2014年5月31日土曜日

野のなななのか


野のなななのか
2014/日本 上映時間171分
監督・脚本:大林宣彦
エグゼブティブ・プロデューサー:大林恭子
プロデューサー:山崎輝道
映画音楽:山下康介
原作:長谷川孝治

キャスト:品川徹
常磐貴子
村田雄浩
松重豊
柴山智加
山崎紘菜

95点





"まだ間に合いますよ”




『この空の花 長岡花火物語』から2年。
舞台を新潟県長岡市から北海道芦別市に変えて、大林監督の新作がやって来ました。

『野のなななのか』

いざスバル座へ。


観た人が口を揃えて言うことですが、前作の『この空の花』での体験が凄まじくてですね、恐らくこの先二度とは出来ないであろう映画体験をしまして。

この体験を味わってもらうにはとにかく観てもらうしか無いのですが、どんな事になってたのか出来る限り、出来る限り説明しますと、上映時間160分に余すところなく詰め込まれた情報量と、監督のこの映画に掛けるメッセージがスパークしまくりで、それが極に達するクライマックスの花火で涙腺が決壊。

処理しきれなくなった頭がオーバーヒートして、なんだかほっぺたが濡れてるなと思ったら知らぬ間に泣いてまして、しかも止まらない。頭は至って冷静なのに。


・めくるめく、キネマの思ひ出/この空の花 長岡花火物語


そんな強烈な体験をした『この空の花』の姉妹編と呼ばれている『野のなななのか』

76歳にしてこのパワー、この密度、このスピード。
恐れ入りました。








今作の舞台は北海道芦別市。
前作も明確に反戦を訴えた作品でしたが、今作はその思いが強くなっているよう。

映画は、芦別に住む家族の物語を語りつつ、芦別、樺太の戦後史を紐解きながら進みます。
説教臭くもなりそうな語りも、映画全体を強烈としか言いようが無い作家性とパワーで包み込むから、ただただ圧倒するのみ。

この”大林演出”は今作ももちろん健在。
細かくカットを割り、情報量の多い台詞で駆け抜け、過去と現在が錯綜する。
こっちに考える隙を与えない。
これが最近の大林監督作品の特徴。

前作から導入したデジタルカメラと、編集をパソコン一台でやってることが大きな理由だとは思うんですが、それにしても齢七十一でこのパワフルさは凄まじいです。



現在と過去、死者と生者が黄色い花咲く丘で交流するクライマックス。
この生と死が曖昧になった”なななのか=四十九日”は映画でしか表現し様の無いもので、生と死の境界というのは正に大林監督的なテーマ。






この映画の何がよかったかって、過去を語りながら、しっかり今作るべき映画になってること。
大林監督の誠実なメッセージに圧倒されると同時に、有無を言わさず打ちのめされます。


大林監督の映画をリアルタイムで観れる幸せを感じつつ。
次はどんな映画を観せてくれるのか。

空、野、と来たから、今度は海かな。



<あらすじ>
ひとりの老人の死によって郷里へ集まった家族の姿と、その老人の人生に大きな影響を及ぼした戦争体験を通し、3・11以降の日本再生のあり方を問う。芦別市で古物商を営む元病院長・鈴木光男が92歳でこの世を去り、離れ離れに暮らしていた鈴木家の人々が葬式のため帰郷する。そこへ現われた謎の女・清水信子により、次第に光男の過去が明らかになっていく。1945年の太平洋戦争終結直前、光男は樺太でソ連軍の侵攻を体験しており……。
映画.comより







2014年5月24日土曜日

WOOD JOB!〜神去なあなあ日常〜


WOOD JOB 神去なあなあ日常
2014/日本 上映時間116分
監督・脚本:矢口史靖
プロデューサー:東信弘
細谷まどか
編集:宮島竜治
音楽:野村卓史
主題歌:マイア・ヒラサワ「Happiest Fool」
原作:三浦しをん「神去なあなあ日常」(徳間書店)

キャスト:染谷将太
長澤まさみ
伊藤英明
優香
マキタスポーツ 他

87点





”まあ、なんつーか、面白かったっつー訳よ”





