2014年11月29日土曜日

6才のボクが、大人になるまで。


Boyhood
2014/米 上映時間166分
監督・脚本:リチャード・リンクレイター
製作:リチャード・リンクレイター
キャサリン・サザーランド 他
撮影:リー・ダニエルズ
シェーン・ケリー
編集:サンドラ・アダイア

キャスト:イーサン・ホーク
アトリシア・アークエット
エラー・コルトレーン
ローレライ・リンクレイター


100点





”一瞬が私達を離さない”





TOHOシネマズシャンテにて初日に鑑賞。
場内大入りの満席。

都内3館のみの寂しい公開規模ですが、それぞれ入りは上々の様で嬉しい限り。

間違いなく一生に一度だけの体験が出来た嬉しさと、その感動が個人的な体験に結びついてしまう嬉しさ。
この作品に関わった全てのキャスト、スタッフ、製作の方々に最大級の賛辞を!






同じキャスト同じスタッフで、継ぎ目の無い12年間を描く映画を撮る。
まずこのアイデアと、それを実現させた諸々の環境、志が素晴らしい。

モチベーションの低下、不慮の事故、資金が底をつく等々、撮影困難な状況になる要素はいくらでもあったはずなのに、それを微塵も感じさせない、本当にリラックスした、力の抜けた作品になっているのが凄い。

現場の雰囲気の良さ、キャスト含めたクルーの信頼関係が見て取れてそこだけで親指ぐっ。

そして何より、この時間を掛けた撮影が作品に起こしたマジックの数々。
これがとにかく素晴らしい。

とは言っても、劇中において映画的な過度な盛り上がりは排してあって、あくまで主人公メイソンの視点に寄り添った作りになっているのでその部分で少し物語が淡白だと感じる方もいるかもしれないです。
が、そのバランス感覚こそリチャード・リンクレイターのセンスの良さが光るところ。

メイソンの日常を丹念に積み重ねるだけでドラマは生まれる。
例えば、彼の身体的変化を見てるだけで物語が前に進む。
身体の変化がそのまま話の推進力になっている不思議。

メイソンだけじゃなくて、父親を演じるイーサン・ホークの髪に白髪が増え始めただとか(この部分でかなり涙腺を刺激されました)、母親を演じたアトリシア・アークエットの身体がみるみるふくよかになっているだとか、メイクやCGでは絶対に表現不可能な圧倒的な時間の変化が見て取れて、そこここにマジックが宿ってるんです。

12年分の時間がにじみ出るキャスト同士の関係もそう。
メイソンの高校の卒業パーティーでの、妹サマンサのスピーチ。
照れとドライさを含みながら、はにかんだ笑みで一言「頑張って」と親指を立てる彼女。
何にも良い事なんか言っていないのに、それまでの彼女達の関係を思うとどうにも涙。






身体も変化すれば心も変化するもの。

過度な盛り上がりは排されていながらも、その分描写は丁寧に。
製作の段階で12年分の脚本は存在せず、大まかな計画書だけがあって、一年毎にキャストとスタッフで相談をして脚本を繋いでいったそうです。

なので、パンフレットで是枝監督が指摘しているように、実際の演者の変化をお話に反映させたのでしょう。
その結果、前述の通り全く作品がお話に縛られた窮屈なものになっていない。
12年間撮影出来たことと同じように、この作品自体のリラックス加減、力の抜け方は本当に奇跡だと思います。


リンクレイター監督、随所に演出も巧いです。
特にラスト手前、メイソンが家を出る荷造りをしているシーン。
メイソンが初めて撮った写真を大学の寮に持って行くかどうかの会話で、一瞬話が途切れ、母が泣き出すのです。
その泣き出す手前の一瞬に、母だけを画面の左端に置いて、余白を作るショットを挟む。
その一瞬で、メイソンがいなくなった後の光景が我々にもグっと迫って来て、思わずホロり。

でも、子供を送り出したら残ってるのは葬式だけだと泣く母を心配しつつ、「まだまだ生きるでしょ、気が早いよ」と笑ってみせるメイソン。
このバランス感覚、本当に良い。






人が育っていく上で、人間関係と同じように、その時代の空気やポップカルチャーからも無意識に影響を受けるもの。
今作だと00年代以降の政治、ポップカルチャーも切り取られていて、それが時代を表す記号としてだけではなく、しっかりメイソンが生きる時代の空気になっているのが良くて。
ベースの部分がしっかりしているから、その上にある生活がより説得力を増して描かれてる。

