2013年11月5日火曜日

スティーブ・ジョブズ

2013/アメリカ 上映時間122分
監督:ジョシュア・マイケル・スターン
脚本:マット・ホワイトレイ
製作:マーク・ヒューム
製作総指揮:マーク・ヒューム
ロナルド・バラード
ビル・ジョンソン 他
原題:『Jobs』

キャスト:アシュトン・カッチャー (スティーブ・ジョブズ)
ジョシュ・ギャッド (スティーブ・ウォズニアック)
アマンダ・クリー (ジュリー)
ダーモット・マローリー (マイク・マークラ)
マシュー・モディーン (ジョン・スカリー)


40点

"ジョブズはこの出来を許さないと思う”
アップルを作った人、スティーブ・ジョブズ氏の映画でございます。
ご存知の方も多いとは思いますが、スティーブ・ジョブズ氏の人生は本当にドラマティックで波瀾万丈。
彼のWikipediaを読んでいるだけでもうに無類におもしろいんですよ。

なので、元が面白いのでそのまま映像にすればある程度は面白くなることは確実、なはずなんですが、ダメだよこれ。ジョブズに怒られるよ。



スティーブ・ジョブズ


アシュトン・カッチャー


まず良かった所!!
劇中の世界観の作り込みは相当良かったです。
アップルの協力は無かったそうですけど、社内の雰囲気は恐らくはこんな感じだったのであろうと説得力をもった美術とセット。

役者さん達の演技も良いです。皆実在の人物に瓜二つ。
それを象徴するキャラクターが、アシュトン・カッチャー演じるスティーブ・ジョブズその人ですよ!!

似ているなんてもんじゃない。
本人かと見まごうシーンも何カ所かありました。
顔だけじゃなくて、ジョブズの猫背で歩幅を小さく歩く感じも、ぽい!!

この、アシュトン・カッチャー”ジョブズ”がこの映画の何よりの説得力。
恐らく作り手側もアシュトン・カッチャーのキャスティングに勝機を見たのでしょう。その意味ではこのキャスティングは大成功ですよ。

世界観の作り込み良し、役者陣良し、主演の俳優良し。
じゃあなにがダメか。お話ですよ。

本当にもったいない!!
実際の話が面白いのに、もったいないよ!!






確かに元のお話が面白いので、エピソード単位ではワクワクします。
その意味では面白いです。

ただ、会社の成長、初代Macintosh開発、Appleへの返り咲き等々、いくらなんでも重要なエピソードをジャンプカットで飛ばし過ぎ。
飛ばしちゃうから映画的にクライマックスに向かって盛り上がって行かないし、過程を飛ばしちゃうから感情移入も出来ない。ジョブズのクソ野郎ぶりが際立つだけです。

一番飽きれたのが、ジョブズが会社から追い出されてしまうことになる劇中で一番盛り上がるエピソード。
追い出されたと思ったら、一気に時間を飛ばして、その間のジョブスの活躍を大幅に省略して再び返り咲き。体感にして数分です。

その間のジョブズの苦悩ぐらい描こうよ。
しかもその間ピクサー絡みの激しく面白いエピソードあっただろ!!
入れろとは言わないけど、そこに触れるぐらいしようよ。






この映画全体に言えることなんですか、ジョブズが壁にぶつかっても、割とすんなり解決してしまうんですね。
何ですらすら解決してしまうかと言うと、それは”スティーブ・ジョブズ”だから。
「スティーブ・ジョブズってさ、ほら、なんか凄いこと考えてるじゃん、だからさ」と言わんばかりに、それ以上の描写が全く無い。

壁にはぶつかるが、割とすんなり解決するこの感じ。
例えるなら、修行のシークエンスがないジャンプ漫画です。
敵に勝つ理由が、主人公であること以外にない。

歯ごたえ無し。

あと全体に話が散らかってます。
最初は創立初期メンバーの友情を描いてた風で、途中から初期メンバー放っといて会社の経営のお話。その合間合間に雑に挿入されるジョブズの家族の話。
観終わったあと、あれ、結局なんの話だったったけ、と思わずにはいられない。

クライマックスもとても中途半端。
しかも、長年の同僚をクビにした直後に感動げなジョブズのナレーションと回想で終わりって、観ているこっちはどういう気持ちになればいいのさ。






ジョブズ氏は製品に完璧さを求めた人だと聞きます。

あるエピソードでは、iPodを開発していた時のこと、受け取った試作品のiPodを金魚鉢に沈め、「気泡が出ただろ。この分まだ無駄なスペースがあると言うことだ」と改良を命じたそうです。

この映画を観たジョブズは間違いなくこう言うでしょう。
「なんだこれは、作り直せ」

たーだただ、アシュトン・カッチャー”ジョブズ”は素晴らしいです。
そこだけがこの映画の救い。

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