観る前からいい評判を聞いていたし、矢口史靖監督なんでそれなりのものは観れるだろうと思いつつ鑑賞。
そしたらですね、これが抜群に面白くてですね、次の週にもう一回観て、なんだかんだで2回鑑賞。

予告で受ける印象の通りの映画です。
でも、丁寧に丁寧に作られてる。

こんな邦画が年に数本観れるのは素晴らしい。
吉田恵輔監督、石井裕也監督、そして矢口史靖監督。
まだまだ日本映画でも立派なコメディ映画が観れるのは嬉しいことですよ。






全体に本当に丁寧に作られてる。
染谷君と長澤まさみが二人でお弁当を食べるシーン、ラストのお別れのシーン等々、ほぼ台詞が無いのにちゃーんと何を考えてるか、何を思ってるのか伝わってくる。巧い。
染谷君が林業に目覚めるシーンもちゃんと心の動きが分かる。

伊藤英明が奥から走って来てワンカットで車に飛び乗るシーンも素晴らしい。

後半に活きてくる演出も鼻につかない程度に張られていて好感。
木を切り倒すシーンもダイナミック。

役者陣も、染谷君の死んだ目はバッチリだし、伊藤英明の筋肉バカ加減も最高。
長澤まさみも地方の美人にちゃんと見える。

ただ、この映画の個人的な好き加減はそう言うことではないんですよ。
突然トーンが変わりますよ、いいですか。

下ネタです。
全編に散りばめられた爽やかな下ネタが良い。

それが極に達するのがクライマックスの奇祭。

ふんどしの山の男達が切り倒した巨大な杉の木を、わらで作った楕円の的に向かって滑らすんです。
モロにあれです。男根です。

本当にあきれながら笑うしかないですよ。
最高にハジけてました。






前回の『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ゾルジャー』に比べるとだいぶ熱低めですが、これでいいんです。

染谷くんテンションで、まー、なんつーか、面白かったつー訳よ。

これで良いんです。

あと、中盤に登場する大学生の”スローライフ研究会”の面々。
個人的に山ガ○ルだの森○ールだの、洒落たことやってる風に見えてただ流行を追ってるだけの薄っぺらい人々が苦手なので、彼らへの一喝は本当に溜飲が下がりました。

無意識的にせよ、地方を見下してるんですよ。
都市部に奉仕する為に地方は存在してるんじゃない!!!!

でも、地方の独特の排他的な人間関係もしっかり描かれてたりもして、描き方として凄くフェアで好感。

うん、やっぱり面白かったぞ。



<あらすじ>
大学受験に失敗し、彼女にもフラれて高校を卒業した平野勇気は、林業研修プログラムのパンフレットが目に留まる。その表紙でほほ笑む美女につられ、ケータイの電波も届かない田舎の神去村で林業の研修に参加することになった勇気だが、想像を絶する現場の過酷さに、早くも逃げ出したくなる。しかし、パンフレットの美女が村に住んでいることを知り、そのまま田舎暮らしと林業を続けていくことを決意するが……。
映画.comより





2014年5月21日水曜日

キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー (IMAX3D)


Captain America:The Winter Soldier
2014/米 上映時間136分
監督:アンソニー・ルッソ
ジョー・ルッソ
脚本:クリストファー・マルクス
スティーヴン・マクフィーリー
製作:ケヴィン・フェイグ
製作総指揮:ヴィクトリア・アロンソ 他
原作:ジャック・カービー
ジョー・サイモン

キャスト:クリス・エヴァンス
スカーレット・ヨハンソン
サミュエル・L・ジャクソン
ロバート・レッドフォード 他

90点




”MGSのDNA”




IMAX3Dと字幕2Dで2回鑑賞。
時間が合えばもっと観たかった。

結論から言ってしまうと、単体作品ではマーベル映画史上間違いなくNo.1の完成度。
アクション映画史に残る傑作。今年を語る上で外せない一本になってます。

どこがどう素晴らしいのか。
一つ一つ丁寧に語っていきたいんですけど、公開から時間も経って、この映画に関するあらゆる評論は既に出尽くしている状態。

特に今作が含む政治的なテーマに関しては、映画評論家の町山智裕さんの完璧な評論がありますし、全体を総括するものだと映画秘宝にて脚本家の中島かずきさんが書かれた素晴らしい評論が載っています。


