2016年3月19日土曜日

マジカル・ガール


Magical Girl
2014/西 上映時間127分
監督・脚本:カルロス・ベルムト
撮影:サンティアゴ・ラカハ
編集:エンマ・トゥセル

キャスト:バルバラ・レニー
ルシア・ポシャン
ホセ・サクリスタン
ルイス・ベルメホ
イスラエル・エレハルデ 他

85点








”ファムファタールは魔法少女”





ヒューマントラストシネマ有楽町にて鑑賞。
都内では二館のみの公開規模で、平日の昼間からかなりの客入り。


悪意満載ドス黒暗黒で大変素晴らしい。
脚本が肝の映画なので、以下ネタバレ注意!!








一見すると気をてらった設定かと思いきや、これが手堅いノワールでまず面白い。
ノワールと言えばファムファタール。では今作のファムファタールはといえば、魔法少女ユキコです。アリシアちゃんではなく、ユキコ。

物語は、アリシアがノートに書いていた願い事を父がのぞき見て、彼女の願いをなんとか叶えようとするところから始まります。
その願いというのが、魔法少女ユキコの一点物のコスプレ衣装を手に入れること。
魔法少女ユキコが物語を動かし、魔法少女ユキコが登場人物全てを不条理の連鎖に巻き込みます。これは言わば強力なファムファタール。






お話がねじれていくドライブ感は素晴らしいと思いつつ、語り口はかなりゆったりしているのでそのあたり少し難ありかも、なんてことを思いながらも、その語り口の合間で時折挟み込まれるなんともあんまりで意表をつくやりとりや展開に思わず笑ってしまう。

例えば、せっかく与えた魔法少女ユキコのコスプレ衣装。
日本円で90万円ですよ。
なのに、娘の反応はイマイチ。喜んでいない訳ではない。ただ、苦労して(下衆い手を使って)手に入れたものだけに、こっちの予想を超えない中途半端なリアクションになんとも煮えきれない思い。
このなんとも言えないやりとりに爆笑。なぜリアクションが中途半端だったのかが判明する直後の展開とその表情にまた爆笑。






ここぞというポイントで流れる劇中で「魔法少女ユキコ」のテーマソング扱いになっている長山洋子の「春はSA-RA SA-RA」。
このなんとも言えないアンバランスさからくる可笑しさ。

そのアンバランスさが極に達するのがラスト。
最悪のタイミングで流れ出す曲。
そして銃声。もう最悪。

何が最悪って、そもそもアリシアちゃんは父にお願いをした訳ではないんですよ。
あくまで余命幾ばくもない娘を思っての父の行動がきっかけ。
その思いが不条理の連鎖を招き、挙げ句の果てに連鎖の中心にいながらその輪っかとの関わりを持っていなかったものまで犠牲になる。ああ最悪で最高。


<あらすじ>
失業中であるうえに、娘のアリシアが白血病で余命いくばくもないという過酷な状況に置かれているルイス。ある日、彼は日本製アニメ「魔法少女ユキコ」の大ファンである娘が、キャラクターのコスチュームを着て踊りたいと願っているのを知る。父親としてアリシアの望みをかなえるべく、高価なコスチュームを手に入れようと奔走するルイス。しかし、そんな彼の決意と行動が、元教師ダミアン(ホセ・サクリスタン)と心に闇を抱えている女性バルバラを巻き込み、悲愴な事件を招くことになる。
映画.comより



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