『Prisoners』
2013/米 上映時間153分 PG-12
監督:ドゥニ・ビルヌーブ
脚本:アーロン・グジコウスキ
製作:ブロデリック・ジョンソン
キーラ・デイビス 他
撮影:ロジャー・ディーキンス
編集:ジョエル・コックス
ゲイリー・D・ローチ
キャスト:ヒュー・ジャックマン
ジェイク・ギレンホール
テレンス・ハワード
メリッサ・レオ
ポール・ダノ
96点
"心地よい疲れと深い余韻。これが映画だ”
最寄りのTOHOシネマズで鑑賞。
平日の夜なのに映画館は結構混んでいて、恐らくお目当てはアナ雪とコナンだろうと思ってたら、『プリズナーズ』のシアターにも結構お客さん入ってまして。しかも客層が割と若め。
その中に、エンドロール中におしゃべりがうるさい2人組に注意してる若い女性もいたりして、その映画と向き合う誠実な姿勢に感動。心の中で拍手を送りました。
若い女性よ。
その気持ち分かりますよ。
だってこの映画、面白いんだもん!!
その心地よい疲れと、深い余韻に浸っていたい映画なんだもん。
エンドロールが終わって、場内の電気が点いて伸びをして、あー、良い映画観た、と思わず呟きました。
勿論、最近観た中でも良い映画は沢山ありますよ。
でも、誰に勧めても、誰が観ても間違いなく楽しめる。
こんな映画は久しぶり。
絶対に『アクト・オブ・キリング』を観てとは言いません。
でも、今一本オススメを聞かれたら、迷わず『プリズナーズを観ろ!』と答えます。
サスペンス映画の新たな傑作です。
でですよ。サスペンス映画のあらすじ、ましてやオチをペラペラと述べるなどは無粋の極み。
少しでも気になる方は今直ぐ劇場へ行きましょう。絶対後悔はしないから。
以下、あらすじ、ネタバレへの言及はありませんが、最後に少しだけ物語の核心部分に触れてますのでご注意を。
本編の話を避けて映画そのものの話をしていくと、まず何よりサスペンスとしてしっかり脚本。
それを支える、撮影、演出、ヒュー・ジャックマン、ジェイク・ギレンホール、ポール・ダノ、メリッサ・レオ等、実力派の役者陣。
これらが揃って、しっかり足腰の強い映画に。
脚本から触れて行くと、物語の推進力は犯人探しではなく、誘拐された子供達の保護。
だから映画中一切話がだれないし、登場人物に否応無く感情移入してしまう。
誘拐された子供側の視点は一切無し。
追う側の視点のみで話が進むんで、子供達が今どうなってるかが全く分からない。
リミットは迫ってる訳ですから、何も起こってないシーンでもひたすらに焦るんですよ。
自分は結婚してませんし子供もいませんが、もし自分に我が子がいたならば、映画を観ながら泡吹いて失神してたんじゃないですかね。
そのぐらい劇中の人物の行動に心動かされてしまう。焦燥感が伝わってくる。
進まない捜査になんならイライラしてますよ。
なぜ捜査が進まないのか。
話をややこしくしてるのが被疑者とされてる男の知能障害。
演じるポール・ダノがまた良いんだこれが。
彼外れないです。間違いない。
今作の魅力に大きく寄与してるのが撮影監督ロジャー・ディーキンスの確かな仕事振り。
スピルバーグ、コーエン兄弟でお馴染み。最近だと『007 スカイフォール』でアカデミー賞撮影賞にノミネートされてましたけど、今作も見事としか言いようが無いショットの数々。
冒頭の、これから何かが起こりそうな予感のする曇り空。
夜、車のヘッドライトに反射するカーテンのような豪雨のショット。
車のワイパー越しの奥に映る対象。
どれも絶品。筆舌に尽くし難い。
現場検証と取り調べのショットの連なりなんて、編集のテンポと相まって確実に我々を物語に引き込むパワーがあります。見事。
最後に、犯人の動機について少し触れると、息子を失ったことがきっかけで強い信仰心が反転して、誰かを同じ境遇に落として一線を越えさせる。
この誰かを悪に落とす悪魔的な動機の部分からダークナイトのジョーカーを連想。
・・・・・。
今書いてて思わずネタバレしそうになったのでここら辺でストップ。
本当はもっと詰めたディテールの話をしたいんですけど、ダメだ!!
とにかくなんの予備知識もいれず、ふらっと劇場へ向かってください。
大きな大きなお土産が出来ますから。
<あらすじ>
娘を取り戻すため法をも犯す決意を固めた父親の姿を描いたサスペンススリラー。家族で幸せなひと時を過ごすはずの感謝祭の日、平穏な田舎町でひとりの少女が失踪する。手がかりは少なく、警察の捜査も進展しないなか、少女の父親は証拠不十分で釈放された第一容疑者の証言から、彼が誘拐犯だと確信。自らの手で娘を助け出すため、一線を超える決意をする。
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