2013年8月1日木曜日

ゼロ・ダークサーティ

2012/アメリカ 上映時間157分
監督:キャスリン・ビグロー
脚本:マーク・ポール
製作:マーク・ポール
キャスリン・ビグロー
ミーガン・エリソン
製作総指揮:コリン・ウィルソン
グレッグ・シャピロ
テッド・シッパー

キャスト:ジェシカ・チャステイン (マヤ)
ジェイソン・クラーク (ダン)
ジョエル・エドガー (パトリック)
マーク・ストロング (ジョージ) 他


85点
※試しに点数を入れてみました。
気まぐれな試みなので直ぐ無くなると思います。


”え!?そこも実話なの!!”
この映画、個人的に凄く面倒くさい映画なんですよ。だからとっても人に勧め辛い。
結論から言うと、自分、この映画もの凄く好きで、度肝を抜かれたんですよ
ただ、面倒くさい。

何がそんなにも面倒くさいかって言うと、観てから時間が経ったというのもあるんですけど、最初に自分がこの映画に対してどんな感想を持っていたかを忘れてしまっているからなんですよ。忘れるというか、書き換えられる、と言った方が近いかもしれないです。
なんでそんなことが起こるかと言いますと、この映画が、ご存知の方も多い通り、自分が生まれてから起こった9.11、その区切りとなった出来事の、ビンラディン暗殺の事実を扱っているからです






まず初見時に持った印象は、なんかもの凄いものを観てしまって、腹に一発食らわされた感じでした。そのくらい映画が圧倒的なもので、見終わった後帰りの有楽町駅でただ呆然としていたのを今でも覚えてます。
そして落ち着いてきた頃に電車の中で、その当時のニュース記事だったりウィキペディアを覗いてたりすると、自分がこの出来事に対してどんな感情を持っていたかを思い出してくるんですよね。そうすると段々、映画から受け取ったイメージを勝手に補完してしまう訳ですよ。
それはもう映画の感想というより、この事実を自分はどう思っているか、に変わってますよね。

日本人の自分からすると割とフラットに観られた方だと思うんですよ。
聞いた話だと、アメリカの劇場で冒頭の9.11のフライトレコーダーのやりとりが流れ出したら、悲鳴が上がったらしいですからね。
テーマがデリケートなものであることは間違いないですよね。



後半につれ、任務をこなすマシーンと化すマヤ



では、何とか思い出しつつ、この映画の自分なりの感想を書いてみますね。

まず、この映画の肝は、ビンラディンを追い詰め、作戦を実行したのは実はCIAの女性であった、と言われてますが、それ以上に、この主人公が象徴してるものがアメリカそのものである、と言うのが重要でしょう。

確かにビンラディンを追っていたのが女性と聞いてびっくりですよ。
実際その話を聞いて、面白しろそうだと観に行きました。
ただ見終わってみると、それはただのカモフラージュなんだなと思いました。

これが任務から来る使命感なのか、ただの自分の執念からなのか分からずに、ただ時間が過ぎていき、半ばやけくそになって、段々と私怨をぶつけだす主人公はアメリカそのものでしょう。アメリカ国旗に主人公を映すなんてあからさまなカットまでありますし。

そしてラスト、全てを終えた主人公は、呆然とした顔でただただ涙を流すのです。
この涙が何を意味するのかは、是非ご自分の目で!



『海神の槍』作戦




そして、自分が一番映画として、本当に不謹慎ながら興奮したのがクライマックスの作戦シーンですよ。緊張と興奮で観ている間中ずっとズボンを握りしめてました。
暗視ゴーグルの映像、リアルな隊員達のやりとり、自分が観ているのは記録映像なんじゃないかと思いましたよ。

でも、もの凄くリアルな分、一点気になったところがありまして。
作戦に2機のブラックホークヘリを使ったんですけど、その内の1機が着陸に失敗して飛べなくなってしまうんですね。でもこのまま機体を残しておくと、パキスタン政府に作戦を知られてしまうと。そこで機体を爆破処理するんですけど、事態に気付いたパキスタン空軍の戦闘機がこちらに向かっているとの情報が、急いで爆破処理作業をしなくては。
爆薬を巻いて、代替のヘリ到着で離脱。爆破。間一髪で作戦成功。

もの凄く息詰まる場面でしたけど、観ている間、ああキャスリン・ビグロー、ここ盛ったな、と。
いくら何でも脚色だろ、こんなドラマチックな訳が無いと思いましたよ。
すると、帰りの電車で覗いたウィキペディアにこんな事が書いてありまして。


作戦中、ホバリングしていたアメリカ軍のブラックホーク・ヘリコプター1機が揚力を失い墜落したため、爆破処理されるというトラブルはあったが、すぐに代替のチヌーク・ヘリコプターが駆けつけ、プラン変更を行うことで作戦は続行された。                       ーーwikipediaより 


え!?ここも実話だったの!!!!!!
ごめんなさい、キャスリン・ビグロー。疑ってすみませんでした。

ただ、そうなると、ビンラディンを追い詰めたのが女性で、作戦にも波乱があって、こりゃ映画にもなるわと納得。
本当にこの実話、大変不謹慎ですが、ドラマチック過ぎますよ。



爆破処理されるブラックホーク



付けた点数は、この映画、上がりはしても、下がりはしないだろうってことで、現状の85点ということにしておきました。15点分は伸びしろ分です。
アカデミー賞は無冠に終わりましたけど、10年後に語られているのはどっちかと言われると、『レ・ミゼラブル』ではなくてこっちの様な気がしますね。

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