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2015年3月11日水曜日

シェフ 三ツ星フードトラック始めました


Chef
2014/米 上映時間115分 PG12
監督・脚本:ジョン・ファブロー
製作:ジョン・ファブロー
セルゲイ・ベスパロフ
撮影:クレイマー・モーゲンソー
編集:ロバート・レイトン
音楽監修:マシュー・スクレイヤー

キャスト:ジョン・ファブロー
ソフィア・ベルガラ
ジョン・レグイザモ
スカーレット・ヨハンソン
ダスティン・ホフマン 他

86点







”我々はアイアンマンは作れないが、美味しい料理なら作れる!!”






海外予告での宣伝文句、”フードポルノ”の名に偽り無し。
観る時間によっては行き場の無い食欲に身悶えすることでしょう。
実に危険な映画です。

出てくる料理は全て美味しそう。
作ってる過程も美味しそう。

監督のジョン・ファブローがアイアンマンを蹴って、本当に撮りたかった今作。
我々はアイアンマンを作ることは出来ないが、己のクリエイティビティを駆使すれば、美味しい料理は作ることが出来る…!!
この作品が持つメッセージとは別の角度で物凄くポジティブなものを受け取り、とても元気が湧いて来ました。

このメッセージ、あながち間違いではない気がする

2014年12月10日水曜日

天才スピヴェット (3D)


T.S Spivet
2013/フランス・カナダ合作 上映時間105分
監督・脚本:ジャン=ピエール・ジュネ
脚本:ギョーム・ローラン
製作総指揮:ジャン=ピエール・ジュネ
撮影:トマス・ハードマイアー
美術:アリーヌ・ボネット
原作:ライフ・ラーセン

キャスト:カイル・キャトレット
ヘレナ・ボナム・カーター
ジュディ・デイビス
カラム・キース・レニー
ニーアム・ウィルソン 他

87点





”子の気持ちを親は知らぬし、親の気持ちを子は知らぬ”




シネマイクスピアリにて鑑賞。
絶対に3D推奨!!







3Dであることに意味のある作品。
『6才のボクが、大人になるまで。』が、12年間の時間の流れをそのまま切り取ることで少年の成長を描いていたとすると、今作は10才の少年の世界に対する視点をそのまま映像として見せる楽しさ。
小さな子供が、どんな風に世界を見て、何を考えているのか。
彼の世界に対する見方がそのまま映像になっていて、その語り口に3Dが最大級の効果を上げています。

例えば、スピヴェットが紙に何かを書いたとします。すると、彼の頭の中にある絵がそのまま3Dの飛び出してくる。彼の頭の中の想像が飛び出してくるのです。

ギミック的に飛び出す映像も最高に楽しい。
そして何より彼の視点を追体験出来るという意味でこれは映画でしか出来ない体験。

過去の自分だって、ああやって世界を見ていたんです。
もちろん、彼のように知的な物の見方なんかしてません。
せいぜい泥団子を作って、美味しそうだなぁ〜位のことしか考えてませんでしたけど、でもあの時作った泥団子は間違いなく美味しそうに見えたんです。
誰でもそんな風に物を見ていたんです。
例えバカな私でも。






映像の煌びやかさに負けない芯のあるお話。

時代遅れのカウボーイの父、昆虫の研究に夢中な母、アイドルになりたい姉、双子の弟。
舞台は自然が多く残るアメリカ西部。
個人的に抽象化され過ぎててファンタジーに思えてくるような家族の話が苦手なんですけど、話がしっかりしてるから全く気にならないどころか、キャラのそれぞれが愛おしい存在に。

彼の天才的な頭脳でもっても想像出来ないもの。
それが家族の本当の気持ち。
でもそれは親も同じことで、親は親で色んなことを考えているし、子は子で色んなことを考えている。
そのそれぞれの気持ちが、彼の大胆な行動によって変化。
旅の果てに彼が得た家族の本当の気持ちで彼自身も成長するのです。

本当の気持ちなんか家族だって中々分からないんだから、一人で思い詰めること無いのよ。






3Dがしっかりお話を語っています。
必見!そして3Dで!!