ドラゴンボールを見て、X-BOXで遊んで、YouTubeで動画を見る。
これらの細かいディテールがしっかりしてるから作品により広がりが出てキャラクターがのびのびとしてるように感じます。


ポップカルチャーと言えば音楽。
劇中で流れる曲達も素晴らしいです。

予告でもメインで使われているFamily of the yearの「Hero」はもちろん(これが独り立ちの歌なのです)、Wilcoの「Hate It Here」も素晴らしい。映画の幕開けのColdplay「Yellow」は言わずもがな。

キャンプで話題に出してたスター・ウォーズの新作についての話。
数年経って、高校三年生の時に父が嬉しそうにふってくるスター・ウォーズの話題。
子供が小さかった頃に好きなものはいつまでも変わらず好きなんだと思っているその父のテンションがまた良くて。



こう見ると本当の家族のよう



ラストの台詞。
そして終わり方も素晴らしい。

メイソンのこれまでの人生を私達は知っている。
でも、これからの人生のことは分からない。
メイソンにも私達にも。
これは正に私達の人生そのもので、過去の思い出だけが記憶にあって、その先の何かの予感だけがそこにある。
一瞬は私達を離さず、継ぎ目の無い時間はただ前に進んでいるのです。
それを感じさせる、会話の間で終わるラスト。
完璧です。


個人的な感情と結びついてることを抜きにしても、こんな作品には恐らく二度とお目にかかれないのでは。
見逃さない手は無いです。



Did you see how people always says "seize the moment"?
I tend to think that is backwards.
The moment captures us.
Yes.
Yes, of course, is ... is constant.
The time is ...
It's like always
out now, you know?
Yes.



<あらすじ>
「ビフォア・ミッドナイト」のリチャード・リンクレイター監督が、ひとりの少年の6歳から18歳までの成長と家族の軌跡を、12年かけて撮影したドラマ。主人公の少年メイソンを演じるエラー・コルトレーンを筆頭に、母親役のパトリシア・アークエット、父親役のイーサン・ホーク、姉役のローレライ・リンクレーターの4人の俳優が、12年間同じ役を演じ続けて完成された。米テキサス州に住む6歳の少年メイソンは、キャリアアップのために大学に入学した母に伴われてヒューストンに転居し、その地で多感な思春期を過ごす。アラスカから戻って来た父との再会や母の再婚、義父の暴力、初恋などを経験し、大人になっていくメイソンは、やがてアート写真家という将来の夢を見つけ、母親のもとを巣立つ。12年という歳月の中で、母は大学教員になり、ミュージシャンを目指していた父も就職し、再婚して新たな子が生まれるなど、家族にも変化が生まれていた。
映画.comより






2014年11月25日火曜日

神様の言うとおり


神様の言うとおり
2014/日本 上映時間117分 R15+
監督:三池崇史
脚本:八津弘幸
製作:市川南
プロデューサー:前田茂司
石黒裕亮 他
音楽:遠藤浩二
撮影:北信康

キャスト:福士蒼汰
山崎紘菜
神木隆之介
染谷将太 他

49点







”『喰女-クイメ-』は好きだからご堪忍”




中高生に囲まれながら鑑賞。

予告での”赤色ビー玉”を使って規制の範囲内で遊んでる感じで、これは面白いに違いないと感じていたんですがいざ観てみると何とも半端。

『喰女-クイメ』の苺ジャムがPG指定で、『神様の言うとおり』のビー玉がR-15+なのはこれいかに。舞台が高校だからかな。

原作は未読です。






予告にてメインで使われてた赤いビー玉とネズミ。
ここまでは良いんです。

単純にビー玉が弾ける画が面白くてフレッシュだし、いきなりゲームに放り込まれるからこの先の興味の持続も生まれて凄く緊張感もある。
スカートの中から赤いビー玉がじゃらじゃら出て来た時は、三池監督やっとんな!と。
染谷将太は言うまでもない。

2回戦目も、死人続出の状況でネズミの着ぐるみ来て体育館を逃げ惑う姿が滑稽で楽しい。
わざとカメラを引いて撮ったりして間抜けな画になってるのも良いし、全く話には関係なく山崎紘菜さんのセーラー服が裂けて、隙間から肌がちらちら見えるんですけど、つくづく三池監督、やっとんな!と。

