『The Judge』
2014/米 上映時間142分
監督:デヴィット・ドブキン
脚本:ニック・シェンク
ビル・ダビューク
製作:デヴィット・ドブキン
スーザン・ダウニー
音楽:トーマス・ニューマン
撮影:ヤヌス・カミンスキー
編集:マーク・リヴォルシ
キャスト:ロバート・ダウニー・Jr
ロバート・デュバル
ヴェラ・ファーミガ 他
82点
”2人のロバートが映画を包む”
シネマイクスピアリにて鑑賞。
上映館が中途半端で、単館系と言う訳でもなくまばらにシネコンで掛かってる状態だからなのか、入りは少なく無い方。
久々の”社長”じゃないロバート・ダウニー・Jr、良かったです。
ロバート・デュバルにロバート・ダウニー・Jr
2人のロバートの熱い演技合戦、これが何より素晴らしい。
ロバート・デュバルの凄みを感じさせる佇まいはそれだけで存在感抜群だし、タイプキャストではあるけど、ロバート・ダウニー・Jrを口の立つ弁護士として起用する技ありなキャスティング。
キャリアの復活作『アイアンマン』のトニー・スタークも口が達者なプレイボーイ。
間違いなくそれを踏まえて作られたであろうガイ・リッチーの『シャーロック・ホームズ』も頭脳明晰なベラベラ喋るキャラ。
最早彼のイメージとイコールと言っていい、理詰めで攻めてくる嫌な奴キャラを今作では弁護士に当てはめるとは、考えてみるとなる程ナイスアイディア。
そしてこれが勿論抜群にハマってます。
彼のもう一つの特徴が、時折挟み込むアドリブ。
今作は彼のこの部分が最大限に活かされた作品。そして、それに応えるようにロバート・デュバルの演技もどんどん熱を帯びてく。
2人の演技が見事にかち合った名場面が、嵐の中での親子喧嘩のシーン。
このシーンの熱量が素晴らしい。
不意の出来事に過去を思い出して取り乱す父と、それを追って今までの気持ちをぶつける息子、この2人のやり取り、攻めで言うと息子であるロバート・ダウニー・Jrが終止気持ちをぶちまける。対して父はそれを平静を装いつつひょいひょいと交わしていき、息子はその態度がまた気に入らなくて更に熱くなる。
卒業式に来て欲しかったのか?って、今の話的にはそう言うことなんだけどそう言うことじゃないんだよ…!!というか言わすな!!
しかもこのやりとりは後半での伏線としても機能するので、その部分でもグっ。
その他2人のやりとりが細かく全体に良い。
お風呂場での身体を洗い流すシーンの2人の対等な関係、ポーチでささやかに乾杯をして、悪く言ったことを謝ったり。
2人の演技が映画全体を包んでいます。
後半のクライマックス。
ある事実が明らかになり、弁護人と被告人の立場で親子の会話を始めるシーン。
前述のシーンの伏線と、今回の撮影監督名匠ヤヌス・カミンスキーの光りを巧く捉えた法廷の空気感とが相まって凄く盛り上がるシーン。
なんですが、個人的に神経質になりすぎたのか、あれだけ厳しく追及してた相手の検察官が、この時になって急に待ってくれてるの?と変なことを考え出してしまって、そのことがノイズになって完璧には乗り切れず。
こういった演出の甘さは許せますし、逆に変な味付けをしない方がこの場合役者の演技が引き立つので良いんですが、気になったのは脚本の無駄の多さ。
高校時代の彼女の娘の父親ってもしかして…ってあのエピソードはばっさりいらない。
父ちゃんがごねる回数も多過ぎて、その度に一々話が止まって仕方がない。
ラストの釣りのシーンも蛇足な気が。結果近々で愁嘆場が連続してる訳ですから、終りにこれはちょっと鈍重。
気になる所はあっても、それを補ってあまりある役者陣の熱演。
これが良ければ全てチャラ。
<あらすじ>
有能な弁護士だが真偽よりも勝利にこだわり、金持ちを強引に無罪することで知られるハンク・パルマー。父のジョセフ・パルマーは世間から信頼を集める判事だったが、そんな父が苦手なハンクは、長らく父と絶縁状態にあった。しかし、ある時、ジョセフが殺人事件の容疑者として逮捕されるという事件が起こり、ハンクが弁護人を務めることに。正義の人である父が殺人を犯すはずがないと信じるハンクだったが、調査が進むにつれて疑わしき証拠が次々と浮上する。
映画.comより
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