これらでどんな事に言及していたかを要約すると、
・スノーデン事件、オバマ大統領のイスラム過激派へのドローン攻撃等を思わせる政治的テーマを盛り込んだ脚本
・キャップだからこその最高級肉体アクション
・キャップだからこそ描けた”正義のヒーロー”


町山さんによるラジオでの評論を貼っておくので是非。






スノーデン事件とは、アメリカ国家安全保障局が対テロを名目に大量の個人情報を収集していたことを、元職員のエドワード・スノーデンが暴露した事件。

米英軍による対テロドローン攻撃では、オバマ大統領が就任2日目にドローンによるテロリスト暗殺を承認。結果今までで少なくとも479名の民間人が巻き添えで死亡しています。

どちらも進行形の出来事で、スノーデン事件なんて去年に起きた事件。

これらの政治的ネタを盛り込み、アメリカの良心、その象徴たるヒーロー、キャプテン・アメリカで包み込んだ今作は、今の時代にキャップを映画化することに100%の意味がある作品であるし、キャップだからこそ描けたキャップの”正義”。

現実の事件に、正義のヒーローが戦いを挑む。
こう言う構図ともとれて、そりゃ観てれば燃えるんですよ。

しかも、変に社会派ぶっていない。
お話は直線構造で分かりやすく、物語の肝として上手に政治ネタを盛り込む。
ただのインテリぶったお利口映画ではなくて、しっかりとした極上のエンターテイメントに仕上がってる。
ここが何より凄い。

スノーデン事件を知らなくても十分楽しめる。
知ってればより楽しめる。


ただ私は、映画を観ている最中に、今作のもう一つの楽しみ方を見つけたのです。
それは、実写版『メタルギア・ソリッド』としての楽しみ方。

以下の文章は、完全なる私個人の妄想とこじつけによるものです。

今作が含むテーマも読み取った、極上アクションも味わい尽くした。
もう5回は観ている。
『ウィンター・ソルジャー』を堪能し尽くして、それでも残った出がらしの楽しみ方として読んで頂けたら幸せです。



ソリッド・スネーク




そもそも「メタルギア・ソリッド」とは!!
知らない人は調べてねー。
名前ぐらいは聞いた事ないですかね?

主人公は特殊部隊FOXFOUND所属、コードネームは”ソリッド・スネーク”
こいつが任務を受け、敵陣へ単独潜入。

敵に見つからないように、フィールドのあらゆる物を活用しながら任務を遂行して行く。
言うなれば”かくれんぼ”ゲームです。

PS版の「メタルギア・ソリッド」は1998年に発売されまして(以下MGS)、次作「MGS2 サンズ・オブ・リバティ」は2001年にPS2で、3作目「MGS3 スネーク・イーター」は2004年に、一応の完結編「MGS4 ガンズ・オブ・パトリオット」は2008年にPS3にて発売されました。

このメタルギアサーガの全てを語るのはあまりに困難なので、詳しいリンクを貼っておくので良ければご参照下さい。

普段あまりゲームをやる訳ではないのですが、このMGSシリーズは私が最も愛したゲームであり、個人的に最も影響を受けたゲームなのです。
PS3はMGS4をプレイする為だけに購入しました。

”隠れながら進む”ゲームシステムももちろん素晴らしいです。
でも何に感動したって、映画好きで知られる小島監督の趣味全開の世界観。
自分があたかも映画の世界に入り込んだが如くスネークを動かす。

例えば、コードネームの”スネーク”と単独潜入の元ネタは勿論ジョン・カーペンター監督『ニューヨーク1997』のスネーク・ブリスキン。
「MGS」のスナイパー・ウルフは『フルメタル・ジャケット』の女スナイパーから来てるし、ステルス迷彩のアイディアは『プレデター』から。
スネークとオタコンの本名、デイヴィットとハルは『2001年宇宙の旅』からの引用。
銃撃戦描写は『ヒート』を参考にして、「MGS4」冒頭の中東の戦闘区域は『ブラックホーク・ダウン』を参考に。
そして、最も影響を受けた作品と監督が公言しているのが『007』シリーズ