ここまでは三池監督の悪ノリ悪ふざけ満載。
まだ話に対してもまだ興味は保ててますよ。

ただこれ以降、やけに馬鹿丁寧と言うか何と言うか。






それまでも気にはなっていた説明台詞に心情吐露、過去の回想が一気に増量。
挙げ句に名前にテロップと分かりやすさ重視の過保護な親切設計に。
悪趣味な描写も以降ほぼ無し。

これは邪推ですが、恐らくメインターゲットの中高生に配慮した作りにするよう折り合いを付けた結果なんだろうとは思います。
説明台詞も心情吐露も、原作の漫画からそのままトレースしてきたのだろうとも思います。
三池監督はこれ以上のことが出来ない訳が無いですから。

ただそのせいで作品全体のバランスが悪くなってるのであればそれは本末転倒。
そもそものゲームのルールも曖昧で緊張感は無いし、切り抜け方も大味で何ともスッキリしない。






もしかしたら、そもそもこの半端な作り自体が意図したものなのかも。
緊張感も無く、気軽に観られる映画を狙っていたのか。
だとしたら成功、じゃないよ。
つまらないもの。

続編の気配むんむんなラストで終わってましたが、正直もういいです。

『喰女-クイメ』は面白かったからご勘弁!!



<あらすじ>
高校生の高畑瞬は、退屈な日常にうんざりしていたが、ある日突然、教室にダルマが出現し、命をかけた授業の開始を告げる。ダルマや招き猫、コケシ、シロクマ、マトリョーシカといった物たちが不気味に動き出し、彼らが出す課題をクリアできなかった者には、容赦のない死が待ち受けていた。
映画.comより







2014年11月19日水曜日

男の魂に火をつけろ!『アニメ映画ベストテン』に参加





ワッシュさんのランキング企画に今年も参加します。

今年のテーマは「アニメ映画ベスト10」
と言うものの、私自身アニメの知識がほとんど無くて、巷で話題になっている作品も数年遅れて後追いで鑑賞して熱を上げることがほとんど。
そもそもの観ている母数が少ないので、あれこれ悩むことなくスっと10作品上がりました。

こんな調子なので、全てピクサー作品、なんてことにならないよう、作品を上げる段階でなるべく”まんべんなく”なるよう心がけて、同一作者、スタジオの作品はダブりが出ないようになるべく、なるべく気をつけました。ある作品を除いては。


ランキングは12月14日はまで受付中なので、皆さんも参加するべし!
祭りだ祭りだ。


・男の魂に火をつけろ!「アニメ映画ベスト10」受付中





10位.『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』

The End of Evangelion
1997/日本 上映時間87分
『Air』約46分
『まごころを、君に』約40分
監督:庵野秀明
鶴巻和哉
脚本:庵野秀明
キャスト:緒方恵美
三石琴乃
林原めぐみ




そこまでアニメを詳しく知らない私が、ただ唯一ハマり…いやドドドドハマリしたアニメがご多分漏れず「新世紀エヴァンゲリオン」
何回観たかしれません。

ファンと”創造主”庵野秀明とのバトルの壮大なフィナーレ。
その果てに見つけた”ここにいていいんだと”言う希望。
観る度にずーんとされられつつ、それが癖になってまた観ちゃう。

魂のルッフラ〜ン♪



9位.『劇場版機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』

Char's Counterattack
1988/日本 上映時間120分
監督・脚本:富野由悠季
製作:伊藤昌典
音楽:三枝成章
キャスト:古谷徹
池田秀一
鈴置洋考






大人。2人とも大人。
時に生身で、時にモビルスーツで熱い拳を交え合う。
バスローブでブランデーなんか飲んで。
もう大人ねぇ。


『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の時に実感したんですけど、観ているこっちも思わず力んでしまうようなシンプルな戦いの構図が個人的に好きで。

今作で言うと、衛星を落下させる、それを食い止める。
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』だったら敵戦艦の進行を食い止める。
もはや相撲ですね。押すか引くか。

このシンプルな構図を男達の濃密なドラマが包み込んで、もう熱いエモーションのミルフィーユ状態。

サザビーのことは言うまでもない。
最高にクールの一言。




8位.『劇場版デジモンアドベンチャー』

劇場版デジモンアドベンチャー
1999/日本 上映時間20分
監督:細田守
脚本:吉田玲子
作画監督:山下高明
キャラデザイン:中鶴勝祥
美術監督:徳重賢
音楽:有澤考紀







