2013/米 上映時間115分
監督:アレクサンダー・ペイン
脚本:ボブ・ネルソン
製作:アルバート・バーガー
ロン・イェルザ
製作総指揮:ダグ・マンコフ
ジョージ・バーラ
ジュリー・M・トンプソン
音楽:マーク・オートン
撮影:フェドン・ババマイケル
キャスト:ブルース・ダン
ウィル・フォーテ
ジューン・スキップ
ステイシー・キーチ 他
95点
"この道をゆけば、どうなるものか”
嘘の宝くじ当選の通知を信じ込んで、賞金を手にする為にネブラスカ州リンカーンへ行くと言って聞かない父と、それに付き合うことになったその息子と家族。
スクリーンに映るのは、モノクロのアメリカ南部の殺風景な景色。
地味でつまらない映画?
いえいえ。
大変素晴らしい映画でした。
確かな演出、確かな演技。
映画全体を覆う哀愁と、読後の爽快感。
親戚、身内含めた家族の面倒臭さにあきれつつ、老いた両親の姿がなんだか胸にしみる。
全て素晴らしいです。
個人的には、アレクサンダー・ペイン作品ではベスト。
良い映画でした。
入れ歯は落としちゃダメですよ |
まずファーストショット。
モノクロ画面に広々とした高速道路。
その真ん中に小さく映る、とぼとぼと歩くブルース・ダン演じるお父さん。
この開けた画がとても映画的でとにかく素晴らしい。
直前に『魔女の宅急便』を観てたんですけど、欠けてるものがこの作品にはありました。
画の構図一つでこうも違うかと。
画面の中央に映る、小さく頼り無さげに高速道路を歩くブルース・ダン一発で、この映画を包んでる”老い”もしっかり語れてるし、その素晴らしさで思わず前のめり。
そもそも、父と息子の話に弱い。 |
登場人物が愛らしい映画はそれだけで素晴らしい。
父子が旅の道中で会う親戚とかつての父の友人達がもう、会った直後の愛想は良いんだけどムカつくし頭に来るし、挙げ句に宝くじ当選と聞いて金にたかる始末。
でも、その親戚達との会話の中から、自分の知らなかった両親の姿が浮き彫りになって、親も親で結構な奴らじゃないかって気付いたりして。
トータルすると、家族って面倒くさい!!
って事です。
ただ、そんな両親とも老いて会話もままならない状態。
さらにその老いが頑固さを加速させて、一筋縄じゃいかない。手に負えない。
それと同時に、昔は親の存在は絶対だったのに、気が付けば足は細くなってるし、食も細くなってるし、老眼鏡は掛けるし、親の存在が自分の中で揺らぎだすのはどこか切ない。
だから、両親が笑い者にされればなんだか尚更腹も立つ。
あいつへのあの一撃。
胸がスッとしたよ。
そんな父との旅の締めくくりは、ティム・バートン監督『ビッグ・フィッシュ』を連想しました。
頑固な父の思いを叶える為に、息子が父の話に”乗って”あげるラスト。
『ビッグ・フィッシュ』のエモーショナルなクライマックスも好きですが、凄く抑えた演出はじんわり涙。
そして最後ですよ。
街を離れた所で運転を代わるショット。
そこからのエンドロール、凄く良い!!!!
老いた父に、ささやか見栄を張らせてあげる親孝行に涙。
アカデミー賞には小品過ぎたのかなと感じます。
そんなものは大作にくれてやらぁ!!
地味な映画だと敬遠してたら勿体ない。
ストレートに面白い作品なのでぜひご鑑賞あれ。
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