<あらすじ>
米モンタナに暮らす10歳の少年スピヴェットは、天才的な頭脳の持ち主。しかし、時代遅れなカウボーイの父と昆虫の研究に夢中な母、アイドルになりたい姉という家族に、その才能を理解してもらえない。さらに弟が突然死んでしまったことで、家族は皆、心にぽっかりと穴が開いていた。そんなある日、スミソニアン学術協会から権威ある科学賞がスピヴェットに授与されることになる。家族に内緒で家出をし、数々の困難を乗り越えて授賞式に出席したスピヴェットは、受賞スピーチである重大な真実を明かそうとするが……。
映画.comより




2014年7月11日金曜日

インサイド・ルーウィン・デイビス 名もなき男の歌


 『Inside Llewyn Davis
2013/米・仏 上映時間104分
監督・脚本・製作:ジョエル・コーエン
イーサン・コーエン
製作:スコット・ルーディン
製作総指揮:オリヴィエ・クルーソン 他
撮影:ブリュノ・デルボネル
編集:ロデリック・ジェインズ

キャスト:オスカー・アイザック
キャリー・マリガン
ジョン・グッドマン
ギャレット・ヘドランド
ジャスティン・ティンバーレイク 他

96点






”あの兄弟がこんなに優しい映画を撮るなんて”







先日2014年上半期のベストを出しまして、この作品も6位に入れまして。
手前味噌で申し訳ないのですが、べた褒めで行きたいと思います。

思い返すほどに愛おしい。
こういう映画が私は好きです。






一見すると地味な映画ともされそうですが、その中でドラマを見いだそうとするならば、私はこの映画を”1曲目と2曲目の間の物語”と見ました。

映画冒頭、オスカー・アイザック演じるルーウィン・デイヴィスがステージで『Hang me,oh hang me』を歌う所からこの映画はスタート。

この歌はひたすら「俺は首を吊るー、いまに死ぬぞー」と歌ってる曲。
どん底の歌を朗々と歌い上げるルーウィン・デイヴィス。

歌い終わるとステージを降りて、ここから時勢は1週間過去に遡ります。

そして一週間、居候宅の猫を手違いで連れ回したあげく逃がしてしまったり、一夜を共にした女友達の妊娠が発覚して罵詈雑言を吐かれまくったり、自分のポリシーに反するポップスを歌って小金を稼いだり、オーディションに向かうため遠いシカゴまで車を走らせ結果断ったりとあまりにいろいろなことが。

NYに帰って来たルーウィン・デイヴィスはもう歌う自信が無い。
ミュージシャン稼業から足を洗って船員になろうとするもそれすらも上手く行かない。

精魂尽きて再び居候宅に戻ると、温かく迎えてくれる夫妻と、自力で帰って来ていた逃がした猫。

次の日。
再び馴染みのステージに上がるルーウィン・デイビス。

ここで冒頭のステージに時勢が戻り、『Hang me,oh hang me』を歌います。

そして、二曲目を歌いだすのです。

その曲が、中盤で明かされるかつていた相棒と二人で歌っていて、今まで歌うのを拒んでいた曲。

それはルーウィン・デイビスが決めた過去との決別なのか、決意の現れなのかもしれないですが、そうと分かるシーンは一切無い。

ただ、冒頭とラストを繋げる構成でルーウィン・デイビスの変化を見せる。
良いです。凄く良い。

主人公を、少しではあっても、この先のことはわからなくてしっかり成長させる。
この優しい視点。
コーエン兄弟がこんな優しい映画を撮るなんて。


しかも何が良いって、しっかり歌がエモーショナル。
その分日々の描写は淡白に。

この緩急も凄くいい。






劇中の猫も本当に動き。
猫が表すものは、今は亡き相棒でも、ルーウィン・デイヴィス自身なんだと2回目を見て。
車に猫を置いていくシーンは最高です。





劇中の歌も抜群に良い。
オスカー・アイザック、キャリー・マリガン、ジャスティン・ティンバーレイク。
この三人の実際の歌、最高です。

サントラは勿論買いましたし、アナログ盤も思わず購入してしまいました。

今年のベストサントラは決まりです。
間違いない。 


社長「毎日聞いて、"42”の完成を待ってるよ」



思い返すほどに味わい深くて、愛おしくなる映画。

日比谷のシャンテの地下のシアター1で観たのですが、平日でお客さんもまばらで、その中に会社帰りの方だったり、ギターを抱えた恐らくミュージシャンと思われる人、年配のご夫婦等々いろんな人がいて、シャンテの地下は段差が無い平面の劇場なので、スクリーンに反射する光で皆さんの顔が見えるんですよ。