アグモンが成長期を過ぎると人間の言葉を話さなくなる、獣としてデジモンを描く演出が効いていて、そこからタメてのラストの笛の音がグッと来る。

短い上映時間で起承転結が的確。
全編に渡って流れる「ボレロ」、日常的な団地の画に巨大な怪獣同士が戦う姿、それを子供達だけが眺めてる様も素晴らしい。




7位.『東京ゴッドファーザーズ』

Tokyo Godfathers
2003/日本 上映時間92分
監督:今敏
脚本:信本敬子
原作:今敏
製作:滝山雅夫
小林信一
キャスト:江守徹
梅垣義明
岡本綾




今敏作品では一番回数観て、一番好きな作品。
それぞれにキャラも立ってるし、背景の描き込み、動きの気持ち良さ、どれを取っても一級品。

今年もこの季節がやって来ましたね。



6位.『トイ・ストーリー3』

Toy Story3
2010/米 上映時間103分
監督:リー・アンクリッチ
脚本:マイケル・アーント
原案:ジョン・ラセター
アンドリュー・スタントン 他
製作:ダーラ・K・アンダーソン
製作総指揮:ジョン・ラセター
キャスト:トム・ハンクス
ティム・アレン




ピクサーが堂々と3D映画の未来について言及した短編『Day and Night』も素晴らしい。
本編は輪をかけて素晴らしい。

成長するにつれて避けられないおもちゃとの別れ、アンディとおもちゃの関係をしっかり閉じてくれた優しい映画。

今だにおもちゃで遊んでる身としては少々心苦しさを感じつつ、目に涙。

冒頭のホームビデオはズルい。




5位.『劇場版魔法少女まどか☆マギカ【新編】叛逆の物語』

魔法少女まどか☆マギカ【新編】叛逆の物語
2013/日本 上映時間116分
監督:新房昭之
宮本幸裕
脚本:虚淵玄
キャスト:悠木碧
斉藤千和
水橋かおり







評判を聞き完全に後追い鑑賞。2〜3日で全話観て、その足で劇場へ。
結果3回観てる始末。
話が複雑で分からないからではないんです。
ただただあいつらに会いたくなる…!!


・めくるめく、キネマの思ひ出/劇場版魔法少女まどか☆マギカ【新編】叛逆の物語




4位.『時をかける少女』

時をかける少女
2006/上映時間98分
監督:細田守
脚本:奥寺佐渡子
キャスト:仲里依紗
石田卓也
板倉光隆
原沙知絵 他






夏の青さに彩りを加える背景、日常の描写の描き込み。
観ていて思う、夏っていいな。

個人的に『リンダリンダリンダ』『櫻の園』と並ぶ、最高の”一瞬の輝きがスクリーンに焼き付いてる”ムービー




3位.『LEGO ムービー』


The LEGO Movie』
2014/米・豪・丁 上映時間100分
監督・脚本・原案:フィル・ロード
クリストファー・ミラー
原案:ケヴィン・ハーゲマン
ダン・ハーゲマン
製作:ダン・リン
ロイ・リー 他
製作総指揮:アリソン・アベイト
マシュー・アシュトン 他
音楽:マーク・マザーズボー
撮影:デイビット・バロウズ

キャスト:クリッス・プラット
ウィル・フェレル
エリザベス・バンクス






大傑作…!!
レゴがレゴのままでレゴにしか出来ない動きでいる、動いてる!!
これだけでも十分なのに、想像とは何か、遊ぶとは何かを伝える熱いメッセージ。
全ては最高。


・めくるめく、キネマの思ひ出/LEGOムービー




2位.『魔女の宅急便』



魔女の宅急便
1989/日本 上映時間102分
監督・脚本:宮崎駿
製作:徳間康快
都築幹彦
高木盛久
色彩設計:保田道世
撮影:杉村重郎
編集:瀬山武司
原作:角野栄子

キャスト:高山みなみ
佐久間レイ
戸田恵子
山口勝平






『時をかける少女』同様、少女が放つの一瞬の輝きを切り取った映画が大好きなんですが、その意味で『魔女の宅急便』は完璧。

まずこのポスターワークが良いじゃないですか。
パン屋のカウンターで、少し悩みありげな目をしてこっちを見つめてる。
これです、これなんです。
宮崎駿この野郎…!!

