (井上和歌子)
猪股南 (元木花)
寺島咲 (元木リリ子)
筧利夫 (松下吾郎) 他


100点


”この雨、痛いな!!"
ずっと前からこの映画の噂みたいなものを聞いていたんですよ。
この作品というより、大林宣彦監督作品はどれもアヴァンギャルドで、しかも年々それが増しているらしいと。この映画ではその"大林演出"が炸裂していると。

そんな噂を聞いてたので、なんだか観るのおっくうだなぐらいに思ってたんですけど、イクスピアリの映画館で一週間リバイバル上映されると聞いて、この期逃すまじと観て参りました。

混沌でした。カオスでした。涙が止まりませんでした。






のっけから噂の"大林演出"炸裂。
とにかく画面からの情報量が多い。多すぎる。
こっちに何かを考える隙を与えてくれない。ただただ受け身に映画に包まれてる感じ。

そうやってこの異様さに面食らっていると、本当に唐突なタイミングで松雪泰子の回想シーンになり、長髪のカツラを被った高嶋政宏が「この雨、痛いな!!!」とあまりに不自然な台詞を言った辺りから、もう考えるのは止めて、ただ圧倒されようと心に決めました。

演出が唐突、台詞が不自然、時系列はシャッフル。
当時の空襲についての紙芝居を読んでいると、回想シーンになって、それがそのまま劇中劇に繋がる、みたいな感じで、場面がシームレスに繋がってるんです。
しかも、その膨大な情報を補うように、なんと画面下にテロップが登場するんですよ。
長岡の花火を説明するシーンになると、台詞を補完するようにテロップが。
他にもいたるところで登場するテロップにいよいよ思考はオーバーヒート、くらくらです。






その混沌が極に達するのがクライマックスの劇中劇、「まだ戦争には間に合う」。
全てのシーン、台詞、回想、人物が登場して、もうめまいがするような映像と迫力で物語が結実するんです。
今まで絶えずオーバーヒートしてた思考は、もうただただ圧倒されるしかなくて、気が付いたらぽろぽろ涙を流してました。
お話で強く感情が揺さぶられるとかの類いではなくて、いたって心は冷静。落ち着いて観れてはいるんです。でも、涙が止まらない。なんでだ。自分は一体全体何に感動しているのかが分からない。
劇も終盤に向かって盛り上がり、久石譲の音楽も激しくなって、感情はもう飽和状態。そして物語の全てが一つになった瞬間に、無数の花火が夜空に。涙腺決壊。
訳が分からない。一輪車に乗った少女達が「さようならぁ、さようならぁ」「まだ戦争に間に合いますか」と叫び、筧利夫が踊り狂い、久石譲の音楽が流れ、大輪の花火が夜空に。そしてテロップで、

大団円


混沌ですよ。訳が分からない。でも、涙の量は増えるばかり。頭は至って落ち着いてるのに。








こんな映画もちろんこれまで観たこと無かったですし、これからも恐らく無いでしょう。そのくらい異様な映画体験でした。
こんな体験をさせてくれた映画ですから、自分の中では文句無しで満点です。こんな点数を付けること自体おこがましいことではありますが。

この映画で描かれているテーマ以上に、特殊な映画体験っていう意味で本当に沢山の人に観てもらいたい映画です。

長岡の花火は、空襲や地震で亡くなった人たちへの追悼の花火なのだそうです。
来年は絶対花火を見に長岡へ行こうと決意。

たまにはこんな真面目なこと書いたっていいでしょ。

2013年8月14日水曜日

スマイル、アゲイン

2013/アメリカ 上映時間105分
監督:ガブリエル・ムッチーノ
脚本:ロビー・フォックス
製作:ジェラルド・バトラー
ハイディ・ジョー・マーケル
ケビン・ミッシャー 他
製作総指揮:エド・カゼル三世
ボアズ・デヴィットソン 他
原題『Playing for keeps』

キャスト:ジェラルド・バトラー
ジェシカ・ビール
キャサリン・ゼタ=ジョーンズ
デニス・クエイド
ユマ・サーマン


30点


”感情をどこに持っていこうとしてるの?”
試写会にて鑑賞してきました。
まったくノーチェックの映画だったんで、当たりなら儲け物ぐらいの軽い気持ちで観たんですけど、とんでもない映画でした。
観終わった後誰かの首を絞めたくなるような映画ってあるじゃないですか、この映画、それです。



