2013年10月27日日曜日

謝罪の王様


2013/日本 上映時間128分
監督:水田伸生
脚本:宮藤官九郎
製作:門屋大輔
市川南 他
製作総指揮:城朋子

脚本:阿部サダヲ
井上真央
岡田将生
尾野真千子
竹野内豊


15点

”映画に謝ってくれ”
水田監督、クドカン脚本、阿部サダヲ主演で3作目。
なんか次回作への計画が始まっているらしいですけど、これを観る限りでは全く期待は出来ません。
エンドロールでのあの愚行を観るともう怒りが湧いてきます。






クドカンさんは大好きな方です。
ただ、映画での脚本だと当たり外れが激しい気が。
この映画に関してだと全く面白くない。ファニーって意味でも。

例えば冒頭の岡田将生さんのエピソード。
岡田さん演じるキャラクターは性格として謝ることが出来ないってことでこのエピソードは進んでいくんですよ。
だから阿部サダヲさんの謝罪センターに相談に行くんです。
なのに、さして阿部サダヲが活躍するでも無く、あっさり最後に岡田さん謝っちゃうんですよ。
なんで?岡田さんは謝る事が出来ないって件で話が進んでたんじゃないの?
しかも、岡田さんを嫌ってたはずの尾野真千子さんまで、謝られた途端に「お茶行きませんか?」なんてデートに誘う始末。

ん?
もしかたらこのふたりが芽生えるかもって描写あったっけ?
みたいな難解な思考が始まるんですよ。

このように、今のダメな日本映画にありがちな安っぽい感動に走る演出、本当にダメ。

阿部サダヲが謝罪センターを開くきっかけになったエピソードも全く納得が出来ません。
ラーメン屋で湯切りの時にお湯が飛んで来たと。
その場では文句を言わず、数時間悩んでやっと文句を言いに行ったと。
そしたら謝りに来たのは店長ではなくて親会社の社長で、店長はそれがきっかけで退職をしたと、ってなんだこれ。

その場で言えよ!!
そのくらいで辞めんなよ!!






ラストも全く訳の分からない展開で終わった。
と思ったら、噂のエンドロールが始まって場内がざわつきました。

このエンドロールに既に関しては多くの方が指摘されているので多くは語りませんが、要するに映画と全く関係の無いアイドルグループE-girls、EXILE、m-floが登場して、PVめいたものが突然始まるんです。

ザッツ大人の都合

どんなにいい映画でもこれをやられたら怒ります。
だって映画と全く関係がないんですもん。

史上最低のエンドロールを観ました。

楽しくない、面白くない。

2013年10月19日土曜日

そして父になる

2013/日本 上映時間120分
監督・脚本・編集:是枝裕和
製作:亀山千広
畠中達郎 他
撮影:瀧本幹也

キャスト:福山雅治 (野々宮良多)
尾野真千子 (野々宮みどり)
二宮慶太 (野々宮慶太)
真木よう子 (斎木ゆかり)
リリー・フランキー (斎木雄大)
黄升炫 (斎木流晴)
樹木希林 (石関里子)
夏八木勲 (野々宮良輔)


97点

”そして物語は続くのです"
もの凄くお客さん入ってるみたいですね。
自分の観た回もほぼ満席でした。
そして恥ずかしながら、どうかと思うぐらいに号泣してしまいました。
後半は垂れ流しでしたね。うん、良かった。
しみじみと。

自分のちょうど真後ろの席に、劇中に出てくる親子ぐらいの、お母さんと男の子の2人組がいたんですけど、エンドロールが終わって、お母さんはぐすぐす涙ぐんでいる様子。
それに恥ずかしくなったのか、男の子は「トイレいってくるー」と1人で先に劇場を出て行くと言うなんとも微笑ましい光景を目にしました。
男の子よ、気まずいよな、その気持ち分かるぞ。


素晴らしい映画がちゃんとヒットしている事を嬉しく思うと同時に、これを期に是枝監督の素晴らしい作品達にも目を通してもらえるチャンスだとも感じています。
『誰も知らない』の時は、賞のことばかり報道されていて肝心の内容があまり報道されていなかった印象なのでね。






まず何より、映画としてのクオリティが非常に高い。
しっかり画の力でお話を語って、無駄な説明台詞を省く。

例えば冒頭の、いかにも対策してきました的なお受験での面接シーン。
この場面で教科書通りの形式張ったことを話させることで、福山雅治演じる良多の性格、そして、家族内の距離感を、説明台詞に頼らずに一発で説明出来てるんですよ。

