2014年12月13日土曜日

インターステラー


Interstellar
2014/米・英 上映時間169分
監督:クリストファー・ノーラン
脚本:クリストファー・ノーラン
ジョナサン・ノーラン
製作:エマ・トーマス
クリストファー・ノーラン 他
製作総指揮:ジェイク・マイヤーズ
ジョーダン・ゴールドバーグ 他
音楽:ハンス・ジマー
撮影:ホイテ・ヴァン・ホイテマ

キャスト:マシュー・マコノヒー
アン・ハサウェイ
ジェシカ・チャステイン 他

85点





”人類を救う、親が子を、子が親を思う気持ち”




ノーランがこんな優しくロマンチックな映画を撮るとは。
4児の父はこの映画で高らかに愛を謳ってます。

予告の段階で、今までに無い程の、照れの無い希望に満ちた作品になると期待していたのですが、その予感的中。

ネタバレ含みます。






『2001年:宇宙の旅』の流れを汲む硬派SF映画として見応え十分。
地球が終わる。その危機に父は宇宙へ向かい、次なる生存可能な惑星を探す。
その様を、限りなく正しい考証でダイナミックに見せていく映像が何より素晴らしい。

宇宙空間にぽっかり空いたワームホールの質感(実態が無いのでこの表現は間違いなのですが…)、ブラックホール”ガルガンチュア”の荘厳ささえ感じる迫力。
土星の周りを周回する米粒だいの大きさで映る宇宙船は、映画館のスクリーンでなければ意味が無い。

宇宙船内部の作り込みも凄まじくて、全てが全て何かしらの機能を持たせているのだと。船の動きに合わせて水平を保つ座席なんかも、『スター・ウォーズ』が好きだと公言するノーランぽくてガジェット的にテンションアップ。


方や地球の撮影も凄まじい。
出来る限りCGを避けるノーランが1/1スケールの探査船を作ってることにはもう驚いたりしませんが、農地らしくない所に植えられている作物の画が欲しいからと、なんとトウモロコシ畑を一から5ヶ月かけて育てたんだとか。
確かに言われてみれば、周りが青々した山に囲まれた場所でなんだか違和感のある場所。
無意識レベルでもしっかりと効果を上げてると思います。


CG,VFXに頼り過ぎない骨のある撮り方をするノーラン。
正しいお金の使い方だと思います。
潤沢な制作費を使って何がやりたいのかと聞かれれば、自分が子供の頃観ていたような大作娯楽映画が撮りたいと答えるノーラン。
色んなことを言われて槍玉に挙がることも多いノーランですが、こういう辺り物凄く好感持てるし、信用も出来る。

ノーランの偉い所は、しっかりインパクトのある画で驚かせてくれること。
今作で言うと、ガルガンチュアは勿論、クライマックスの5次元表現。
突入直後の光りが粒子になって船体にパチパチ当たる表現も新鮮で良かったのですが、その後の無限に続く本棚。
ノーラン作品に度々登場するキーアイテム本棚。
今作でやって物語上の意味が与えられた…!!






『2001年:宇宙の旅』の流れを汲む硬派SFとして立派な仕上がり。
そこに一つ、ノーランが加えた物語の骨格になる要素。
それが、愛。

地球が危ない。人類が終わる。
その危機を救ったのが、ある一組の親子の時空を超えた愛。
劇中の台詞でアン・ハサウェイがこう言います。
「時間も場所も違って、もうこの世にはいないかもしれない。でも今でも想い続けてる。愛だけが時空を超える」
なんてロマンチックな台詞なんだ。

人類が終わるその危機を救ったのは、元を辿ればどこにでもある、親が子を、子が親を想う気持ち。
こんな優しさに溢れた映画を撮るなんて。
ノーランよ、あなたも子の親なのだね。

このテーマを一心に体現するマシュー・マコノヒー力の素晴らしさたるや、もう溜め息。
毛布をめくったその顔に涙。
23年分のメッセージを眺める顔に涙。

『ダラス・バイヤーズクラブ』の時もそうでしたが、彼のアドリブを含んだ人間臭い演技がこの映画に熱を与えています。






気になる所も無くは無いです。
地球から飛び立つ時は打ち上げ台からロケットを使うのに、その後惑星から離れる時はさながらスター・ウォーズ。
ここはご愛嬌としても、短い時間で連続してある人物達の嘘で話を動かすのはあまり巧くない。
クライマックスにかけての地球と宇宙とのカットバックの盛り上げも、助走が長い分あまり効果的では無い気が。特に地球側が放ったらかされてる時間が長い。
ただ、畑を突っ切る序盤からの繰り返しの演出は素晴らしいです。
前述のアン・ハサウェイの愛を巡る台詞も、初見時はやたら理屈っぽい上にテーマを口で説明されてるような気がしてどうかと思ったんですが、全体が掴めてる2度目だとグッと。


『トランセンデンス』の為に降りた常連ウォーリー・フィスターの代わりに撮影監督になったホイテ・ヴァン・ホイテマさん。彼の仕事ぶりも見事。
初めて聞いた名前だなと思っていたのですが、経歴を見ると『ぼくのエリ 200歳の少女』『裏切りのサーカス』でトーマス・アルフレッドソンと仕事をしていたあの人じゃないですか…!!
今年で言うと目に鮮やかな『her 世界にひとつの彼女』
来年は『007 スペクター』で、名称ロジャー・ディーキンスに代わり撮影監督を務めるそう。もう立派に巨匠です。

そんな彼。
氷の惑星での飛行シーンを撮りたいとノーランに提案されて、飛行機の先端にIMAXカメラを付けることを思いつき(『エクスペンダブルズ』で言うところの”死の飛行”)、世界で一番デカいGoProみたいだったよ、とインタビューで喜々として語ってました。

このノリ、ノーランと合いそう。



<あらすじ>
世界的な飢饉や地球環境の変化によって人類の滅亡が迫る近未来を舞台に、家族や人類の未来を守るため、未知の宇宙へと旅立っていく元エンジニアの男の姿を描く。主演は、「ダラス・バイヤーズクラブ」でアカデミー主演男優賞を受賞したマシュー・マコノヒー。共演にアン・ハサウェイ、ジェシカ・チャステイン、ノーラン作品常連のマイケル・ケインほか。「ダークナイト」や「インセプション」同様に、ノーラン監督の実弟ジョナサン・ノーランが脚本に参加。撮影は、これまでのノーラン作品を担当していたウォーリー・フィスターが自身の監督作「トランセンデンス」製作のため参加できず、代わりに「裏切りのサーカス」「her 世界でひとつの彼女」などを手がけて注目を集めているホイテ・バン・ホイテマが担当。
映画.comより





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