キキを成長させる要素の一つに、”街”が重要な役割を果たしてるのも良くて、今年で言うと『舞妓はレディ』もそうなんですけど、見知らぬ土地で段々と周りの人の協力を得て自信を付けていく様子はそれだけでドラマだし(『千と千尋の神隠し』なんかもそう)、それを経て、この街で私は生きていくんだ、と言うラストの成長。それを告げる手紙がとても良い。


オープニング、旅に出る高揚感に合わせてボリュームを上げて流れる『ルージュの伝言』
ここだけで100点満点です。




1位.『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』


EVANGELION:2.0 YOU CAN (NOT) ADVANCE
2009/日本 上映時間108分
監督:庵野秀明
摩砂雪
鶴巻和哉
脚本:庵野秀明
製作:カラー
製作総指揮:大月俊倫
庵野秀明
音楽:鷺巣詩郎
主題歌:宇多田ヒカル「Beautiful World -PLANiTb Acoustica Mix-」

キャスト:緒方恵美
林原めぐみ
宮村優子
坂本真綾 他






別格の1位。

公開当時の劇場の様子は今でも強烈に、はっきりと覚えています。
混沌とは正にこのこと。体験で言うと『この空の花-長岡花火物語』に近いんですけど、あの作品が自分の内から沸き起こる感情としてのカオス具合だとしたら、『ヱヴァ:破』は劇場全体丸ごとカオス。満席の劇場に詰めかけてる観客全員が皆もれなくエヴァファンなんだから、その目に見えない感情のうねりがムンムン。あの日、あの場所は間違いなくサードインパクトの爆心地でした。

足し算的に加わったフレッシュな要素はあっても、大筋のお話は実はあまり手を加えられていない『破』
変わったポイントが3号機パイロットと、初号機の覚醒。
3号機パイロットが変更になった瞬間そこから物語のレールが変わったんだとハッキリ思いました。
あ、庵野さん、破壊しにきたと。

そして、自分含め多くのエヴァファンが叫び声をあげそうになりながら興奮したポイントが、ゼルエル戦での初号機の覚醒。
元のテレビシリーズでは覚醒は原因不明で、使徒を喰らってS2機関を取り込むその画づらに相当なインパクトがあったんですが(それによって何が起こったかを語ると脱線するので割愛)、そこがクライマックスにあたるこの『破』では大きな改変。

初号機の覚醒が、シンジ君の明確な意思によって起こるのです。
旧劇の上映から12年。シンジ、お前やったなと。ついにやったんだなと。

12年分の思いがここに宿ってる訳です。
あのシクシク泣いていた、ここにいていいのかどうか悩んでいた君はもういない。
いったれシンジ!人の形に戻れなくなっても!!

鼻息荒いです。劇場全体鼻息荒いです。
激しく激しくエモーショナルなシーン。
体勢は前のめり。

すると、その盛り上がりが最高潮になった時、流れてくるじゃないですか。
「翼をください」が。合唱で。

興奮で最高に沸騰してる頭に、翼をください。
何だか知らないけど、猛烈に、恥ずかしい。
うぅ、うぅ、恥ずかしいよぉ。

ただ、この空気がとてつもないうねりになって劇場内に充満し始めると、そこは正に混沌(カオス)
なんだか分からないけど、涙が止まらない…!!

右隣の人も、左隣の人も号泣してる。
ちらほら嗚咽のような声も聞こえてくる。
劇場にいるだれもがそれぞれの感情をむき出しにしてシンジ君を見守っているのです。

あとは劇中のミサト同様状況に身を任せるしかないです。

赤く包まれた、悪魔の様な初号機の姿で映画は終わります。
放心。

そして流れる宇多田ヒカルの主題歌もすごく良いんだ。
乾いたギターの音が良いんだこれが。

こんなのエヴァじゃない!という声も聞きます。
もっと内向的なのがエヴァだと。

いや違う!!
このカオス加減も間違いなくエヴァのエヴァたる所以のはず。
こんな体験、後にも先にもありません。

このラストのシンジ君の選択を全てマイナス方向に反転させる、『Q』もとんでもない作品なんですが、話が脱線するので割愛。『Q』も大好きです。








1位.ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破
2位.魔女の宅急便
3位.LEGOムービー
4位.時をかける少女
5位.劇場版魔法少女まどか☆マギカ【新編】叛逆の物語
6位.トイ・ストーリー3
7位.東京ゴッドファーザーズ
8位.劇場版デジモンアドベンチャー
9位.劇場版機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
10位.新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に