終盤の、家の中でキャンプをするシーンも素晴らしかったです。
みんな楽しそう。だけど、着替えているアウトドアウェアにまだタグが付いてるんですよ。
つまり買ってから一回も、慶太君がいた時には使用していない。
これまでの野宮家の様子がそこに垣間見えると同時に、そんな良多が変わり始めた瞬間にもう涙でした。

全編がこの丹念な演出で構成されてるので、この言い方が正しいのか分かりませんが、映画を観ている感覚が全くしなかったです。
テレビドキュメンタリー出身の是枝監督ならではのものです。素晴らしいとしか言えない。

この是枝監督の演出について、自身の著書の中でこんなことをおっしゃられていました。
少し長く引用させてもらうと。


劇場を出た人が映画の、物語の内部ではなく、
彼らの明日を想像したくなるような描写。
その為に演出も脚本も編集も存在しているといっても過言ではない。


こんなことも。


例えば脚本。
妻が夫に「ねえ○○(名前)、ハサミ取って」と言うのは文字だけ読んでいると普通だが、
実際の部屋の中で演じると随分説明的だ。

まずふたりしかいないのならお互いに名前を呼ばなくていい。
ハサミという単語は、目に見えているのであれば「それ」に変える。
指2本でチョキを作って動かせばそれだけで済む。
最終的に台詞として残るのは「ねえ」だけで良くなる。

そうすることでこの1行の台詞はリアルな生活の言葉として空間の中で活き始め、
空間をも結果的に活かすことになる。

是枝裕和著「歩くような早さで」より


是枝監督作に通底しているある種のリアルな生活感演出がばっちり説明されているので丸々引用させてもらいました。
演出の理想は、ドキュメンタリーの製作で出会った人々なのだそうです。

是枝監督作を観ている時に強く感じる、フィクションとは思えないような実在感は、ドキュメンタリーでの経験に裏打ちされたものだったんですね。






もう一つの是枝流演出が子役への演技指導です。
是枝監督は台本を渡さずに、その場で子役達に口伝えで台詞と状況を教えることで有名ですが、それによって子供達が本当に実在感たっぷりに生き生きとしてるんですよ。
何をやりだすか分からないハラハラ感もあるし、人見知りで緊張してるんだなってこともはっきり伝わってきます。
これも言わばドキュメンタリー的手法ですよね。






その子役達の親を演じる俳優達も素晴らしい。

特に福山雅治。
真夏の方程式」でも素晴らしい演技でしたが、素晴らしい俳優さんであるとまざまざと感じました。

福山さん自身にはどこかクールなイメージがついている訳ですよ。
彼が演じる役柄としては、”良き父親像”はなかなか想像出来ないです。
そのクールな印象が、良多役では、逆に子供への接し方になれていない父親として感じられて見事にハマってましたね。

元々、良多役は福山さんの当て書きだったらしく、ハマりっぷりも納得です。

福山さん演じる野々宮家の対比として出てくる家族が、リリー・フランキーさん演じる斎木雄大一家です。

リリーさん演じる雄大が画面に出てくるだけで心底ホッとするんですよ。
この映画における笑いどころを担ってる訳ですけど、リリーさんはドンピシャでしたね。
家族でお風呂に入ってるシーンは思わず顔がほころんでしまいました。

クールな福山さんの対になるキャラクターとして、どこかひょうひょうとしているリリーさんは人間的な魅力に溢れているように感じられて、本当にベストなキャスティング。
リリーさんは『凶悪』と合わせて、役の不利幅が素晴らし過ぎます。

ふたりの妻を演じた、尾野真千子さん、真木よう子さんも素晴らしい。
尾野真千子さん演じるみどりは、良多よりも長い時間を慶太君と過ごしていたこそ、より深く悩むし、葛藤する。
真木よう子さん演じるゆかりは、三人の子供を育てて来たから、他の子供達への心配もする。
それが何気ない台詞と演技で示されていて素晴らしい。

彼らの演技を観ているだけで、それだけで映画的に幸福な時間でした。







「取り違え」と言う、もの凄くセンセーショナルなテーマではありますが、この映画はもの凄く普遍的で、誰もが共感しうるお話になっています。

センセーショナルなのに普遍的。

ではどこが普遍的なのか。
それはこの映画が、「取り違え」を巡る結果を描いているのではなくて、そのことをきっかけにして、福山雅治が父性を獲得するまでを描いているからです。
つまり、お話の中心は福山雅治演じる野々宮良多なのです。

