『ソロモンの偽証 後篇・裁判』
2015/日本 上映時間121分
監督:成島出
脚本:真辺克彦
製作:矢島孝
秋田周平
製作総指揮:大角正
撮影:藤澤順一
編集:三篠知生
音楽:安川午郎
キャスト:藤島涼子
佐々木蔵之介
夏川結衣
68点
”藤野涼子さんのこれからに免じて”
前編のテンションが昇り詰めた所での幕引きからからすると、どうしても失速した感は否めない。
これなら3時間にして一気に見せてしまった方が良かったのでは。
前後編合わせて傑作になりえただけに、惜しい、惜しいよ…。
後編を始めるに当たって導入が必要とは言え、序盤は完全に無駄。
やってることは前編の結の部分とほぼ同じで、被告と原告を出廷させられるかどうかのお話。
しかもこのエピソードではさしてそれぞれの葛藤は描かれず、シーンが変わったら急に出廷することが決定。塚地演じる松子さんのお父さんも、最初こそ裁判に反対していたのに、裁判が開廷されると一転して騒がしい傍聴席を静めたり。
要するに、各キャラの行動の飛躍が過ぎて、大事な導入でいきなり粗が見えてしまう。乗れない。
上映時間147分で語りが急ぎ足になるのはわかりますが、だったら前編で片付けて後編は開廷から話を進めた方がよかったのでは。
肝心の裁判も、法廷劇として腰を据えてじっくり語ろうとしているのは分かるんですが、どうしても語りが鈍重に見えてしまう。
特に終盤にいくに連れて肝心な部分の回想での説明が増えるのも巧く無い。
しかもクライマックス、同じリズムで三回も回想に入るのはどうしたってクドい。
劇中の裁判の進行と回想が平行しているとは言え、映画全体のリズムはどうしたって遅く感じます。
お話自体も、いざ真相が明らかになってみると、どうしてもアイツの自分勝手さが先に立って、伝えようとしてるテーマの邪魔になってますよ。
この部分は原作ではちゃんと描かれているのかな?
少なくとも今作ではどうしても気になってしまう。
確かに、前編に対しての説明で落ち着いてしまってる感じは否めないです。
とは言え、好きか嫌いかで言われれば好きですよ。
それの理由は前編のものと全く一緒。
劇中の生徒達の熱さときらめき、顔ですよ…!!
(詳しくは本当に繰り返しになるので割愛)
正直、藤野涼子さんの涙に頼り過ぎな気もしなくもない、が、いいじゃないですか大盤振る舞いだ。
確かに人死にが出てるのにいい気なもんだ感は否めないですよ。
ただ、善悪、勝ち負けを越えて残ったものは友情。このラストは爽やかな青春映画的で良い。
中盤での被告への突然のいじめの追求は確かに溜飲は下がるけど唐突過ぎないかだとか、ラストのそれぞれは少し強引過ぎないかだとか、言いたい所はかなりあります。
ただ問題ははっきりしていて、尺が足りないんでしょう。
だからこそ作り手の腕の見せ所なのに。惜しい…。
総じて、生徒達の頑張りでプラス評価。
特に主演の藤野涼子さん。役名でのデビューということで、本作のいかんによってその後のキャリアも大きく変わってくるでしょう。
と言う事で少しオマケでプラス。
藤野涼子さんのこれからに幸多かれ…!!
<あらすじ>
男子生徒・柏木卓也の死から始まった一連の事件に揺れる城東第三中学校で、前代未聞となる子どもによる子どもだけの校内裁判が行われることになった。告発状によって柏木卓也殺害の嫌疑をかけられた問題児の大出俊次を被告に、校内裁判の提案者である藤野涼子は、検事として大出の有罪を立証しようとする。対して、他校生でありながら裁判に参加する神原和彦は大出の弁護人となり、涼子と対峙する。さまざまな思惑が絡まり合う中、涼子らは必死で真相を究明しようとするが……。
映画.comより
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