『ANNIE』
2014/米 上映時間118分
監督:ウィル・グラック
脚本:ウィル・グラック
アライン・ブロッシュ・マッケンナ
製作:ウィル・スミス
ジェイダ・ピンケット=スミス
ジェイ・Z 他
製作総指揮:アリシア・エメリッヒ
セリア・D・コスタス
音楽:グレッグ・クスティン
キャスト:ジェイミー・フォックス
クヮヴェンジャネ・ウォレス
ローズ・バーン 他
50点
”八方美人な話はつまらない”
最寄りのTOHOシネマズにて鑑賞。
原作が中途半端に頭に入っている状態で観てしまい、これがいけなかった。
ただ、そんなことは観終わった後に感じた違和感に比べたら微々たるもの。
可愛いシーンもあったし、皆歌がお上手。
だけど、八方美人なお話はつまらない。
『アニー』を現代版で語り直す、その意義はよく分かります。
主演のアニー役、黒人のクヮヴェンジャネ・ウォレスがその象徴で、その脇にジェイミー・フォックス。
つまり、人種を混ぜ込んだ、言わば現代のニューヨークを表す人種のるつぼ感でアニーを語り直す。
ヘリに乗ってミューヨークを上空から映しているのは確信的に狙ってのことでしょう。
イントネーション的にロシア系の役者も混じってますし、記者達の中にはアジア人も混じってました。
人種の境を無くして、『アニー』を現代にも通じるお話にする。
その志は素直にとても良いと思います。
ただ、それとお話の面白さはまた別の話。
今回の『ANNIE/アニー』、その物語の語り直しをするに当たって物語にも改変が加えられていて、全方位、誰に対しても配慮、気を配った、みんながハッピーでいられるお話へ物語が変化しているんです。
その結果、当たり障りの無い、物凄く八方美人なつまらないお話に。
例えばキャメロン・ディアス演じるハニンガンを善玉に変化させる扱い。
元の原作では孤児院の院長だったところを、今作では補助金目当てで養子を取って施設を運営する元スター歌手という役回りに。
この設定自体が何とも飲み込みづらい上に、終盤あることがきっかけで今までのアニー含めた養子達への酷い仕打ちを改め、改心するんです。
この、改心のきっかけがジェイミー・フォックスからのその場の又聞きってのもなんともお話として性急だし、なまじ今まで一緒に生活してたのにそもそもそんなことぐらいで改心するか??
悪役の置き方もよく分からない。
選挙に当選したらリッチになるからってことが彼の動機らしいんですけど、なんで??
今までの候補者、当選させて来たって言ってたじゃない。
なぜ今急にそんな話になったのか。
他にも言いたいことは沢山ありますが、そんなことはどうでもいい。
本当に問題なのは、ミュージカルとしての楽しみが全く無いこと。
ここが一番問題。
ミュージカルとして見ていてワクワクするようなシーンが本作には皆無。
基本2,3人でお上品に歌ってるだけ。ダンスもキャメロン・ディアスとクライマックスぐらいで、ほぼ無いに等しい。
思い返しても印象的なシーンが全く無い。
そんなラストも、3人がただ踊ってるのを、周りは傍観してるだけ。
「2人の時間だから」なんて説明されてましたけど、そうじゃないだろ。
大団円なんだからそこはみんなで踊れよ。
そもそもミュージカルが突然人が歌って踊り出すミュージカルのおかしな世界感なのに、その中に傍観者を置くなんて、こっちはどういう気持ちで観ればいいんだよ。
ミュージカルを観に来てこの部分がクリアされてないのは痛い。
代わり映えのしない劇伴、アニーのテンションに同調して物語のテンションも常に同じな一本調子。
怯えた様子の全く無いアニーにハラハラの全く無いクライマックスの追跡シーン。
今回割食ったのは主演のクヮヴェンジャネ・ウォレスちゃん。
『ハッシュ・パピー バスタブ島の少女』は良かったのに、全く持って酷い使い方。
<あらすじ>
ニューヨーク、マンハッタン。1歳になる前に両親に捨てられ、横暴なハニガンが営む施設に引き取られた少女アニー。10歳になった現在も両親が迎えに来てくれると信じている彼女は、かつて自分が置き去りにされたレストランに通い続けていた。そんなある日、アニーは事故にあいそうになったところを市長候補の男スタックスに助けられる。アニーの存在が選挙戦に有利になると考えたスタックスは、彼女を引き取って一緒に暮らしはじめるが……。
映画.comより
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