血か時間か、子供を交換するかどうかに焦点を持って行くと、その結果自体が物語のゴールになってしまって、ただのテーマの矮小化です。






冒頭、建築建設会社で働いている良多は、会議の場で模型に「もっと家族の人形足して。アットホームな感じの。犬なんか連れて」と注文を入れます。
つまり、イメージとしての”いい家族”は良多の頭の中にもあるんです。

でも、「取り違え」をきっかけにして思い知る訳です。
完璧だと思っていた自分の人生において、全く父親にはなれていなかったと。
ここで福山さんのどこか冷めた、子供慣れしていない演技が効いてくるんです。

それが決定的に変わるのが、クライマックスのカメラ演出。

中盤、慶太君と過ごす最後の日。
ふたりで公園で、どこかぎこちなく遊んで、カメラでお互いを撮ったりする訳です。

そして、慶太君と流晴君を「交換」して、戸惑いながら流晴君と向き合おうとする良多。

ある朝ふと、一眼レフのカメラを手にして、フォルダをさかのぼっていくと、昨日流晴君を撮った写真が。

ああ、なるほど。
最後の日に撮った写真を目にするのね。
いい思い出させ表現だ。なんてもう既に目に涙溜めながらしみじみ考えてた訳ですよ。

そしたら、やっぱり慶太君と最後に遊んだ日に、慶太君が撮ってくれた写真が。
もう泣いてますよ、号泣ですよ。

でもさらに次があったんです。

さらにフォルダをさかのぼると、良多の知らない所で、慶太君が寝ている良多を撮った写真が。
それは映画には出て来ない、慶太君だけが知っている時間。

もう涙が止まりませんでした。

つまり、慶太君はちゃんと良多を見ていたのです。
慶太君にとっては、父親だったんですよ。

そのことに気付いて、会いに行くんです。


「6年間はパパだったんだよ。出来損だったけど、パパだったんだよ」


情緒に流れやすそうなこのシーンも、前述の通り丹念に演出を重ねていて、過剰な演出と音楽を排しているから、より真に迫るものがあって、もう嗚咽でした。

別れて歩いていた道が、文字通り一つに繋がる映画的な演出も本当に素晴らしかったです。


分かりやす答えは映画の中では示されません。
この先どうやって良多は子供達と向き合って行くのか、それはこの先に続いて行くのです。

良多が父親としてのスタートラインに立ったところで映画は終わります。
そして、これから父になるのです。






良多が家族と向き合うきっかけになるエピソードも凄くよかったし、夫役にピエール瀧さんをキャスティングしたことによって、一瞬の出演であってもそこに無視し難いインパクトが生まれて、本当に大正解だと思いました。



評価と興行収入が一致している本当に希有な日本映画だと思います。
こう言う映画がヒットしていると、まだ日本映画捨てたもんじゃないなと、凄く嬉しく思います。

そして、是非これをきっかけに過去の是枝作品にも目を通してください。
どれもこれも素晴らしいので。
まずは前作の『奇跡』がおすすめです。

そして、まだ観ていないと言う人、今すぐ劇場へ行きましょう。



2013年10月16日水曜日

R100

2013/日本 上映時間100分 R15+
監督・脚本:松本人志
製作:岡本昭彦
製作総指揮:白石久弥

キャスト:
大森南朋
大地真央
寺島しのぶ
片桐はいり
富永愛
佐藤江梨子
渡辺直美


20点

”酷評込みのプレイ?"
酷評を沢山耳にした状態で観に行きました。
話題作ではあるので、良かれ悪かれ観に行こうと、言わば当たりに行ったってヤツですね。
なので、観終わった後に誰かの首を絞めたくなるような怒りにかられることは無かったです。無かったんですけど、うーん、どうしたものか。
松本人志にしか作れない映画なのは間違いないです。いや、作らないっていった方が正しいかと。
そう言う意味ではもの凄いものが観れます。






お話自体は「笑っていけない○○」のSMプレイ版なので、面白そうじゃないですか。
でも、そんなこっち側が想像するような簡単なお話にしないのが松本人志なんですよ。

じゃあどんなお話になっているんのか。

めちゃくちゃです。
お話の体をなしていません。



うおー、何だこれ。めちゃくちゃだなーと思っていると、急に面が変わって、待合室の場面に。
そこで明かされるのが、この『R100』って映画は、言わば劇中内映画で、待合室に集まっている人物達は、この映画を観に来ている観客らしいのです。そして『R100』を撮った監督は御年100歳で、これを最後に引退すると。
そして待合室では、この映画に対する不満を語っているんですよ。

