『白日焰火』
2014/中・香 上映時間106分
監督・脚本:ディアオ・イーナン
音楽:ウェン・ジー
撮影:トン・ジンソン
キャスト:リャオ・ファン
グイ・ルンメイ
ワン・シュエビン
ワン・ジンチュン
ユー・アンレイ 他
80点
”やっぱり黒沢清好きだったのね”
ヒューマントラストシネマ有楽町にて鑑賞。
鑑賞した率直な感想としては、凄く黒沢清作品っぽいと言う雑感。
寒々とした中国の地方都市の光景。
それを映し出す全体のショットの構成が美しく、そしてカッコいい。
広角で景色を映すショットが多用されていて、それが何とも言えず良い。
例えば序盤、容疑者の2人を見つけ尋問する場面。
カメラを遠景で固定しての長回しで、じわじわと尋問が厳しくなり始め、結果最悪の事態に。
もう一つ印象的だったのは、線路の上から下を走る列車の貨物車に向けてバラバラの死体を落とすシーン。
これらの遠景のショットと長回しが今作の寒々としたロケーションと合致していて凄く印象的。
そして、こここそが黒沢清作品ぽさを感じた部分。
序盤の容疑者2人への尋問シーン、その結果の突発的な暴力も凄く黒沢清作品感が強いし、投げ捨てられる死体の身も蓋もなさも凄くぽい。
絶対ディアオ・イーナン監督、黒沢清作品が好きに違いない!と調べてみると、こんな記事が。
インタビュアーの方から、初期の黒沢清作品を思い出したと言われ、こんな答えが。
少し眺めに引用すると、
”あぁ、黒沢清の作品は大好きですね。ただ、直接的に何か別の作品のワンシーンから影響を受けて、自分の作品のシーンを組み立てていくようなことはないです。”
CINRA.NETより引用
どうやら確信的に寄せていた訳ではないようです。
なんだ…。
もっと気になる発言はその下。
中国の映画界ではカット数が多い方が商業的な作品と見なされるようで、製作の出資を受ける際、カット数の指定まで来るのだと。その為に、国内版とインターナショナル版とでカット数が違い、前述の長回しも、国内版ではカットが割られているそうで。
なんとも不思議な中国映画界の風習。
今作で言及しなくてはいけない要素。
それはグイ・ルンメイさんのファムファタールぷり。
彼女の顔立ち、佇まいが良い。
その薄幸そうな雰囲気が良い。
これもまた作品全体の寒々とした光景に合っていて凄く良いし、彼女のミステリアスな魅力がより際立つ。
タートルネックがまた良くて、何か本心を見せてない感じがする。
グイ・ルンメイさん、良いです。
まだ今作が長編3作目なんだそうで。
ディオナ・イーナン監督、注目。
<あらすじ>
1999年、中国の華北地方。ひとりの男の切断された死体が、6つの都市にまたがる15カ所の石炭工場で次々と発見されるという事件が発生。刑事のジャンが捜査を担当するが、容疑者の兄弟が逮捕時に抵抗して射殺されてしまい、真相は闇の中に葬られてしまう。それから5年、警察を辞め、しがない警備員として暮らしていたジャンは、警察が5年前と似た手口の事件を追っていると知り、独自に調査を開始。被害者はいずれも若く美しいウーという未亡人と親密な関係にあり、ジャンもまたウーにひかれていくが……。
映画.comより
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