その顔がまた皆さん良くてですね、自然に笑い声も上がるし、劇場内が本当に温かい良い雰囲気で。

この映画体験含めて、本当に思い入れのある一本になりました。



<あらすじ>
1960年代のフォークシーンを代表するミュージシャン、デイブ・バン・ロンクの生涯を下敷きに、売れない若手フォークシンガーの1週間をユーモラスに描いた。60年代の冬のニューヨーク。シンガーソングライターのルーウィンは、ライブハウスで歌い続けながらも、なかなか売れることができずにいた。音楽で食べていくことをあきらめかけていたが、それでも友人たちの助けを借り、なんとか日々を送っていく。
映画.comより






2014年3月8日土曜日

ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅


Nebraska
2013/米 上映時間115分
監督:アレクサンダー・ペイン
脚本:ボブ・ネルソン
製作:アルバート・バーガー
ロン・イェルザ
製作総指揮:ダグ・マンコフ
ジョージ・バーラ
ジュリー・M・トンプソン
音楽:マーク・オートン
撮影:フェドン・ババマイケル

キャスト:ブルース・ダン
ウィル・フォーテ
ジューン・スキップ
ステイシー・キーチ 他

95点


"この道をゆけば、どうなるものか”



嘘の宝くじ当選の通知を信じ込んで、賞金を手にする為にネブラスカ州リンカーンへ行くと言って聞かない父と、それに付き合うことになったその息子と家族。
スクリーンに映るのは、モノクロのアメリカ南部の殺風景な景色。

地味でつまらない映画?

いえいえ。
大変素晴らしい映画でした。

確かな演出、確かな演技。
映画全体を覆う哀愁と、読後の爽快感。

親戚、身内含めた家族の面倒臭さにあきれつつ、老いた両親の姿がなんだか胸にしみる。

全て素晴らしいです。

個人的には、アレクサンダー・ペイン作品ではベスト。
良い映画でした。



入れ歯は落としちゃダメですよ



まずファーストショット。
モノクロ画面に広々とした高速道路。
その真ん中に小さく映る、とぼとぼと歩くブルース・ダン演じるお父さん。

この開けた画がとても映画的でとにかく素晴らしい。
直前に『魔女の宅急便』を観てたんですけど、欠けてるものがこの作品にはありました。
画の構図一つでこうも違うかと。

画面の中央に映る、小さく頼り無さげに高速道路を歩くブルース・ダン一発で、この映画を包んでる”老い”もしっかり語れてるし、その素晴らしさで思わず前のめり。



そもそも、父と息子の話に弱い。


登場人物が愛らしい映画はそれだけで素晴らしい。
父子が旅の道中で会う親戚とかつての父の友人達がもう、会った直後の愛想は良いんだけどムカつくし頭に来るし、挙げ句に宝くじ当選と聞いて金にたかる始末。

でも、その親戚達との会話の中から、自分の知らなかった両親の姿が浮き彫りになって、親も親で結構な奴らじゃないかって気付いたりして。

トータルすると、家族って面倒くさい!!
って事です。

ただ、そんな両親とも老いて会話もままならない状態。
さらにその老いが頑固さを加速させて、一筋縄じゃいかない。手に負えない。

それと同時に、昔は親の存在は絶対だったのに、気が付けば足は細くなってるし、食も細くなってるし、老眼鏡は掛けるし、親の存在が自分の中で揺らぎだすのはどこか切ない。

だから、両親が笑い者にされればなんだか尚更腹も立つ。

あいつへのあの一撃。
胸がスッとしたよ。






そんな父との旅の締めくくりは、ティム・バートン監督『ビッグ・フィッシュ』を連想しました。
頑固な父の思いを叶える為に、息子が父の話に”乗って”あげるラスト。


『ビッグ・フィッシュ』のエモーショナルなクライマックスも好きですが、凄く抑えた演出はじんわり涙。

そして最後ですよ。
街を離れた所で運転を代わるショット。
そこからのエンドロール、凄く良い!!!!

老いた父に、ささやか見栄を張らせてあげる親孝行に涙。






アカデミー賞には小品過ぎたのかなと感じます。
そんなものは大作にくれてやらぁ!!

地味な映画だと敬遠してたら勿体ない。
ストレートに面白い作品なのでぜひご鑑賞あれ。


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