つまりこう言うことです。
観ている観客側が感じたお話の不備や欠点を劇中の人物に喋らせてるんです。
うーん、これは頂けない。
恐らく言われるであろう批判点を、先回りして劇中で言われたところで全く納得が出来ないし、面白くないし、そもそも映画としてダメでしょ、そんなの。

そんな臆病な松本さん見たくないよ。
お話がめちゃくちゃならめちゃくちゃでも、「理解出来ひん方が悪いんじゃ」くらいに威張ってもらった方が100億倍マシですよ。



肝心の中身がダメ。
しかもそれに対して、映画内で余計としか言いようの無いフォローまで入れる。
うーん、酷評も仕方が無いですよ、これは。

個人的には笑ってしまったところも何カ所かありました。
親子揃ってのSMプレイは場内がどよめきましたし、自分も笑ってしまいました。
踏切を挟んで、電車が通り過ぎる間に嬢がやって来て、また通り過ぎたら消えてるシーンはグッときましたよ。
Mは突き詰めるとSになる可能性を秘めているって論理は自分も考えたことがあるんで、あぁ松本さんも同じこと考えるのか、なんて思ったりも。

そして、あの意味が分からないクライマックスも、そこまでバカやってくれるなら!!
と面白がってたんです
だけども、エンドロール後にまた待合室のシーンを入れて無駄なフォローを入れる。

フォロー入れるくらいなら映画なんて作るな!!!!






もし、松本さんが次回作を撮る気なら、今作に入れたようなセルフフォローは抜きに、どこまでもふざけて突き抜けた作品を観たいです。
それこそファンは期待しているものではないんですかね。

確かにダメな映画です。
でも、松本人志が撮りたかった映画って意味では、他の金儲けしか考えていない商業主義的な映画より遥かにマシだとも思っています。

それが面白いかはまた別の話ですよ。
でも、同じダメ映画なら、心意気の方を取りたいじゃないですか。

と、『謝罪の王様』を観て感じましたとさ。

2013年10月12日土曜日

凶悪

2013/日本 128分 R15+
監督:白石和彌
脚本:高橋泉
白石和彌
製作:鳥羽乾二郎
十二村幹男 他
製作総指揮:由里敬三
藤岡修
原作:新潮社45編集部『凶悪-ある死刑囚の告発』

キャスト:山田孝之 (藤井修一)
ピエール瀧 (須藤純次)
リリー・フランキー (木村孝雄)
池脇千鶴 (藤井洋子) 他


95点

”Oh 強烈!!”
新宿ピカデリーにて観てきました。
ライトな層が観るような映画では無いのに、公開館数が少ないからなのか、場内ほぼ満員でしたね。
しかも若い女性が多かったです。一人で観ていた方も結構多かったですね。
その内の数名は、映画の強烈さに途中退席をされてました。
うーん、ムリは無い。

結論から先に申しますと、この映画大変面白かったです。
観終わって劇場から出る時、何か強烈なものを観てしまった興奮と、劇場内のどんより重い雰囲気に、深く深呼吸をして気を落ち着かせました。

それもこれも、リリー・フランキーとピエール瀧のせいです。
あんたら怖過ぎるよ。もうテレビで面白いことしてても笑えないよ。

素晴らしい。



ジャーナリズム魂


この映画、実際に起きた事件が元になっている実録物です。
獄中の死刑囚がある余罪を3つ告発するんですけど、その事件の裏には全て”先生”と呼ばれた人物が関与していると。そして、その真相を新潮社の記者が暴き、首謀者逮捕に至った、と言う実際に起こった事件。

この実録物で記憶に新しく、また誰もが想像するであろうものが、2010年公開の園子温監督『冷たい熱帯魚』ですよ。
こっちは1995年に起きた埼玉愛犬家連続殺人事件を元にしたものです。
(因に園監督の『恋の罪』は、東電OL殺人事件を元に作られていて、フィクション度は高いですが一応実録犯罪物です)

この『冷たい熱帯魚』が傑作と呼ばれている理由は2つあると自分は考えているんですけど、一つは作品自体の完成度の高さ。そしてもう一つは、この映画がヒットしたと言うことです。

実録犯罪物なんて、世間一般の売れ線と呼ばれる物からは程遠いものに思えます。
でも、ふたを開けると大ヒット。

確実に需要はあったんです。

今回の『凶悪』も監督のインタビューを読んでみると、『冷たい熱帯魚』の存在は意識していたと明言されています。
恐らくは、『冷たい熱帯魚』がヒットしたことを勝機と読んだのではないでしょか。



