『Mad Max:Fury Road』
2015/米・豪 上映時間120分
監督:ジョージ・ミラー
脚本:ジョージ・ミラー
ブレンダン・マッカーシー 他
製作:ジョージ・ミラー
ダグ・ミッチェル 他
製作総指揮:イアイン・スミス
グレアム・パーク 他
音楽:ジャンキーXL
撮影:ジョン・シール
編集:マーガレット・シクセル
キャスト:トム・ハーディ
シャーリーズ・セロン 他
100点
”V8!V8!V8!V8!”
初日に109シネマズ木場にてIMAX3Dで鑑賞。
上映時間にロビーで待っていると、間違いなく怒りのデス・ロード終わりと思われる外国人数名が、無言でハグし、ハイタッチをしている光景を目撃しました。
こ、これは間違いない。ヤバいやつだ…!!
と、高鳴る鼓動を抑え劇場へ。
怒りのデス・ロード、凄まじかったとしか言いようがありません。
この映画を前にして、どんな言葉もその意味を失い、陳腐化します。
言語表現の限界を超えています。
誰かとこの思いを熱いアクションにして分かち合う。
ロビーで目撃した外国人のあのアクションこそが正しい感想。
私のMADは目を覚ましました。
初日から三日間連続で鑑賞。
あと何回観られるかなぁ。
とは言え、そんなマッドネスを何とか言葉に変換して語るならば、今作のテーマはずばり共闘。
文字通り”行って帰ってくる”これ以上にない程シンプルな直線構造のお話(画的な動きも含めて)。その土台の上に今作は、妄執にとらわれ搾取されて続けてきた男と、自立の道を阻まれ虐げられてきた女が、流浪の者の力を借りて、お上をぶっ潰すためにデスロードをゆく…!!というこれまたアガるしかない激アツエモーションをトッピング。
そしてそして、それら全体をマッドネスとしか言いようのないアクションの皮で包み込む。
はい出来上がり、怒りのデス・ロード。
ビジュアルのインパクトが先に立つようでいて、物語の骨格はかなりしっかりしたものになっている。
だから心置きなくマッドになれる。
フェミニズム的な視点で本作を語ることも出来るとは思います。
ただ、個人的にはマックスとフュリオサ、二人の共闘関係にストレートに燃えまくりました。
殴り合いの中で男女の友情は成立する!!…のかも。
映画開始。配給のロゴが出ると同時に鳴り出すエンジンの音。
地球の荒廃を伝える映像が終り、ファーストショット、砂の丘に立つマックス。隣には愛車のインターセプター。
追っ手に追われてるらしい。荷物を車に放り込み、エンジンを吹かす。このカット割が異常に早い。
しかし、こんなものは軽いジャブ。
エンジンは動き出しました。ここから2時間ノンストップ。
冒頭の捕まったマックスの一瞬の隙を突いての逃走劇。
ここもカット割が異常に早い上に、気持ちコマの速度も早い。
台詞もほぼ無いもんだから、どたばた具合含めてバスター・キートン的な無声映画を観ているかのような純映画的な快感。
監督のインタビューにもあるように、アクションというのはそれ自体で物語を語ることが出来る純粋な映画的言語。
台詞を極力排した作りは純度100パーセントの映画的快感を与えてくれます。
挙げ出すとキリが無いので一つだけ。
ほとんどが直線のカーチェイスで構成されている(この潔さ!)今作。
進行方向は勿論ひたすら真っ直ぐで、その中で追いつき追い越し、前に出たり後ろに付いたりの爆走を繰り広げる訳ですが、この縦の動きに横の動きを加えるしなるポール軍団。
これが素晴らし過ぎる…!!!!
画的なインパクトもあるわ、相手のマシンに侵入するのにも使えて理にかなってるわ、でもう、もう最高過ぎる。
映画の中のカルト集団描写が大好きなんですが、今作のイモータン・ジョーと彼が率いるウォー・ボーイズ達、最高。
イモータン・ジョーが崇拝させているものが彼自身とV8気筒エンジンという設定がまた最高。
しかしこの一見馬鹿っぽい設定も、画的なインパクトがしっかり物語的な奥行きに繋がっているところが素晴らしい。
例えば人間から母乳を搾乳しているシーンでは、この世界の栄養源はかなり切迫しているんだなということが分かるし、マックスを輸血袋として扱うシーンでは、血液が不足していてO型はその中でも万能らしいということが分かる。
これらを一切の説明台詞ではなしに、それ自体がインパクトを生む引きのある描写として描きつつ世界観の奥行きにもなっている。
当初は2001年に撮影を開始する予定だったそうで、それが一旦棚上げされた状態でかなりの時間が経っていた訳ですから、相当な設定の練り込みがされたのでしょう。
本当にこの2時間は濃密です。
寡黙な映画に言葉はいらない。
どこを取ってもクライマックス。
黙って観に行くべし!!
最後に、ヴェルディの「怒りの日」をバックに大暴れする武器将軍最高!!
<あらすじ>
資源が枯渇し、法も秩序も崩壊した世界。愛する者を奪われ、荒野をさまようマックスは、砂漠を支配する凶悪なイモータン・ジョーの軍団に捕らえられる。そこへジョー配下の女戦士フュリオサらが現れ、マックスはジョーへの反乱を計画する彼らと力をあわせ、自由への逃走を開始する。
映画.comより
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