元サッカー選手なんだってさ



お話自体、もう何度観たことか分からないような家族再生物ですよ。
仕事をクビになって、それまで顧みなかった家族にも見放されて、全てを失った男が、どん底でやっと大切な物に気付くみたいな、そんな話ですよ。
何か思い当たる映画、ありますよね。それですよ、それ。

別にこのプロットが悪いと言っている訳では全くありません。
むしろ好きなお話です。『クレイマー、クレイマー』なんて大好きですし。
ちゃんと作ってあればどんなお話だろうが面白いんですよ。

では、この映画の何がいけないかと言いますと、ちゃんとしてないんですよ。



”雰囲気良さげ”な画を見せられてもね



まず、主人公に都合のいいことしかこの映画では起こらない。
彼、引退したサッカー選手なんですけど、それがきっかけで自分の息子が所属してるサッカーチームのコーチになるんですよ。
この展開になった時、この弱小チームを育てていく中で、子供達とぶつかり合いながら大会優勝を目指し、自信と家族との信頼を取り戻すのね、面白くなりそうかも!なんてことを考えたんですけど、全く葛藤も何も無いままサクサク強くなるチーム。

そしてこんどは所属してる子供達のママから言い寄られる主人公。ずぶずぶと関係を持つことに。
そんなママの一人と木陰でチュッチュチュッチュしているところを見てしまい怒る息子。
次の日、そんな息子を連れ出し、突然降り出した雨の中でサッカーの練習をする親子、仲直り。その光景を見て涙ぐむ前妻。
言葉にならないほどいいシーンでした。



さっきまでピーカンだったのに突然降り出す雨



言い寄って来たママの一人、キャサリン・ゼタ=ジョーンズのお膳立てでスポーツキャスターになれることになった主人公。
ご褒美をちょうだいと、キスをせがむゼタ=ジョーンズ。
やっぱり家族が大事だと断る主人公。
逃した魚は大きいわよ、と凄んでみせるゼタ=ジョーンズ。

このシーンがこの映画のダメさを全てを象徴してますよ。
主人公、劇中で悩み、葛藤してる風な雰囲気を漂わせて、それを感動的に演出してるようですけど、何も悩んで何かないですよ。
コーチやって上手くいって、ママ達から言い寄られて、キャスターの仕事も見つかって、って、それ全部向こうからやって来たラッキーでしかないから。

主人公が能動的に何か事を好転させないんです。ご都合主義的に周りが全てを解決してくれるんですよ。これに感情移入しろって言う方が難しいんじゃないですかね。
そんなもの観せられて、最後は家族再生ってなんだよそれ。
この監督は、観客の感情をどこに持っていくつもりだったんでしょうか。

こんなお話でも、観ている間周りからすすり泣く声が聞こえて来たからびっくりでした。
別に否定はしないですけど、もっといい映画あるから、そっちを観てー!!



ハートウォーミングな親子愛



この映画を観て思ったことは、今までダメだと思ってた映画は実はそんなに悪くないのではないかということ。
そういうことに気付かせてくれたという意味では、この映画を観た意義はあったということですね。ありがとう。


余談でございますが、試写会後、この映画への文句を肴に友人と晩酌をしていたのですが、帰りの終電間近の電車で携帯が無い事に気が付き、急いで来た道を戻るという、この映画よりよっぽどスリリングでサスペンスフルな出来事がありました。
日常にはこんなにもドラマチックな展開に溢れているんだなと実感した次第でございました。

2013年8月10日土曜日

パシフィック・リム(IMAX 3D)

2013/アメリカ 上映時間132分
監督:ギレルモ・デル・トロ
脚本:トラヴィス・ビーチャム
ギレルモ・デル・デルトロ
原案:トラヴィス・ビーチャム
製作:ジョン・ジャッシニ
メアリー・ペアレント
トーマス・タル
製作総指揮:カラム・グリーン

キャスト:チャーリー・ハナム(ローリー・ベケット)
菊池凛子(森マコ)
スタッカー・ペントコスト(イドリス・エルバ)
チャーリー・デイ(ニュートン・ガイズラー博士)
バーン・ゴーマン(ハーマン・ゴットリープ博士)


60点


"日本の心、それはKAIJU"
今夏の目玉映画の一つ、『パシフィック・リム』観てきましたよ。
怪獣映画ですよ、怪獣映画。もう興奮しますね。
『ウルトラマンティガ』『仮面ライダークウガ』を観て特撮、怪獣に触れてきた自分からするとワクワクですよ。というより、男だったらワクワクするでしょ。

監督はあの信頼出来る男、ギレルモ・デル・トロ
日本のオタク文化に精通した、根っからのギークな監督ですよ。
ということで彼の過去作、『パンズラビリンス』『ヘルボーイ』シリーズをしっかり確認して、期待値MAXの状態で観て参りましたよ。



シンクロ攻撃!!