怖すぎて笑えるシーン


『冷たい熱帯魚』を観た誰もが言う事。それは、「でんでんが恐ろしい」
あまちゃんでは気の良い漁協のおじさんなのに、同じ人とは思えない、って。

『凶悪』のそれがリリー・フランキーとピエール瀧ですよ。
まったく、あんたら怖過ぎるよ。

予告でも使われている台詞


「とにかく、お酒飲まして、殺しちゃうけど。
それはほら、そちらが頼み込んできた訳だから」


これ本当にお酒で人殺しますから。
その描写も、これでもかと残忍に、凄惨に見せています。

とある生活に困っている2世帯の家族が、保険金目当てで父を、”先生”であるリリー・フランキー演じる木村を働き口と騙して預けるんです。
そして夜、最初は楽しく飲んでたんですけど、段々と空気が変わって、もっと飲めと脅迫に変わり、次第に書くのもはばかられるようなことが起こります。
それを喜々として行うんですよ、リリー・フランキーが!!
もうリリーさんが楽しそうなんだわ。
このシーンでぞろぞろ途中退席がいらっしゃいました。

楽しそうと言えば、死体を焼却炉で処理するシーンがあるんですけど、ピエール瀧が薪をくべるように切断した肉を焼却炉の中に入れていると、リリーさんが「僕にもやらせてよ」と嬉しそうな顔で言うんです。そして、全てを処理し終えてポツリと、「肉の焼ける、いいに匂いがするね」とリリーさんが。「なんか、肉食いたくなりますね」とピエール瀧が。
その直ぐ次のカットでフライドチキン、どーん!!クリスマスパーティーのシーン。

悪趣味極まりない!!
さすがに場内で笑いが漏れてましたね。うん、笑った。

しかもこの2人、『そして父になる』に出てるんですよ。
リリーさんなんかめちゃくちゃいいパパなんですよ。
どっちが本当なのさ?



「90℃の酒あったぁ」と嬉しそうなリリーさん


この、どっちが本当なの?と言う問い。
その答えは、どっちも本当と言うことですよ。

そのことを体現しているキャラが、山田孝之さん演じる事件の真相を追う記者藤井。
そして、観ている観客である我々なんです。

藤井は最初、死んで行った者達が報われると言う”正義”の下に動きます。
でも、事件の核心に触れるに従って、段々と目的が曖昧になってくるんです。
この辺り『ゼロ・ダークサーティ』を連想しましたね。

そしてラスト、面会室にて対面した木村に指を指されてこう言われます。
「俺を一番死刑にしたいと思っている奴は、被害者でも、恐らく須藤でもない」
その指は藤井と、観ている観客にも向けられているのでしょう。

俺の死を望んでいる時点で、お前等俺と変わらんぞ、と。

藤井の家には、認知症の母と、その介護に疲れ果てている妻がいるんです。
彼が帰宅する度に、妻は言います。「今のままだとおかしくなりそう」
それは冒頭で、保険金目当てで父を木村に預けた家族と何も変わらない家族の姿です。

つまりこう言うことです。
この世の中で、この映画で起こったような、又ニュースで報道されるような凄惨な事件は、全く他人事ではなくて、誰だって人を殺す、殺される、共犯者になる可能性があるってことです。
いつ、誰が、そうなるのか、分からないのです。

そのことを、ラストにリリーさんに向けられた指でハッと気が付くのです。
恐ろしいけどそう言うことです。



「お前だって俺と変わんないよ」


『そして父になる』を観たのなら、『凶悪』も観ましょう!!
『凶悪』を観たのなら、『そして父になる』も観ましょう!!
公開時期を逃したって人は、DVDで両方借りて、2本立てで観ましょう!!
とにかく両方観ましょう!!

個人的に、今年の助演男優賞はリリー・フランキーに決定ですね。
どちらも素晴らしい。

リリーさんとピエール瀧さんの件が素晴らしかっただけに、編集者でのシーンがちょっと雑に感じられなくも無かった。
が、全く気にならない。言われて、それもそうかもなと感じるぐらい。

とにかくリリー・フランキーの極悪堂ぶりだけでも一見の価値は間違い無しです!!