他にも映画からの参考、引用は枚挙に暇がありません。

練りに練られた脚本に花を添える映画的演出に、夢中になってプレイしてました。

明確に反戦、反核(メタルギアとは劇中に登場する新型核兵器の名称)を訴えた作品なので時にお説教臭くなることもしばしばですが、そんなメッセージも当時の自分からすれば大人な味わいだと感じたし、戦争を巡る国際情勢に目を開かせてくれるきっかけにもなりました。
学生時代の政治・経済の知識の90%はMGSから得た知識です。ただただ感謝。


話が大きく逸れてしまった。
『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』に話を戻しましょう。

ではどこがMGSの実写版なのか。
いいですか、これは妄想ですよ。

まず、今回のキャップの新型スーツがその名も”ステルススーツ”
これはまるでスネークが着るスニーキングスーツのよう。

冒頭の船での救出ミッションは、完全にMGS2のタンカー編を思わせる演出。
気付かれないように敵の背後から近づき、一瞬で仕留める。これは正に近接戦闘術CQC。
その後ろで流れる打ち込みベースの音楽は完全にMGSで流れるそれ。

冒頭の救出ミッションは完全にMGSを意識した作りになってるのは間違いないと思います。

中盤のあるネタバラシも凄くMGS的で、過去の記録映像を使う辺りがすごく”ぽい”。
明らかになる黒幕の正体もMGSの「愛国者達」を連想。

ここからが一番妄想で、もうキャラの配置がもうMGSだと思ってしまう。
キャップはスネーク。ニック・フューリーはキャンベル大佐で、ファルコンはオタコン
ブラック・ウィドウはナスターシャ・ロマネンコで、ウィンター・ソルジャーはグレイ・フォックス(ナイフの使い方はヴァンプ)

黒幕の正体は愛国者達で、おまけにヘリキャリアがメタルギア

どうです。
もうMGSの実写版でいいんじゃないですか?

MGSのDNAをビンビン感じます。



これがもの凄くヴァンプっぽい



もう一度言いますが、これは妄想ですよ。
こんな見方しなくても十二分に楽しめる作品ですよ。

極上肉体アクションを味わった。
政治サスペンスも味わった。

その最後に、MGS的な見方も楽しんでみては。



<あらすじ>
マーベルヒーローが集結した世界的大ヒット作「アベンジャーズ」(12)から2年後を舞台に描かれる。ブラック・ウィドウやニック・フューリーらとともに、国際平和維持組織「S.H.I.E.L.D.(シールド)」の一員として任務の数々にあたっていたキャプテン・アメリカは、仲間であるはずのシールドから襲撃され、誰が本当の敵なのかわからないまま逃亡者となる。そんなキャプテン・アメリカを最強の暗殺者ウィンター・ソルジャーが追いつめるが、その姿は70年前に死んだはずの親友バッキー・バーンズのものだった。
映画.comより







2014年5月17日土曜日

アメイジング・スパイダーマン2 (3D)


The Amazing Spider-man 2
2014/米 上映時間142分
監督:マーク・ウェブ
脚本:アレックス・カーツマン
ロベルト・オーチー 他
製作:アヴィ・アラッド 他
製作総指揮:アレックス・カーツマン 他
音楽:ハンス・ジマー
The Magnificent Six
撮影:ダニエル・ミンデル

キャスト:アンドリュー・ガーフィールド
エマ・ストーン
ジェイミー・フォックス
デイン・デハーン

74点





”もっと、もっとジェイミーとデハーンのいたずらがみたいんだ…!!”





Do You Remember…
Dane DeHaan?