時は2013年、突如太平洋から襲来した巨大怪獣に人類はなす術も無く、3つの都市が壊滅。怪獣に対してなんの対策も無いまま時間だけが無情にも過ぎる、訳ないじゃないですか。
ロボットしかないでしょ、ロボット!!と、対怪獣用のロボット『イェーガー』を開発。ただ、一人で操縦すると負担が大きいので、二人乗りにして負担を分散させることに。
右脳側、左脳側とそれぞれを各パイロットが担当するので、2人の結びつきが強いほど攻撃も強力になるんですよ。

ん!?

これ、なんか聞いた事ある設定だぞ。

うーん、『エヴァンゲリオン』じゃん!!!

そう、『エヴァ』じゃんと思った人、少なくないでしょう。自分もそう思ってました。

しかし!!
先月発売の『映画秘宝』でのギレルモ監督のインタビューを読んでみると、『エヴァ』はプロットを知っているぐらいで観た事はないんだ、と。
そして、今作は『エヴァ』ではなくて、『機動警察パトレイバー』に多大な影響を受けてるんだ!とおっしゃられていました。

『エヴァ』ではないんですね。

『ローン・レンジャー』を観た時、隣に座っていたカップルの彼氏の方。
彼女にいい顔したかったのか、予告を観て大声で、これエヴァのパクリなんだよぉ、と言っていましたね。反省しましょう。



このシーン最高


インタビューからも分かる通り、監督が好きなものを目一杯、愛情込めて詰め込んである映画でした。
まず、劇中の怪獣の呼び名が、「Monster」ではなくて、「KAIJU」なんですよ。愛ですよ、愛。嬉しいですよね。
冒頭の橋を破壊する怪獣登場シーンも、日本の特撮っぽくて親指立ちましたよ。個人的に『ガメラ3』を思い出したり。



パイロット。そして菊池凛子


個人的にロン・パールマンの登場はめちゃ嬉しかったです。ヘルボーイ!!
他にも、監督の怪獣映画に対する愛を感じられる場面は沢山あって、うきうき喜んではいたんですけど、いたんですけど、ちょっと気になる所がノイズになってしまって、素直に入り込めなかった場面が何カ所か。いや、結構ありまして。



ロン・パールマン!!


まず、肝心の戦闘シーンがほぼ夜。暗すぎて何やってるのか分かりづらいですよ。IMAXで観たから良かったものの、通常の3Dで観てたら暗すぎる気が。
カメラもやたらと動くので分かりづらさが倍増。何だか凄い事が目の前で繰り広げられている、という迫力は伝わってくるんですけど、正直観ている、と言うより、眺めてる、という感じでした。
ヘルボーイはすっきり整理されてて凄く観やすかったんですけどね。
想像するに、ギレルモ監督、まだCGに慣れていないんじゃないかと、邪推。

そして何と言っても、お話がちょっと、安っぽいというか、雑というか。
兄を目の前で失って、そのショックでパイロット辞めて5年間過ごしてたのに、割と葛藤もなくあっさり復帰したり、博士が怪獣の脳に電極繋いでフラッシュバックの件とかご都合主義もいいとこですよ。
他にも、剣あるなら直ぐ使えよだとか、海浅過ぎだとか、その他諸々なんだかなあ。

菊池凛子は、英語は違和感ないのに、日本語になると棒読みになるのはなんなんでしょうか。


「思ってたのと違う」
「チガウッテ!」


笑いを堪えるのに必死でした。
ここの件は笑えたのでいいですけど、最後の「先生、愛してる」の感情の無さは何なんですか。愛してねぇだろ!!そんなんじゃ、司令官が天国行けないよ!!
思うに、芦田愛菜の感情のスパークさせ具合とバランスを取ってたんじゃないですかね。違いますね。



ジプシー・デンジャー!!



わあわあ言ってきましたが、やっぱり怪獣映画をKAIJU映画として再生してくれたギレルモ・デル・トロ監督は信頼出来る男には変わりないでしょう。香港の街でのデッカい船を使った戦いはなんだかんだ燃えましたし。

一見の価値は間違いなくあり!!日本人なら観るべき!!ただ、IMAX推奨で!!

