2015年4月9日木曜日

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密


The Imitation Game
2014/英・米 上映時間114分
監督:モルテン・ティルドゥム
脚本:グレアム・ムーア
製作:ノーラ・グロスマン
アイドー・オストロウスキー 他
製作総指揮:グレアム・ムーア
音楽:アレクサンドル・デスプラ
撮影:オスカル・ファウラ
編集:ウィリアム・ゴールデンバーグ

キャスト:ベネディクト・カンバーバッジ
キーラ・ナイトレイ
マシュー・グッド
ロリー・キニア 他

88点





”普通じゃない者にしか見えない世界”





最寄りのTOHOにて鑑賞。
アカデミー賞での脚色賞受賞も頷ける確かな秀作。





大戦の裏で暗躍していた秘密結社。不可能を可能にしようとした熱い技術者物語。不寛容を巡る物語。天才にしか分からない苦悩…。
今作の切り口は無数にあって、どこを取っても素晴らしい。
ストレートに娯楽作としても楽しい作りだし、それでいて最後にドスン残る余韻もある。
まず、この沢山の要素を破綻無くまとめ上げた脚本がお見事。
アケデミー脚色賞受賞も強く納得。

プロジェクトX的な熱さも感じさせる技術者達のエニグマ解読を軸に、それぞれのエピソードを分離させることなく一本の太いお話に。

エニグマ解読の鍵を掴んで、研究室に駆け込んで徹夜する件はストレートに燃えるシーンだし、終戦後の人知れずのチーム解散もどこか格好良さすら感じさせる。






今作を観ていて連想した作品が宮崎駿の『風立ちぬ』
物語以上に、それぞれの主人公のあり方に通ずる部分があるなと感じました。
それが、”普通じゃない(=天才)”であるが故に、彼等には”普通の人”には見えない世界が見えていて、彼等の頭の中には完璧な世界が広がっていると言うこと。
そしてそれは、裏を返せば、誰からも理解され得ない孤独な世界だということ。

ただ、この”孤独”であるという見方は、”普通じゃない者”が勝手に図った言わばレッテル。
ラストにて、ずっと守り抜いて来た解読機の姿が映されて、涙するアラン・チューリングの姿は一見切ないようにも見えるんですが、あれは彼にとっては最愛の人の別の姿であって、その愛を守り抜いた尊さに満ちていると思います。

ただ、彼を巡る時代の不寛容さは如何ともし難い息苦しさに満ちてる。
時代で括れない個人の不寛容さに満ちている今の時代、この作品が最後に残す問いはズシンと重いです。






時制の前後のさせかたで一部ズルをしてる箇所(冒頭の取り調べは大戦後の話だったんかい)が少し観ている間気になったりもしましたが、そんなことは些細なこと。

今この文章を打っているパソコン。
これも彼が残した偉大な遺産の恩恵の上に成り立っているのだと思うと、背筋が伸びるおもいであります。

ストレートにエンタメとしても面白い。
最後に残るメッセージもガツんと来る。
主演のベネディクト・カンバーバッジを筆頭に、脇を固める役者陣も皆渋く光ってる。
余談ですが、今作と『はじまりのうた』で完全にキーラ・ナイトレイにやられました。
あのクシャッとあせて笑う笑顔が最高にキュートでチャーミング。




<あらすじ>
1939年、第2次世界大戦が始まり、イギリスはドイツに宣戦を布告。ケンブリッジ大学の特別研究員で、27歳にして天才数学者と称えられるアラン・チューリングは英国政府の秘密作戦に参加し、ドイツ軍が誇る暗号エニグマの解読に挑むことになる。解読チームには6人の精鋭が集められるが、他人と協調することを嫌うチューリングとチームメンバーとの間には溝が深まっていく。
映画.comより




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