『るろうに剣心 京都大火編』
2014/日本 139分
監督:大友啓史
脚本:藤井清美
大友啓史
製作:上木則安
畠中達郎 他
製作総指揮:ウィリアム・アイアトン
音楽:佐藤直紀
原作:和月伸宏「るろうに剣心 -明治剣客浪漫潭」
キャスト:佐藤健
武井咲
藤原竜也
伊勢谷友介 他
57点
”キャスト良し、アクション良し、その他ダメ”
前作をスルーしていたので、前日にDVDにて鑑賞。
事前に聞いていた、”アクションは良い。ドラマパートはダメ”の声に納得。
ただ今回は原作でもテンション高めな京都編。
このチャンバラ加減でやってくれさえすればもしかしたら・・・!!
と、予告の段階ではかなりの期待を込めてたんですが、ふたを開けたらやってることは前作と一緒。
思うに全ては監督の責任。
素材は良いのに調理が雑。
挙げ句、他の人が作った料理にさえ手を加える。
ただこの監督さん、そのことに気が付いていないのが問題で。
ドラマパートに関しては画がとにかく間抜け。
キマッたショットなんて一つもありゃしない。
これは前作の段階で感じた違和感なんですけど、何かやけに演劇臭いと言うか、テレビ臭いと言うか。
カットが割られてるのに全体にテンポが悪いんですよ。
やたらとカメラは動くし、役者さんは好き勝手に動いてるようだし、突然平気でカメラに背を向けるから画が乱れる。
初めは、この人下手だなぁ、とただ思ってたんですけど、気になって調べてみると何やら事情が違うようで。
どうやら監督の大友さんは複数のカメラを同時に回して、そこから上がった素材を編集する”マルチカメラ”なる撮影法を使っているそうで、これは私が感じた違和感そのもの。
あ、ただ下手なんだと思ってたけど、これ好んでやってたんだ。
恐らくは大河ドラマ『龍馬伝』の際に考案した技法なのでしょう。
タイトなスケジュールで効率よく撮影して、尚かつ役者の素の演技も引き出せる。
すごく良いと思います。
テレビではね。
どうでしょう、これを映画でやるのは。
結果失敗してる訳ですし。
それにですよ。
もし効率の面を優先したのであれば、その態度全く許せませんし、映画を舐めているとしか思えません。
全体のテイストも、前作でも薄々気が付いてましたけど、この監督さん本当に『ダークナイト』がお好きなようで。
『プラチナ・データ』でも『ダークナイト』に登場する監視システムをもろパクリしてましたけど、前作含めて全体の雰囲気はダークナイト風味。
それに加えて今回は『ダークナイト ライジング』から、白昼のベインの手下と警官隊が衝突するシーンの臆面の無いパクリ。
その結果やけに鈍重で軽やかさにかける話運び。
劇中の剣心同様、あっちに行ったりこっちに行ったり落ち着きの無い脚本も気になる。
”マルチカメラ”なんて余程の技量がないと成立しない撮り方をする無鉄砲さ。
近々作品、しかもよりによって『ダークナイト』をやっちゃう無邪気さ。
何と言うか、無知って怖いなと言うか。
ただ、これは沢山の方が褒めてますけど、アクションはべらぼうに良いんですよ。
今回は特に宗次郎対剣心戦。
手数の多いチャンバラで、体勢を低くして高速移動、からのハイジャンプ。
これは神速の剣心、宗次郎そのもの。
見ていて本当に気持ちいい。
お互い手を合わせてくるくる回るところなんてエクストリームスポーツか何かの類いですよ。良い、すごく良い!!
聞けば剣心のジャンプはワイヤーを使わずに佐藤健さん本人のジャンプ力だって言うじゃないですか。
なんたる身体能力。
御庭番衆の翁対蒼紫戦。
特にトンファー装備の翁とそのキレッキレの動きもすごく良かったですよ。
しかし、この京都大火を防ぐエピソード、全体はすごくいいアクションの見せ場なのに、それを前述のドラマパートがぶった切るんですよ。
アクションパートの出来は、アクション指導及びそれを受ける役者、スタントの方々の功績。素晴らしいです。
大友監督、折角のアクションシーンで大演説大会初めてどうするのよ。
この神速を見よ!!!!! |
大作日本映画では良い方だ、とのポジティブな声もある本作ですけど、個人的にはダメダメだと思います。
雰囲気でごまかしている分悪質。
少なくともドラマパートに関しては映画ではありません。
映画みたいなちょっとお金の掛かったドラマです。
はっきり言って、こんな撮り方を続けるならば、この監督に映画を撮る技量は無いと思います。
映画とドラマは同じ映像メディアってだけで根本で違うのだから、この感覚で何本作ろうが良い映画なんて生まれる訳が無い。
映画とドラマどちらが上だとかそう言う話ではありません。
そもそもの資質が無いのだと思います。
ただ、何度でも言います。
アクションは素晴らしい。
役者さんもハマってる。
間違いなく見所はあるんです。
次は遂に十本刀との対決、志々雄との決戦ですから、よりテンションの高いアクションシーンの連べ打ちが期待出来る。
そのポテンシャルはあるのだから出来るはず!!
ただこの大友監督、今作までの流れだとまた戦いの中でだらだらだらだら台詞合戦を始めそうな予感。
間違いなく同時に撮影していただろうからその可能性の方が高いかも。
ぬる〜い気持ちで9月13日公開『るろうに剣心 伝説の最期篇』を待ちたいと思います。
・追記
予告編にもの申す。
予告でパルクールチャンバラ、ブレイクダンスチャンバラを観られると期待して劇場に行ったのに本編に無し。
恐らく次作から抜いたんでしょう。
こんなの絶対ダメ。
詐欺ですよ詐欺。
・追記その2
巻町操を演じた土屋太鳳さん。
アクションキレキレ、飛び切りキュート。
すごく良かったです!!!!
あの見事な開脚蹴りに、私の心にクリティカルヒット。
巻町操を演じた土屋太鳳さん |
<あらすじ>
かつては「人斬り抜刀斎」と恐れられた緋村剣心は、新時代の訪れとともに穏やかな生活を送っていた。しかし、剣心の後継者として「影の人斬り役」を引き継いだ志々雄真実が、全身に大火傷を負わせた明治政府へ復讐を企てていると知った剣心は、逆羽刀を手にとり、単身で志々雄のいる京都へ向かう。
映画.comより
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