『BTTF2』の予告っぽく。




去年一年どんな年だったか皆さん覚えてますか?
パシフィック・リム?うんうん、ゼロ・グラビティ?うんうん。

どれも正解。
でもね、年間通して活躍したデイン・デハーン。
彼の事を忘れちゃいけません。

そして、そんな去年の暮れにコバヤシさん(@iam5884)企画で開催されたデイン・デハーン総選挙2013
そこで私はこんな事を言いました。
彼は間違いなくこれからのハリウッドを背負って立つ俳優になると。
そして、『アメイジング・スパイダーマン2』のハリー・オズボーン役に内定していると。

そして遂に4月25日の公開初日。
前日の夜に、前作を初めて見た熱々の状態で観に行きました。


デイン・デハーン、間違いなかったです。
でも、でも、『アメスパ2』、なんだか突き抜けないのはなんでだろう。









デイン・デハーンに関しては過去の出演作でその実力派実証済みなので、今更言う事はないです。観てもらえれば間違いない。
佇まいがもう素晴らしいです。

全くの予想通りに今作をきっかけに彼の事を知った人も周りに増えてますし、当サイトの週間ヒット数も、公開をきっかけに『デハーン総選挙』の記事がトップに返り咲き。
身近に人気が上昇しているのを感じています。

メインヴィランのジェイミー・フォックス、エレクトロも抜群にカッコいい。

何が良いって、この二人が結託してオズコープ社に乗り込む件の悪ふざけ感ですね。これが最高です。
このシーンのためにデハーンの起用はある!てな感じ。
惜しむらくは”悪ふざけ”がこのシーンだけなんですよ。
もっと、もっと観たい、「ボーナスラウンド」


その後のエレクトロvs.スパイダーマンも映像的には見応え十分です。
映像的にはね。






クライマックスの対決、映像的に見応えはあるんだけど物語的なエモーションに全く繋がらない。
エレクトロ倒した、はい次、グリーン・ゴブリン。

もっと前述の2人のチームプレーがないと、敵を複数出す意味はあんまりないんじゃないのかなぁ。

うーん、これは全体に言えることでもあるんですけど、間延びしてる割にお話は散漫。
色恋、ハリー坊ちゃん、エレクトロ誕生。全てが全て独立したお話になっちゃってて、一つまとまらない。
とっ散らかってて、一々ぶつ切りになる。

だからラストの対決が盛り上がらない。


ハリー・オズボーンのキャラ造形もちょっと歪な気が。
今回から登場の割にやたら重いし、明らかな逆切れも見せてくる。
デハーンだからバッチリハマってたけど、さすがにキャラとして奇妙。
でも!!これがこのキャラの不思議な魅力になってるのもまた真なり。

逆切れ後、テーブルに載ってる食べさしのピザを見たりして、ああ、荒んでるんだな。なんて思い入れて観てましたし。
うん、これはこれでいいんだ。


あ、冒頭の飛行機内のシーン。
あれはどっからどう観ても酷かったです。
カメラ揺らし過ぎ、カット割り過ぎで何が何やらさっぱり。
マーク・ウェブ、アクションシーンの撮り方上手く無い。






自分の中で突き抜けなかったのにはある理由があるんです。
それは、同じマーベル作品、『キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャー』を観てしまったんです。
これがツボにハマりまくり、楽しみまくりだったんです。
結果、勝手に『アメスパ2』のハードルが上がりきってしまった。

あまり、ハードルを上げすぎずに鑑賞すれば、程良い満腹感を得られる、はず。

なんども申し上げますが、デハーン、ジェイミー・フォックスはとても良かったですよ。
一見の価値あり。



<あらすじ>
スパイダーマンとしてニューヨークの人々を守り、ひとりの男性として恋人グウェンを愛する日々を送るピーター・パーカー。しかし、街を離れていた旧友のハリー・オズボーンが戻ってきたことから、その生活に少しずつ変化が現れる。そんな中、高圧電流を武器とするエレクトロ、強力なサイ型パワードスーツの超人ライノ、高速グライダーで全てを切り裂く冷酷なグリーン・ゴブリンなど、スパイダーマンのいない世界を作ろうと目論む強敵が次々と出現する。
映画.comより




2014年5月15日木曜日

世界中でパーティーがあるのさ






自宅のCDラックを整理していたら、ELOのベスト盤を発見。

持ってたんだ、自分。

13曲目、「ALL OVER THE WORLD」を和訳を読みながら聴く。
『宇宙人ポール』のエンドロールに流れる曲。

そして気が付いた。

びっくりする程なにも言っていない!?
でも、そこが良い!!凄く良い!!

