2015年4月17日金曜日

ソロモンの偽証 前篇・事件


ソロモンの偽証 前篇・事件
2015/日本 上映時間121分
監督:成島出
脚本:真辺克彦
製作:矢島孝
秋田周平
製作総指揮:大角正
撮影:藤澤順一
編集:三篠知生
音楽:安川午郎

キャスト:藤島涼子
佐々木蔵之介
夏川結衣
永作博美 他

90点






”二人の藤野涼子にあっぱれ”






中学生が学校内裁判ってどういうことよ…!?
と、観る前からその突飛なお話にかなり舐めた態度でいた鑑賞前。
すみませんでした。そりゃ裁判やるしかないよ…!!

一見すると荒唐無稽な展開も、無理のない構成で見せる圧倒的なパワーにやられました。
そして生徒役を演じた役者さん達の真っ直ぐな演技。
映画全体が彼等の力強さと、脇を固める役者陣のパワーで満ちている。







映画全体に満るパワー。
冒頭の松竹のロゴも相まって日本映画の良い意味での強引さがお話を引っ張る。
ベタな演出もかなりあるんですけど、全てがふざけてない。本気でやってるから鼻白むことは全く無し。

今作の心臓。
映画全体に熱いものを注入しているのが生徒役を演じている役者さん達の真っ直ぐな演技。
特に今作の役名でデビューをした主演の藤野涼子さん。彼女の熱演と、顔…!!
今作、役者の顔のクローズアップがやたら多いんですが、特に彼女の顔のアップ、プラス涙が多い。映画で顔のアップを多用するのは良くないんですが、良いんです。今作のテンションだとこれが正解。
例えば映画中盤、いじめを目撃してしまい、どうすることも出来ずにその場から立ち去ろうとする藤野さんと、それを目撃して彼女に口先ばかりの偽善者と咎める柏木くん。
ここで最初藤野さんの顔を映して、次に柏木くんにカメラをパン。そして藤野さんにカメラを戻すと、彼女が大粒の涙を流しているんです。ここをワンカットで見せる。
この演出は見事だし、なにより藤野さんの表情が本当に良い。

このワンカットで涙させる演出を今作は劇中で二回やるんです。
普通の映画なら確かにクドい。でも今作ならアリ。
なぜなら若い役者さん達のパワーに満ちていて全く嫌みがない。

もっと言うならば、この映画が描こうとしている、何かを掴もうとしている生徒達の姿に、今作がほぼデビューとなる実際の役者さん達と重なるメタ的なドキュメンタリックも感じられて、その熱に完全にやられてしまいました。






詮無い話、そもそものお話が相当面白いです。
舞台が中学校だというところが本当に絶妙。
14歳の、自意識を含んだ愚直な正義感が彼女達の行動のモチベーション。その説得力が凄まじいし、だからこそ荒唐無稽に思える裁判までの展開にも納得がいく。
その正義感が周りの大人達を巻き込んでいく様子もスリリングで見ていて楽しい。

前述の通り、その全てを下支えしているのが生徒役の役者さん達の熱演。
とにかく劇中の彼女達と実際の役者さん達が重なって仕方が無い。

原作からの再構成、役者陣の熱のある演技に合わせて物語が前のめりにドライブしていく感じも堪らなくエモーショナル。
大人達に反抗して何かを計画していく様子がストレートに青春映画として魅力的。






この前篇の段階では傑作。
劇中の藤野涼子と、役名でデビューした藤野涼子。
二人の藤野涼子にまずあっぱれ。

どうなる後編。



<あらすじ>
バブル経済が終焉を迎えつつあった1990年12月25日のクリスマスの朝、城東第三中学校の校庭で2年A組の男子生徒・柏木卓也が屋上から転落死した遺体となって発見される。警察は自殺と断定するが、さまざまな疑惑や推測が飛び交い、やがて札付きの不良生徒として知られる大出俊次を名指しした殺人の告発状が届き、事態は混沌としていく。遺体の第一発見者で2年A組のクラス委員を務めていた藤野涼子は、柏木の小学校時代の友人という他校生・神原和彦らの協力を得て、自分たちの手で真実をつかもうと学校内裁判の開廷を決意する。
映画.comより



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