2013年10月10日木曜日

エリジウム (IMAX)

2013/アメリカ 上映時間109分
監督・脚本:ニール・ブロムカンプ
製作:サイモン・キンバーグ
ビル・ブロック
ニール・ブロムガンプ
製作総指揮:スー・ベイドン=パウエル
ビル・ブロック

キャスト:マット・デイモン (マックス・ダ・コスタ)
ジョディー・フォスター (ジェシカ・デラコート)
シャールト・コプロー (M・クルーガー)
ヴァグネル・モーラ (スパイダー)
アリシー・ブラガ (フレイ)


77点

"次回作を心して待つ"
映画ファンから熱狂的な支持を得た『第9地区』ニール・ブロムガンプ監督の長編2作目。
前作『第9地区』が少ない予算で作られたのに対して、今回はしっかり、それなりのバジェットで作られています。
キャストも、マット・デイモン、ジョディー・フォスターなんてスターをキャスティングしていて見た感じ豪華。

うん、うん、面白かったです。



地球

エリジウム



舞台は2154年、環境汚染と人口増加によって、地球の環境は劣悪なものに。そんな地球に貧困層は住んでいて、少数の富裕層は衛星軌道上にあるスペースコロニー、「エリジウム」に住んでおり、そこではどんな病気でも治すことが出来て、甘い汁を吸った生活をしています。

設定は未来になっていますが、この社会の構図はそのまま現代の生活にも置き換えることが出来るようになっていて、数パーセントの方々に富が集中していることに違和感が全くないのがゾッとします。

前作の『第9地区』の舞台が南アのヨハネスブルクで、監督自身は否定していますが、誰が観たってアパルトヘイトのメタファーだったわけで、こう言う社会的な背景を設定としてさらっと、自然に盛り込んでいる辺りグッとくるし、目の前の物語に無視出来ない説得力と登場人物への感情移入が生まれるんですよね。

そんな社会ひっくり返しちまえ!!



ジョークが通じないお役人ロボット



富裕層はみんな宇宙にいるので、お役所ではみんなロボットが働いてるんですが、これが本当に聞き分けのないロボットで、とにかく融通が聞かないんですよ。
言われた事しか出来ないロボット。まさにお役所体質!!皮肉!!アイロニー!!
監督の意図したことでは無いかもしれないですけど、もう笑っちゃいましたね。



人間がロボットを作るアイロニー



もう一つの皮肉めいた描写が、人間がロボットを作っている工場ですね。
主人公は工場労働者なんですけど、働いているのがロボット工場。
雇用を生み出す為かもしれないですけど、なんたる皮肉。





乗用車の改造もグっときますね



で、主人公が勤務中の、そりゃそうなるよって事故で被爆してしまって、余命5日を宣告されます。
助かるにはエルジウムに行くしか無い!!ってことで、強化骨格みたいな物を装着させられて体力アップ、パワーアップ。いざ、エリジウムへGO!!
と行きたいんですけど、そんな簡単にはいかず、まずエリジウムへ行く手段を手にすることに。それには、エリジウムを乗っ取りたいジョディー・フォスターが絡んでいるデータが必要だと。
そんなことをしていると、データを取られてはまずいジョディー・フォスターに気取られて、送り込まれた刺客と対決。

そして勝負はエリジウムへと移り、最後の戦いへ。
てな感じのお話です。ざっくりと。

刺客が、『第9地区』で主人公ヴィカスを演じていたシャルト・コプリーさんでしたね。
髪型と髭だけで印象が全く違いますね。

最初の目的は身体を治すことだったのが、計画を進めて行く内に段々と世界の命運を握る存在になっているのは燃えましたね。

ただ、そこは狙ってでしょうけど、マット・デイモンはその事を知らないし、あまりそのことについて強調がされないので、心の置き所が分からなくなった気がしなくも、ない。
強調しない割にラストはこれでもかと彼をヒロイックに描くのはやや、クドい気が。



武器描写はピカイチ


武器の造形は相変わらず素晴らしい!!
未来なのに、ゴツゴツした今っぽいミリタリー装備はなんだか妙なリアリティーがありますし、ロケットランチャー発射の描写が凄く気持ちいい!!

弾頭を射出して、飛び出したと同時にロケットに火が点火されて、勢い良く飛んで行くあの描写がもの凄く気持ちがいい。

監督もそこを観てほしかったのか、わざわざアップで4発撃ってくれるんです。
うーん、これはフェティッシュ。



性格悪そうでよかったです。褒め言葉



ここから少し気になった所。
冒頭に、地球の市民が乗ったエリジウムへ向かうシャトルが撃墜される描写があるんですけど、それが前述したロケットランチャーでの攻撃なんですよ。地球から。
ん!?エリジウムには迎撃装備はないの??
うーん、ニール・プロムガンプ監督に限ってそんなことは無いはず。
恐らく、シャルト・コプリー演じるクルーガーを登場させる為のシーンなのでは。
それにしては地球からの攻撃はむりくりな気が。

と言うか、基本エリジウムの警備がザルなんですよ。
マックスがエリジウムに入った直ぐに仲間が難なく到着してるし。

あと、ジョディー・フォスターのエリジウム乗っ取り計画がずさん過ぎる。
もっと捻った計画をお願いしますよ。



マックスと同じ強化骨格を装着する刺客、クルーガー



期待値が上がっていた分、いろいろ気になっちゃいましたね。
うん、でも面白かった。このくらいの体温です。

ただ、あの埃っぽい世界観はやっぱり立派なものです。観ていてどっぷりハマれます。
あと全く触れてませんでしたが、やっぱりマット・デイモンいい!!