ますます『宇宙人ポール』を好きになった。





ALL OVER THE WORLD/Electric Light Orchestra

世界中のみんな
たった今僕が耳にしたこと聞いてくれ
世界中でパーティーがあるのさ

ラジオでメッセージを伝えなければ
だけどそれがどこから来たかは、自分でもよくわからないんだ
でもたくさんの声が聞こえたんだ 世界中に響き渡る声が

世界中 みんなにメッセージが伝わる
みんな、どこでも 今夜はそれを感じるのさ

みんなが街にあふれ
ビートに合わせて動いてる
みんなU.S.A.で熱くなるのさ
(ニューヨーク、デトロイト、L.A.)

僕たちは海を越えて旅に出るのさ
さぁ、みんな、僕についてこい
夜になったらゲイ・パーリーで楽しくやるのさ

ロンドン、ハンブルグ、パリ、ローマ、リオ、ホンコン、
東京、LA、ニューヨーク、アムステルダム、モンテ・カルロ、
シャード・エンド、そして・・・

世界中のみんな
たった今僕が耳にしたことを聞いてくれ
外を歩いてるみんな
みんなが会える所を知ってるんだ
そんな楽しい時を過ごすのさ
みんな朝が来るまで輝き続けるのさ









2014年5月14日水曜日

プリズナーズ




Prisoners
2013/米 上映時間153分 PG-12
監督:ドゥニ・ビルヌーブ
脚本:アーロン・グジコウスキ
製作:ブロデリック・ジョンソン
キーラ・デイビス 他
撮影:ロジャー・ディーキンス
編集:ジョエル・コックス
ゲイリー・D・ローチ

キャスト:ヒュー・ジャックマン
ジェイク・ギレンホール
テレンス・ハワード
メリッサ・レオ
ポール・ダノ

96点




"心地よい疲れと深い余韻。これが映画だ”



最寄りのTOHOシネマズで鑑賞。
平日の夜なのに映画館は結構混んでいて、恐らくお目当てはアナ雪とコナンだろうと思ってたら、『プリズナーズ』のシアターにも結構お客さん入ってまして。しかも客層が割と若め。

その中に、エンドロール中におしゃべりがうるさい2人組に注意してる若い女性もいたりして、その映画と向き合う誠実な姿勢に感動。心の中で拍手を送りました。

若い女性よ。
その気持ち分かりますよ。

だってこの映画、面白いんだもん!!
その心地よい疲れと、深い余韻に浸っていたい映画なんだもん。

エンドロールが終わって、場内の電気が点いて伸びをして、あー、良い映画観た、と思わず呟きました。


勿論、最近観た中でも良い映画は沢山ありますよ。

でも、誰に勧めても、誰が観ても間違いなく楽しめる。
こんな映画は久しぶり。

絶対に『アクト・オブ・キリング』を観てとは言いません。
でも、今一本オススメを聞かれたら、迷わず『プリズナーズを観ろ!』と答えます。

サスペンス映画の新たな傑作です。


でですよ。サスペンス映画のあらすじ、ましてやオチをペラペラと述べるなどは無粋の極み。
少しでも気になる方は今直ぐ劇場へ行きましょう。絶対後悔はしないから。

以下、あらすじ、ネタバレへの言及はありませんが、最後に少しだけ物語の核心部分に触れてますのでご注意を。





2014年5月8日木曜日

ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!


The World's End
2013/英 上映時間109分
監督:エドガー・ライト
脚本:エドガー・ライト
サイモン・ペッグ
製作:ニラ・バーグ
ティム・ビーヴァンズ
エリック・フェルナー
製作総指揮:ジェームズ・ビドル 他
音楽:スティーヴン・プライス

キャスト:サイモン・ペッグ
ニック・フロスト
バディ・コンシダイン
マーティン・フリーマン 他

87点



”このビール、苦いけどうまーい!!”