1位だけ文量が偏ってしまった。
愛故です。やむなし。

ランキングを付けるにあたって、十日間で10作品を見返す日々を過ごしてましたが、これがなんとも楽しくて。
来年はどんなテーマになるのでしょうか。楽しみだなぁ。

もう11月。
そろそろ年間ランキングの準備等も。


2014年11月15日土曜日

サボタージュ


Sabotage
2014/米 上映時間109分 R15+
監督:デヴィット・エアー
脚本:スキップ・ウッズ
デヴィット・エアー
製作:ビル・ブロック
デヴィット・エアー 他
製作総指揮:ジョー・ロス 他
音楽:デヴィット・サーディ
撮影:ブルース・マクリーリー
原作:アガサ・クリスティ「そして誰もいなくなった」

キャスト:アーノルド・シュワルツェネッガー
サム・ワーシントン
オリヴィア・ウィリアムズ 

40点



”奇妙奇天烈どうしてこうなった”






奇妙奇天烈…!!
何たる奇妙な作品であるか。

所々にデヴィット・エアー節を感じつつ、映画全体とにかく歪。

ディテールを取り出せば好きな箇所もある。
ただ決して褒められた出来じゃない。

デヴィット・エアー、どうしてこうなった。


ネタバレ全開なのでご注意ください




2014年11月13日木曜日

誰よりも狙われた男


The Most Wanted Man
2013/米・英・独 上映時間122分
監督:アントン・コービン
脚本:アンドリュー・ボーヴェル
製作:スティーブン・コーンウェル
ゲイル・イーガン 他
製作総指揮:ジョン・ル・カレ
テッサ・ロス
音楽:ヘルバート・グリューネマイヤー
原作:ジョン・ル・カレ「誰よりも狙われた男」

キャスト:フィリップ・シーモア・ホフマン
レイチェル・マクアダムス
ウィレム・デフォー
ロビン・ライト 他

88点





”かすめ取られた正義”





シャンテだと14日に公開終了すると聞き慌てて駆け込み鑑賞。

お話は直線的で分かりやすい。
ショットの緩急も鮮やかでツボを付いてくる。
万人におすすめ出来るスパイ映画。

そしてフィリップ・シーモア・ホフマン、なんでもういないんだよ…。


ネタバレ注意です。




2014年11月8日土曜日

エクスペンダブルズ3 ワールド・ミッション


The Expendables 3
2014/米 上映時間126分
監督:パトリック・フューズ
脚本:シルヴェスター・スタローン
クレイトン・ローゼンバーガー
製作:アヴィ・ラーナー
ダーニー・ラーナー 他
製作総指揮:トレヴァー・ショート
ボアズ・デヴィッドソン 他
音楽:ブライアン・タイラー
撮影:ピーター・メンジュース

キャスト:シルヴェスター・スタローン
ジェイソン・ステイサム
アントニオ・バンデラス 他

86点






”原点回帰の世代交代、そして共闘”




今作に関しては、もう”有識者”と呼べるような激アツな方々がいらっしゃいますし、S級に出来の良いパンフレットもあるので、私の出る幕ではございません。

特に激アツ大火傷必至なお二方がいらっしゃるので、僭越ながらリンクを張っておきます。刮目せよ!!


明日から真似したくなる漢の映画/エクスペンダブルズ3 ワールド・ミッション〜男なら、さよならだけが人生ではないと言え!〜

放課後エクスペンダブルズByデッドプー太郎/今度は俺達がスタローンに伊藤ハムを送るべきだ!!「エクスペンダブルズ3」前編



そして劇場で販売しているパンフレット。
これが相変わらず素晴らしい出来でして読み物としても最高。
これさえ読んでおけば今作に関しては完全に怖いものなし。
映画界最強のパンフレットです。


とは言いつつ、自分も言いたい事があるぞ!!
そして、私なりのこの映画の見方もあるぞ!!






結論から先に言うならば、今作『エクスペンダブル3 ワールド・ミッション』シリーズ最高傑作。
間違いなくこれだけは言えるのは、シリーズ中最もバランスの取れた映画としてのグレードがグっと高くなった一本…!!

一番変わったなと感じたのは、随所のキメ画の格好良さ。
序盤のステイサムが運転するトラックでのカーチェイスシーン。
後ろからの追っ手を、車を横に向けてスライドさせ反撃。
この時、荷台の面々がそれぞれ配置に付いた状態でスライドするんですけど、これがめちゃくちゃ格好良い…!!