2013年10月4日金曜日

クロニクル

2013/アメリカ 83分
監督:ジョシュ・トランク
脚本:マックス・ランディス
製作:ジョン・デイヴィス
アダム・シュローダー
製作総指揮:ジェームズ・ドッドソン
原案:マックス・ランディス
ジョシュ・トランク

キャスト:デイン・デハーン (アンドリュー)
アレックス・ラッセル (マット)
マイケル・B・ジョーダン (スティーブ)
マイケル・ケリー (リチャード・デトマー)


90点

"実写版『AKIRA』、これでいいじゃん”
首都圏2週間限定公開。
しかも誰でも1000円で観られると言う、限定感プラスお得感満載で公開されています、『クロニクル』
めちゃくちゃ面白かったです。

『パシフィック・リム』に溢れていた日本への熱い情熱と愛が、『クロニクル』でも注がれていました。


奇妙な穴を見つけ、入る事に

その中で見つけた物体に触れ、能力を身につける3人


いじめられっこの高校生アンドリュー、その従兄弟マット、学園の人気者スティーブ。
この三人がとある物体に触れたことで、超能力を身につけてしまうんです。
最初はスカートめくりだとか、スーパーで人を驚かすだとか、可愛げのあるイタズラ程度に能力を使ってたんですが、段々とアンドリューがその力に溺れ始め・・・っていうのが大まかなお話の流れです。至ってシンプル。

要するに、”普通の者”が、”力”を手にするとどうなっていくのかというお話。

勘の良い方ならピンと来たはず。
そうです、大友克洋さん作『AKIRA』です。



確かに怖いわな。めちゃくちゃ笑いました


映画を観ている間『AKIRA』っぽいなとは思っていたんですが、監督のインタビューなんかを読むと、やはり大友克洋作品に影響されて製作したみたいで、他には『キャリー』なんかの影響を話していました。

『AKIRA』と言えば、ある日突然力に目覚めた鉄雄が、超能力を持ったことによって性格が豹変し、幼なじみであり先輩格に当たる金田と対決する、ってのが本当に本当に大まかなお話の骨格になります。

『クロニクル』で言うと、アンドリューと従兄弟のマットがその関係。
クライマックス、暴走して街を破壊するアンドリューをマットが止めに行くんですが、車を吹き飛ばすシーンなんかはもろに『AKIRA』でしたね。観ていて楽しい。

前半からしっかりお話を積んでるから、アンドリューが暴走する状態になってもしっかり感情移入出来るので、『AKIRA』ファンへの目配せ的なものに終わっていない、素晴らしいクライマックスでした。



ふわっと腕を振ると

周りの物が吹っ飛ぶ


あと、細かいところで言うと、「ズン」ですね。
大友さんは、何かが地面だとか壁にぶつかった時、球面にへこませることでその力を表現するんですけど、『クロニクル』でもしっかり出てきてましたね。



『童夢』より、通称”ズン壁”

着地で地面がへこむ描写


もう一つ特筆すべきは、この映画がPOV方式、主観映像のモキュメンタリーだってことです。
『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』から始まり、『クローバー・フィールド』以降増えだしたPOV映画。その効果は、一人称にすることで、映画への没入度が増して画に緊迫感とリアルさが増すこと。そして制作費が安く済む!!
『パラノーマル・アクティビティ』なんてめちゃくちゃ制作費安いですからね。

今年の夏公開された『エンド・オブ・ウォッチ』も、主観視点のモキュメンタリーで、L.A市警の毎日の危険な勤務を追うといったものでした。主観モキュメンタリーならではの映像満載で、めちゃくちゃ面白かったです。

話は逸れますが、POV映画が急に流行りだしたのは、恐らくSNSの盛り上がりがあるんじゃないかと。
誰でも映像を撮ってネットで共有するのが当たり前になっている今、偶然撮れちゃった風のモキュメンタリーも一人称視点も、全く違和感は無いですからね。