2013年8月7日水曜日

ローン・レンジャー

2013/アメリカ 上映時間149分
監督:ゴア・ヴァービンスキー
脚本:ジャスティン・ヘイス
テッド・エリオット 他
製作:ジェリー・ブラッカイマー
ゴア・ヴァービンスキー
製作総指揮:ジョニー・デップ
エリック・マクレオド 他
原作:『ローン・レンジャー』

キャスト:アーミー・ハマー (ジョン・リード/ローン・レンジャー)
ショニー・デップ (トント)
レイサム・コール (トム・ウィルキンソン)
レベッカ・リード (ルース・ウィルソン)
レッド・ハリントン (ヘレナ・ボナム=カーター)


70点


"ウィリアム・テル序曲、アガるぅ〜!!"
キモサベ!!
いやー、キモサベですよ、キモサベ
何度でも言いたくなりますね、キモサベ!!
キモサベが分からない?そんな人はすぐに映画館へGo!!



絶妙な気持ち悪さのジョニー・デップ



監督は『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズでお馴染みのゴア・ヴァービンスキー。製作は、言わずと知れたハリウッドのヒットメイカー、ジェリー・ブラッカイマー
そして出演が、ジョニー・デップときたら、もうどんな映画になっているのか想像つくでしょう。オープニングでドッカーンとやって、そのテンションを維持して突き進むあれですよ。この『ローン・ロンジャー』もそんな仲間です。
だからこそ、面白い!!キモサベ!!



あんまり出番は多くない、ヘレナ・ボナム=カーター、しょぼん。



『パイレーツ』シリーズが行く所まで行って、”キャプテン”ジャック・スパローがある種のポップアイコン化された中でジョニー・デップ、今回の悪霊ハンター”トント”って役を、新しいおもちゃを与えられた子供のように生き生きと演じておいででしたよ。キモサベ!!

トントって奴はインディアンで、だからフェイスペイントして頭にカラスを乗っけてるんですけど、そのインディアン独特の英語の訛が、まあなんだか心地よくていいんですよ。
個人的にツボだったのは、冒頭で監獄に入れられたトントが呪文を唱えて怪しい呪術を行うシーン。もの凄い気持ち悪くて、だけど楽しそうで、いい!!キモサベ!!



サソリが来てるよ!!


個人的にジョニー・デップより、主演のアーミー・ハマーがぐっときましたね。
観始めて、なんかどこかで聞いた事ある声だなと思ったんですけど、アーミー・ハマー、『ソーシャル・ネットワーク』でウィンクルボス兄弟を演じてた人ですよ。一人二役をやってたんでインパクト大きかったんですよね。うーん、キモサベ!!



『ソーシャル・ネットワーク』より。顔はCGで合成の一人二役



キモサベキモサベがどーんとやって、ついにクライマックス。
すみません、ほとんど端折りました。
でもこのクライマックスがですね、これが最高にアガるんですよ。

ローン・レンジャーとトントがある列車を使った計画を実行するんですけど、そのバックで運動会でお馴染みのテーマ、『ウィリアム・テル序曲』が流れてるんです。これがもうアガる!!!
テンポのいい曲に合わせて小気味よく進んで行く計画に、アガる!!!
カメラも変にちゃかちゃか動かないで、しっかりと誰がどこにいて何をやっているのかが
はっきり分かるから、観ていて気持ちがいい!!実に痛快でしたよ。キモサベ!!






ただただ、この作品に150分はいくらなんでも長過ぎですよ。ダイエットの余地はいくらでもあったはず。
中盤のヘレナ・ボナム=カーターの件もただ登場させるだけのことになってるし、中盤で何度も出てくる、敵のボスを倒す倒さないのやりとりはクドいです。もっとタイトに、さくっと出来たはず。

ただその分、やっぱりクライマックスは盛り上がるんですけどね。
そうです、ジェリー・ブラッカイマーにそんなちまちましたこと求めるほうが間違いなんですよ。ドーンとやって、ドッカーンと終わらしてくれればいいんです。
そう、いいんです、終わりよければ全て良し。キモサベ!!!!

隣で観ていたカップルはご機嫌に劇場を出て行きましたよ。
カップルだとか友達だとかとワイワイ観るならこういう映画でしょ。
そして、帰りは頭の中に『ウィリアム・テル序曲』が流れていることでしょう。
うん、面白かった!!キモサベ!!!
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