『Big Eyes』
2014/米 上映時間
監督:ティム・バートン
脚本:スコット・アレキサンダー
ラリー・カラゼウスキー
製作:ティム・バートン
スコットアレキサンダー
ラリー・カラゼウスキー
音楽:ダニー・エルフマン
撮影:ブリュノ・デルボネル
編集:JCボンド
キャスト:エイミー・アダムス
クリストフ・ヴァルツ 他
88点
”その絵に愛はあるか”
最寄りのTOHOシネマズにて鑑賞。
ティム・バートン作品にしてお得意のゴシック的な世界観は無く現実ベースのお話。
ティム・バートン作品には、伝記映画だと『エド・ウッド』がありますし、『ビッグ・フィッシュ』で人間ドラマ演出の巧さも実証なので、何も心配することは無かったんですが、これがしっかり面白い。
しかも、ちゃんと彼が作るべき映画になってる辺りが流石の一言。
脚本を手掛けたスコット・アレキサンダーとラリー・カラゼウスキーのコンビ。
元々彼等が監督を兼任していた企画らしいのですが、プリプロの段階でティム・バートンにお鉢が回って来て今の配置に。
そしてこの、監督ティム・バートン、脚本スコット・アレキサンダー&ラリー・カラゼウスキーは『エド・ウッド』での仕事仲間でもあって、期せずして今作を手掛けるにはベストな布陣に。
で、出来上がった映画はしっかり面白い。
まず、元のお話をどう映画として語るか。
このアレンジがとても良くて、まるで寓話めいたおとぎ話を観ているような感覚で小気味よく気持ちがいい。
このアレンジの最大の功労者が、ウォルター・キーンを演じるクリストフ・ヴァルツ。
彼の、人たらしで、見栄っ張りで、嘘つきで、打算的で、アートにまるで興味の無い性格を、同情の余地の無い程憎々しく演じていて、その相手マーガレット・キーン演じるエイミー・アダムスの抑えた演技と並んで映画のカラーがハッキリして凄く良い。
はっきりと彼が一貫して映画の中で悪役になってる。
この思いっきりの良さ凄く好きです。
恐らく普通の伝記映画ならば、偏りの無いように平等な描写を心がけるでしょう。
ただそんな普通な映画をティム・バートンは撮らなくてもいいんです。
間違いなくお話として面白いのはこっちなのだから。
もっとドロドロしたお話に出来る所を軸を2人の対立に絞ってるのは明白で、2人の色恋については序盤以降全く描かれませんし、ハワイでのエホバの証人に入信する件の省略ぷりを見るにそれは明らか。
元々の話の”面白さ”だけを抽出し、おとぎ話のように軽快に楽しそうに語る。
これぞティム・バートン印。
今作、とにかくクリストフ・ヴァルツが最高なんですが、少しそのデティールの話を。
初登場時のボーダーにロールアップしたジーンズの出で立ちで既にもう胡散臭さびんびんなんですが、彼十八番の軽薄そうな演技が最高潮に達するのが法廷での一人証人尋問。
映画も終盤に差し掛かって、嫌疑の目は完全に彼に向いてるもんだから、なんとかしようと一人芝居に奮闘。が、もうなんともならない
実際に絵を描いてみせろと言われて万事休す。
肩が痛いだのインスピレーション待ちだの言って時間を伸ばす伸ばす。
最早映画全体が彼をイジメにかかってます。
自業自得。そして最高に笑える。
本国ではコケてしまったようんだんですけど、どうしてか。
こう言ったティム・バートンに訴求力は無いのか。
個人的には、時折こんな作品を交えつつこんな感じでキャリアを積んでいってもらいたいのですが。
<あらすじ>
悲しげで大きな目をした子どもを描いたウォルター・キーンの「ビッグ・アイズ」シリーズは、ハリウッド女優たちにも愛され、世界中で大ブームになる。作者のウォルターも美術界の寵児として脚光を浴びるが、実はその絵はウォルターの妻マーガレットが描いていたものだった。絵は飛ぶように売れていくが、内気な性格のマーガレットは、自分の感情を表すことができる唯一の手段である「ビッグ・アイズ」を守るため、真実を公表することを決意する。
映画.comより
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