ぐーっとスライドするトラック。
スクリーンの端から端を使った綺麗な配置。
こちらに向けられる銃身。
し、痺れる!!

エクスペンダブルズの面々が最終決戦へ向かう途中。
丘の上に佇んでみせるカットにしたって一々格好良い。

そりゃそうだ。
あの面々がズラッと並べば画になるよ。
ただ、今回はそれを映画的にしっかり見せる、魅せる…!!

アクションシーン以外でもしっかり酔いしれる作りになってる。
随所に手堅く格好良いんです。

あの最終決戦に向かう前の、滑走路に立つ男達の背中は何なんですか!?
痺れさせ殺す気か!?

今作に大抜擢されたパトリック・ヒューズ監督、良い仕事しております。






一作目が、スタローンから若い世代への世代交代。
二作目が、80年代アクションスターの大同窓会。

だとしたら、今作のテーマはズバリ一作目の次の世代へのバトンタッチの原点回帰。
そしてその先へ行く若い世代との共闘。
その意味で、シリーズで一番バランスの取れた一本だと感じたのです。

で、スタローンパイセン、何が素晴らしいって、今作でほぼ新人監督を抜擢する作り手側の世代交代にまで手を伸ばす。そして抜擢されたパトリック・ヒューズ監督が前述の通り手堅く良い仕事してるのがまた素晴らしい。
スタローンパイセン、見る目ありますね!!

前作にあったような映画としての明るさが抜けた分、初登場の”デスペラード”アントニオ・バンデラスにコメディリリーフをやらせて空気を和ませる。

このバンデラスがまぁ良く喋るんですが、一見意味の無い無駄話が後々しっかり意味を持って効いてくる。しっかり仲間に加わるきっかけになってる。
底抜けの明るさの裏の、物凄い闇も同時に背負っているのだと知って、もうバンデラスがいじらしくて、もう!!

その彼の素性が分かった時、劇伴にさりげなくスパニッシュギターの旋律が…

泣かせるね!!
良い仕事してるねパトリック・ヒューズ!!






今作から登場したケラン・ラッツ筆頭の若い衆達。
彼等の登場で純度の高いエクスペンダブルズが薄まってしまった?

分かります。
ただ個人的な意見を言うならば、彼等はこの作品に必要不可欠!!
なぜなら、彼等の歳がズバリ自分と同じ。
つまり、エクスペンダブルズにもし自分が加入したらと妄想出来る共感度MAXのキャラ達なのだ!!

今まで端から眺めているだけだったお祭りを、今回はその輪の中でわっしょいわっしょい。

ラストの酒場での打ち上げですよ。
憧れのエクスペンダブルズに加入出来たと、その証のタトゥを見せ合う若い衆。
それを嬉しそうに眺めるスタローンパイセン。

若い衆が歌う無礼講なカラオケを、優しい眼差しで見つめるスタローンパイセンとステイサムパイセン。

その眼差しが自分へのそれのようにも感じられて思わず熱い涙が。

ああそうだ。自分だって所詮はこの世に生まれたからなにゃ、消耗品。
この命、擦り切れるまで派手に使い切ってやるぜ!!






今作で3ヶ月ぶりに日本での興収で洋画が1位になったそうで。
私にはこう言う会話が聞こえてきます。

エクスペンダブルズ3「仇は取った」
ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー「ありがとうな」

老若男女に国籍問わず、心に消耗品魂がある者。
全員劇場に駆けつけるべし!!


<あらすじ>
バーニー率いる消耗品軍団=エクスペンダブルズの前に、チーム結成時のメンバーでありながら、バーニーと袂を分かち、悪の武器商人になったコンラッド・ストーンバンクスが現れる。チームの弱点を知り尽くした過去最強の敵に対し、エクスペンダブルズは崩壊の危機に直面する。「ブレイブハート」のメル・ギブソンがコンラッド役に扮し、エクスペンダブルズにコンラッド捕獲のミッションを下すCIAの作戦担当者ドラマー役で「インディ・ジョーンズ」のハリソン・フォードも出演。
映画.comより



 


2014年11月6日木曜日

ジャージー・ボーイズ


Jersey Boys
2014/米 上映時間134分
監督:クリント・イーストウッド
脚本:ジョン・ローガン
製作:ティム・ヘディントン
グレアム・キング
製作総指揮:ボブ・ゴーディオ
ティム・ムーア
フランキー・バリ
撮影:トム・スターン
編集:ジョエル・コックス 他