シネマイクスピアリにて鑑賞。
右手にはもちろん生ビール。

観る前の噂で、途中で席を立つ人が異常に多いと聞いてたんですけど、みんな考えることは一緒ね。
みんな正しい見方を分かってる。


自分は代謝がいいのか普段から結構トイレは近い方で、それはお酒を飲むと尚更。
一回トイレに行くとそこから堰を切ったように感覚が徐々に短くなってですね、最後の方は10分おきぐらいで行く勢いなんですよ。
居酒屋なんかで友人達と飲んでると、トイレに行ってる間に話題が変わってたりするじゃないですか。「えー、もっとスコセッシで話したいことあるんだけどー」
これが悔しいからいつもいつも我慢を、ってこんな話どうでもいい。

とにかくお酒を飲みまくる映画なんで、もちろんビールを飲みながら映画を観てたんです。

で、これが楽しくて楽しくて。
そしてビールが美味しくて美味しくて。


ただ、後味が苦め。
でもその後味含めてやっぱり上手いビール。






旧友と会いたくなる!そして飲みたくなる!男の友情って素晴らしい」

少々詰め込みましたが、ネットにこんな”賞賛の声”が載っていて、私も正にこれを期待して観に行ったんです。

旧友と再会して、達成できなかった「ゴールデン・マイル」に再挑戦。
酔っぱらいつつも街の異変に気付き、へべれけ故の大胆不敵な行動で知らぬ間に世界を救い、俺たちやっぱり最高だな!!

こんな話を期待していた。


観た結果ですね、これは一面的には合ってます。
旧友と飲みたくなるし、友情って素晴らしいと思える。

ただ考えるほどにこの映画の苦みが増して来てですね、やっぱり最初から終わりまで全体にビターですよ。

特にラストですよ。
そんなのあり!?
気持ちよく酒飲んでる場合じゃない。






エドガー・ライトの過去2作でも同様に、大人になりきれない大人。もしくは大人になりたくない大人達が描かれて来た訳ですけど、それぞれがジャンル映画への深い深い愛でそれが包まれて、我々映画ファンの心に突き刺さりまくる作品に仕上がりに。

監督はグレッグ・モットーラですが、主演コンビが同じ『宇宙人ポール』でも過去のSF映画への愛とオマージュを捧げ、更に、オタクのままでも大人になることは出来る!!と言う力強いメッセージは、我々の心に深い余韻とエールを残しました。


改めてこの流れを見ると、今作のトーンも納得。


今までだったら親友がいるのに、今作は物語の中で唯一、主人公のサイモン・ペッグだけが社会に適合出来ない、青春を引きずる大人になりきれない大人。

彼だけが空回りしてるから、観てて凄く彼の幼稚さが際立つんですよ。
まずこれがすごく痛い。

この関係が作中一貫して変わらないから観ていて終止寄る辺無い。

劇中、彼だけが一人”世界”に取り残されてるんです。

そして、この構図が反転するのがクライマックスからラストにかけて。

地球を侵略し、画一的な”より良い”世界に作り替えようとする宇宙人に対して、「地球をスタバ化するな!」と吐き捨てます。
そして、この酔っぱらった大人の選択によって、世界は崩壊。

でも、この状況を喜ぶ者がただ一人。
そう、サイモン・ペッグ演じるゲイリー・キング。
彼は新時代の王(キング)になったのです。

住みづらかった世界もう無い。
求めていた世界がやって来た!!

だからもう酒に頼る必要も無い。
この、主人公をわざと成長させず、逆に世界を作り替えるラスト。

そう来るとは。
に、苦い。
だけどこの苦さ、嫌いじゃない。むしろ、むしろ好きだ!!

だけど、もう酒に頼らなくてもいい世界が来たって、この映画を観に来た者にとってなんたるラストなんだ!






個人的に今作かなり好きです。
三部作のラストでこれをもってくる辺りも、英国流の洒落の効いたユーモアの様で好感。


予告から受けるコメディ感とは真逆。
ただ、言わずもがなで、やっぱりエドガー・ライト、巧いです。
誰が観たってこれは間違いない。



<あらすじ>
20年前、一晩で12軒のパブをめぐる「ゴールデン・マイル」に失敗したことが忘れられないゲイリーは、再挑戦するために当時の仲間アンディら4人を集め、故郷ニュートンヘイブンに舞い戻る。やがて5人は、町の人々の様子がおかしいことに気づくが、戸惑いながらもひたすら12軒目のパブ「ワールズ・エンド」を目指して飲み続ける。
映画.comより








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