2013年11月22日金曜日

悪の法則

2013/イギリス・アメリカ 上映時間117分
監督:リドリー・スコット
脚本:コーマック・マッカーシー
製作:リドリー・スコット
ニック・ウェクスラー 他
製作総指揮:マイケル・コスティンガム
マーク・ハッファム
原題『The Counselor』

キャスト:マイケル・ファスベンダー (カウンセラー)
ペネロペ・クルス (ローラ)
キャメロン・ディアス (マルキナ)
ハビエル・バルデム (ライナー)
ブラット・ピット (ウェストリー) 他


70点


”かっこつけて、ワルなことしちゃ絶対ダメ!!"
リドリー・スコット監督、スター俳優勢揃いで、そのビックネームぶりに釣られたのか、観に行った劇場内は若いカップルがうようよ居たんですけど、上映中、上映終了後の空気はさながらお通夜のようでありまして、そこらからちらほら「つまんなーい」「おもしろくなかったー」と言った感想が聞こえてきました。南無阿弥陀仏。

その気持ち分からなくはない!!

ただ、個人的な感想はつまらなくはかったです。
むしろ面白かった!!



スターに囲まれる中でファスベンダー負けてませんでしたよ



この映画とにかく台詞の数が多い。前半は特に多め。
しかも、台詞の量が多い上にどれも比喩的。
煙に巻かれて眠くなってくるのもとても良く分かります。
それ故に、その会話劇に乗れないと「つまらない」と感じる気持ちも分かります。

でも、だからと言ってお話が分かりにくいと言う訳ではなく至ってシンプル。

要するにこう言うお話です。
お金も、社会的地位も十分にある男が、自分の中に存在するちょっとした欲で”悪”の世界に足を突っ込むが、その更に上を行く強欲の持ち主に全てをかっさらわれるお話。
つまり、”カッコつけで悪いことしちゃダメよ”って、そう言う映画です。

なので、スカッとするカタルシスは全くありません。
主人公は本物の悪に始めから最後までコテンパンにやられます。

そこをつまらないと取ってしまうかどうなのかは人それぞれですけど、少なくともカップルで観に行く様なデートムービーでは全くないので注意。



アクセサリーなんかもとにかくデカい


この映画、人間の持つ欲ってものが前面に描かれてるんですけど、それを一心に体現するキャメロン・ディアスが素晴らしい。

彼女は欲の塊でして、その強欲っぷりが本当に観ていて気持ちがいい。
友達の結婚指輪を値踏み、直ぐお腹すく、歯には金歯を装着、そして性欲。

中盤、愛人関係にあるハビエル・バルデムが主人公のマイケル・ファスベンダーに、彼女の性癖について相談するシーンがあるんですけど、劇場内が引いてる中一人で笑いを堪えるのに必死でした。
なんでも彼女は、突然車から降りて、車と”そう言う行為”をしだしたのだと。
それを唖然として見つめるハビエル・バルデムの顔がまた笑える。

しかも、彼女の願望は全ての車と”そういう行為”をしたいんだそうです。
バカですねぇ。本当にバカ。

他にも、チーターが獲物を食らってる姿に性的興奮を感じるなどなど。
バカですねぇ。
肉食のメタファーとしてのチーターもいい感じ。
気持ちのいい強欲っぷりです。
そして彼女が、物語の裏で暗躍する”悪”なんです。

つまり、変態なまでの強欲が悪の世を制する。
そう言うことです。

それに対するマイケル・ファスベンダー演じるカウンセラーも、ど頭で『シェイム』ばりの”プレイ”を見せてはいますが、キャメロン・ディアスの強欲の前ではなす術も無いのです。



ヒョウ柄がまた素敵で


ノーカントリーでシガーが使っていた空気圧搾機よろしくな特殊な凶器も凄く良かったです。
しかもその被害者がアイツなのは、ファンとしては嬉しい所。
あんな無様なアイツは『バーン・アフター・リーディング』であっさり死ぬところ以来です。
ただ、もっと顔を映してほしかった!!

予告編でお馴染みの”ワイヤー”も非必要に残酷でとてもよろしい。



スパッと切れて、死んだことにも気付かないんだろうな



ネットなどで低評価が目につきますが、個人的なことを言わせてもらうと、諸手を上げてって程じゃないにしても、結構面白かったです。
ペネロペ・クルスのゴミ収集場でゴローンも身も蓋もなくてよかった。

2時間かけて、「素人が下手にこう言う世界に入るとこうなるんだから、ダメよ」とお説教されてる気はしなくもないですが、それもいいじゃないですか。お勉強ですよ。

とてもスカッとする様な映画じゃないのは予告の段階で分かっていたはず。
隣で「つまらないつまらない」と連発していたカップルの彼氏の方よ。
それは観に来たあなたが悪いと思うよ。

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