キャスト:ジョン・ロイド・ヤング
エリック・バーガン
ヴィンセント・ピアッツァ 他

90点




”齢84にしてこの軽やかさ”



丸の内ピカデリーにて鑑賞。
平日夜の回だからか客入りはまばら。
客層は年配の方が多めの様子。

ただ、映画の終盤では皆首を振ったり、身体を揺らしたり、それぞれ思い思いにリズムに乗って映画を楽しんでいる雰囲気。
もちろん自分も。

物凄く幸福な空気に満ちていました。


84歳でこの軽やかな語り口は脱帽。
いや、その歳だからこそ出来るのか。

映画だからこそ出来る優しさと幸せに満ちたラストにやられました。






とにかく映画全体軽やかの一言。
無駄無くサラッと流れるような、語り口、話運び、本当に鮮やか。

そして全体に照れというものが本当に無い。
フォー・シーズンズの、フランキー・バリの成功と挫折、再生を丁寧に、優しさを持って描ききる。
そこにはシニカルさだったり、意地悪な視点は皆無。
彼等へのリスペクトと、元のミュージカルの魅力をしっかりと描く、真っ当なエンターテイメント。

この照れの無さが観ていて本当に爽快。

この作品の何が良いって、観てる間、そして観終わった後の幸福感が半端じゃないんですよ。
前述の、皆で首を振ったり身体を揺らしたりってことはここから来てるんです。


合間に挿入されるフォー・シーズンズの楽曲もしっかり物語に寄り添っていて、物語に奥行きを生んでます。
あのタイミングで流れる「Fallen Angel」は本当にズルいし、「Sherry」のヒットでグループが軌道に乗る件の高揚感と、そこから次々ヒット曲が生まれる瞬間の省略の気持ち良さですよ。


細かな演出も冴えていて、個人的に一番好きな箇所は、フランキー達がレコード会社のビルに入ったところで、カメラがそのまま上昇して、一階、二階、と窓の外側か室内の色んなミュージシャンを写していくシーン。
この鮮やかさ、気持ちよさ。
そして、カットが変わってエレベーターホールにさりげなくいるあのトランペッター。
もうお見事という他ないです。

思わず「うわぁ、気持ちいいぃ…」と一人観ながら呟いてました。
本当に気持ちいい。


元のミュージカルから引っ張って来た、劇中の人物が観客に語りかける、いわゆる”第四の壁”を超える演出もこの映画でもしっかり効果的。

メンバーそれぞれがこちらに語りかけてくるから、一面的な窮屈なお話に終わらない作りに。






そもそもの話をするならば、フォー・シーズンズの楽曲が今聴いても良いんですよ。
勿論サントラ買いました。
これは必携です。
(アメリカン・ハッスル、インサイド・ルーウィン・デイビス、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー。今年は必携サントラが多いなぁ)

その最たるものが「君の瞳に恋してる (Can't Take My Eyes off You)」ですよ。
この楽曲にそんなドラマがあったなんて。

何より、物語が自分の知っているこの曲に結びついたことに感動を覚えて鳥肌。
この一連のエピソードは滝のような涙を流してしまいました。


そしてラスト。
映画だからこそ出来る優しさと幸福感に満ちた演出に笑いながらもまた涙。
これはミュージカルでも小説でも不可能。
映画だからこそ出来るマジック!

そこからの畳み掛けるようにフィナーレのダンス。

拍手!
クリストファー・ウォーケンが踊ってる!
拍手!!拍手!!







来年6月にミュージカル版「ジャージー・ボーイズ」が来日するそうで。
言ってみようかなー。








<あらすじ>
2006年トニー賞でミュージカル作品賞を含む4部門を受賞した、人気ブロードウェイミュージカルを映画化した。アメリカ東部ニュージャージー州の貧しい町に生まれた4人の若者たち。金もコネもない者が町から逃げ出すには、軍隊に入るかギャングになるしかなかったが、彼らには類まれな美声と曲作りの才能があった。4人は息の合った完璧なハーモニーを武器に、スターダムを駆けあがっていく。ミュージカル版にも主演し、トニー賞でミュージカル男優賞を受賞したジョン・ロイド・ヤングが、映画版でも主演を務めた。
映画.comより




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