2016年2月20日土曜日

オデッセイ(3D/字幕2D)


The Martian
2015/米 上映時間142分
監督:リドリー・スコット
脚本:ドリュー・ゴダード
製作:サイモン・キンバーグ
リドリー・スコット
撮影:ダリウス・ウォルスキー
編集:ピエトロ・スカリア
音楽:ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ
原作:アンディー・ウィアー「火星の人」

キャスト:マット・デイモン
ジェシカ・チャステイン
クリステン・ウィグ
ジェフ・ダニエルズ 他

90点



”知識とユーモアが命を救う”



SF映画で、サバイバルものだし、ある程度の面白さは担保されてるだろうと軽い気持ちで観に行ったら、これがとても面白くて驚き。

数日後に再見し、これは傑作だと確信。

絶体絶命のピンチ。
そんな時命をつなぐものは、知恵と知識、ユーモアと音楽。

カラッと楽しめる娯楽作のようでいて、見渡せばそこに大きな人間讃歌が響いていた。
一昨年、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』を初めて観た時と同じ種類の感動を味わえました。つまり、最高、最高。

私この映画相当好きです。









登場人物達が、皆もれなく、その場の状況に合理的且つ冷静に対象する気持ちよさ。
凡百の映画ならば必ず描くであろう、主人公の生存へのモチベーションとなる、家族、恋人の存在や、愛。これらが一切ない。

では主人公ワトニーは生き延びようとするのか。
「こんなところで死にたくないから」
この潔さですよ。これが素晴らしい。

これは正しく真理で、生に直結する絶体絶命のピンチに、誰かの同情や愛は何の助けにもならないのです。愛でお腹はふくれません。

絶体絶命の状況で彼を救ったもの、それは知識、知恵。そしてユーモアと音楽。
もはや”諦めない心”なんていう根性論ですらないと思っています。
確立がゼロではないのなら、問題をあぶり出し、一つひとつ工夫をして、着実に成果を出す。そして育つジャガイモ。

いまだかつて、これ程までに知識や知性にフィーチャーした映画があったでしょうか。
そして何より重要なのが、それでいてお説教臭さが皆無なところですよ。






今作の明るさを決定的なものにしているのが、劇中で流れる70`sのディスコチューン達。
この使い方がもはやギャグで、例えばワトニーが火星に置いていかれてから初めて掛かる曲がセルマ・ヒューストンの「DON'T LEAVE ME THIS WAY」で、訳すと…。みなまでいうまい。ギャグです。

ローバーを運転しながら音楽に身体を揺らすワトニーがまたいい。
生きるってこういうことだよなと思わずにはいられない。
バカっぽいけど聴けば身体が動いてしまうディスコチューン。これだって彼の命をつなぎとめているのです。
そして、絶望的な状況でも、しっかり音楽にはノるワトニーのポジティブさ。そこからくるユーモア。
これが何より重要。





孤独や絶望が描かれていないじゃないかといった意見を目にします。
中盤のある事故の直後、ワトニーがジャガイモの数を数える場面。
強風で心もとないシート音を立て、それに対してワトニーが苦もんの表情を浮かべますし、その音自体が映画的に彼の不安を表しているでしょう。

冒頭は、彼の無線を使った無駄話が仲間に遮られることから始まります。
そして終盤で、数年振りの通信による会話。
そこで浮かべる涙。

当然これまで彼だった不安だったんだなと分かるシーン。

孤独や絶望は端々に描かれています。
ただ、それを表面に出さないだけ。
だって、悩んでたって助からないから。
自分を助けてくれるのは、ジャガイモと、ドナ・サマーと、ユーモアだから。


<あらすじ>
火星での有人探査の最中、嵐に巻き込まれてしまったワトニー。仲間たちは緊急事態を脱するため、死亡したと推測されるワトニーを置いて探査船を発進させ、火星を去ってしまう。しかし、奇跡的に死を免れていたワトニーは、酸素は少なく、水も通信手段もなく、食料は31日分という絶望的環境で、4年後に次の探査船が火星にやってくるまで生き延びようと、あらゆる手段を尽くしていく。
映画.comより




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