能力を使ってカメラを浮かせる


でも主観映像にも弱点があります。それは、主人公がいつでもどこでもカメラを持っていないとお話が成立しないこと。そのルールによって、観ているこっちは頭にはてなマークが浮かぶんですよね。「えっ、あなた逃げながらまだカメラ持ってるの!?」なんて風に。
どうしても緊迫した場面になるほど間が抜けちゃうんですよね。

ただ、この『クロニクル』が凄いのは、主人公達が超能力が使えるって設定なので、カメラをプカプカ浮かせられるんですよ。
つまり、主観映像のルールから抜けて、三人称視点だったり、上からの俯瞰ショットだとかを挟み込めるんです。
これによって、間の抜けた画も状況もないし、ばっちりカッコいい。
超能力の設定を上手く活用した上手い演出だと思います。

しかも、超能力が強化されていく後半に行くにつれてカメラの三人称視点が増えるので、アンドリューの怒りに満ちた顔、やりとりがしっかり見える。
今までアンドリューの視点を共有していたのが、三人称視点になって視点が突き放されることで、こっちはアンドリューの暴走をただただ見守るしか無くなる。
もうそうなったら応援するしかないですよね。
やったれアンドリュー!!もっと暴れろ!!そんな奴ら蹴散らしちまえ!!


こういう三人称ショットがいい!!


上映時間が90分も無いあっさり風味なのも良い所ですよね。
長くなる一方の最近の映画に対して、83分はとてもポイント高い。
さくっと観て、めちゃ面白い。最高ではないですか。

2013年10月1日火曜日

トニー・スタークがやってきた



原宿にアイアンマンの中の人、トニー・スタークの別荘が出来ていると聞いて、『アイアンマン300% The exhibition』に行ってきました。
お目当ては、実物大アイアンマンスーツMark1〜7勢揃い。

なんと入場無料!!
週末ってこともあって会場内は人でごった返してました。

男性ファンはもちろんのこと、若い女性の姿も結構多くて、アイアンマンの女性人気を感じましたね。ロバート・ダウニーJr.人気かな。




ホットトイズ主催ということで、最初のフロアは実際に販売されているマーベルキャラクターのフィギュア達がお出迎え。

噂には聞いてましたが、とんでもなく精巧。そして惚れ惚れするほどカッコいいんだこれが!!

アイアンマンマーク7
重厚感ありあり。胸のリアクターも光ります。

アイアンマンマーク1
凛々しいお顔

『アイアンマン3』よりマンダリン
髭が細かい。指輪もしっかりしてる

肩のロケットもちゃんと再現。

 アイアンマンマーク39"ジェニミ"


奥に進むと人だかりが。
人をかき分け進んでいくと、何と言うことでしょう、小さいトニー・スタークwithアイアンマンシリーズ勢揃い。
『アイアンマン3』の冒頭を再現しているではないですか!!






たまらん、たまらん。
もう気持ちは満足している、が、ここからが本当の目的。
この小さいスーツが実寸大でお目にかかれるのです。

そして通路を進んで行くと、




ああ!!ここは!!
トニー・スタークの家!!そして格納庫!!
光ってる、胸が光ってる!!ピアノがある!!ソファがある!!ランボルギーニもある!!
アガるーーー!!




逸る気持ち抑えていそいそと列に並びまして、いよいよご対面。
圧巻、圧巻。威圧感。
ああ、俺も装着したい、なんてローズ大佐の気持ちもよく分かる。


アイアンマンマーク6 
いい眺め、圧巻、そして着たい!!

 右から、アイアンマンマーク7、マーク6
シャッターを押す指が止まらない

アイアンマンマーク5
シルバーのウルトラマン寄りデザインも悪くない。

アイアンマンマーク4
うーん、きらびやか。いいよ!!

アイアンマンマーク3
マーク4とは腹筋、膝、肩のデザインなんかがちょっと違います。

アイアンマンマーク2
色を塗る前の試作機

アイアンマンマーク1
スクラップで作った初号機でございます。


他にも机の上に、『アイアンマン』でポッツがトニーにプレゼントしたアークリアクターと設計図があったりして非常に満足。

『アイアンマン』の魅力ってこの、プラモデルよろしくスーツを自分でグレードアップしていく感覚だよな!!と再確認。少年心がふつふつと沸き立ちました。

そして、心の底からホットトイズのフィギュアが欲しくなってしまいました。どうしましょう。
今までプラモデルだとかには全く興味が無かったですし、フィギュアみたいな収集してなんぼの趣味を持ってしまうと、とんでもないことになってしまうと分かってはいるんです。
うーん、でもバットマンなんかもあるらしいんですよねぇ。
うーん、欲しいよー!!

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