『Last Knights』
2015/米 上映時間115分 PG-12
監督:紀里谷和明
脚本:マイケル・コニーベス
ドブ・サスマン
製作:ルーシー・キム
紀里谷和明
製作総指揮:ケイト・ホン
アンドリュー・マン 他
撮影:アントニオ・リエストラ
美術:リッキー・エアーズ
キャスト:クライブ・オーウェン
モーガン・フリーマン
クリフ・カーティス 他
40点
”紀里谷フィルターを装着すべし”
最寄りのTOHOシネマズにて、久々に貸切の状態で鑑賞。
観ていて率直に思ったのは、過去2作と比べて段違いに怨念がこもっているなということ。
それはつまり強烈な自己愛とイコールなのですが、とにかく、特殊な見方をすれば大変に楽しめる作品だと思います。
うん、この言葉に嘘はない。
これは邪推なのですが(間違いなくそうだと思うけど)、今作は忠臣蔵をモチーフにした、紀里谷氏と、自分を見限った日本映画界を巡るお話であって、そのフィルターを通してなら200%楽しめました。
この言葉に嘘はないです。
本当に楽しめました。
例えば、あの出て行った奥さん。もう宇多 田のヒッキーにしか見えない。
冗談はさておき、忠臣蔵をモチーフとして、ハリウッド流に所々改変がされているのですが、一番大きいものが、吉良上野介にあたる人物が分かりやすく悪代官になっているところ。松の廊下のエピソードがなく、賄賂を断ったことに端を発するいざこざが原因となっています。
元の忠臣蔵は、当時の武士の倫理として、忠の精神と喧嘩両成敗、封建社会の上に成り立っていたものなので、この改変は当然と言えば当然。
そうして、この改変で何が変わるのかと言えば、赤穂浪士達の仇討ちにはっきり大義が生まれて、世直し感が強まっているのです。
脚本を紀里谷氏は書かれてはいないですが、ここで強まるのは前述の紀里谷氏を巡る個人的な背景。
これは半分妄想ですよ。例えばあの悪代官の分かりやすい腰抜けを演じさせる演出を見るに、そこにかつて自分と関わってきた映画プロデューサーを重ねているのだなと見ることは容易ですし、そこに復讐を果たし、英雄とされながらも全ての罪を背負って一人犠牲を払う主人公の姿はもうこう見られたいどこかの監督さんの姿そのもの。
冒頭での、自分の身分を知らずに無礼な態度を取ってきた部下とのやりとりのシーン。
全くお話に関わらないどころか、キャラの掘り下げにもなっていない。
こういう部分で細かく溜飲を下げているのだぁと思うと、紀里谷さん、やってんなーと。
画的に新鮮な箇所はないです。
アクションシーンにも特に目新しさはなく、お得意のCG、VFXが無い分”紀里谷映画”としても物足りず、普通のアクション映画としても物足りず。帯に短したすきに流し。
お話も、ドヤ顔で伏線張り、ドヤ顔で回収してるんですが、そのどれもが展開のための展開で上手くない。
ただお話に関しては”紀里谷フィルター”を通して観ていたので大丈夫です。
最後に、ハンス・ジマーめいた劇伴に、最後の自己犠牲的な展開含め、もろに『ダークナイト』を感じます。
本当にみんな『ダークナイト』好きなのね。関心しちゃう。
そのおかげでそこの浅さも露呈していますが。
<あらすじ>
「CASSHERN」「GOEMON」の紀里谷和明監督ハリウッド進出作品で、クライブ・オーウェンとモーガン・フリーマンが主演。「忠臣蔵」をベースに、よこしまな政治が幅を利かせる封建的な帝国での騎士たちの物語が描かれる。大臣への賄賂を断り、反逆罪を勧告されたバルトーク卿に死罪が下された。最も残忍な処刑方法によるその死罪は、愛弟子ライデンの手による斬首だった。バルトーク卿の首を自身の刀で落とすこととなったライデンと仲間の騎士たちは、無念の思いで復讐の時を待ち続けた。そして1年後、ライデン率いる気高い騎士たちは、主君バルトーク卿の不当な死に報復する戦いをはじめる。伊原剛志がライデンの最大のライバル・イトー役で出演。
映画.comより
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