2013/アメリカ 上映時間105分
監督:ガブリエル・ムッチーノ
脚本:ロビー・フォックス
製作:ジェラルド・バトラー
ハイディ・ジョー・マーケル
ケビン・ミッシャー 他
製作総指揮:エド・カゼル三世
ボアズ・デヴィットソン 他
原題『Playing for keeps』
キャスト:ジェラルド・バトラー
ジェシカ・ビール
キャサリン・ゼタ=ジョーンズ
デニス・クエイド
ユマ・サーマン
30点
”感情をどこに持っていこうとしてるの?”
試写会にて鑑賞してきました。
まったくノーチェックの映画だったんで、当たりなら儲け物ぐらいの軽い気持ちで観たんですけど、とんでもない映画でした。
観終わった後誰かの首を絞めたくなるような映画ってあるじゃないですか、この映画、それです。
元サッカー選手なんだってさ
お話自体、もう何度観たことか分からないような家族再生物ですよ。
仕事をクビになって、それまで顧みなかった家族にも見放されて、全てを失った男が、どん底でやっと大切な物に気付くみたいな、そんな話ですよ。
何か思い当たる映画、ありますよね。それですよ、それ。
別にこのプロットが悪いと言っている訳では全くありません。
むしろ好きなお話です。『クレイマー、クレイマー』なんて大好きですし。
ちゃんと作ってあればどんなお話だろうが面白いんですよ。
では、この映画の何がいけないかと言いますと、ちゃんとしてないんですよ。
”雰囲気良さげ”な画を見せられてもね
まず、主人公に都合のいいことしかこの映画では起こらない。
彼、引退したサッカー選手なんですけど、それがきっかけで自分の息子が所属してるサッカーチームのコーチになるんですよ。
この展開になった時、この弱小チームを育てていく中で、子供達とぶつかり合いながら大会優勝を目指し、自信と家族との信頼を取り戻すのね、面白くなりそうかも!なんてことを考えたんですけど、全く葛藤も何も無いままサクサク強くなるチーム。
そしてこんどは所属してる子供達のママから言い寄られる主人公。ずぶずぶと関係を持つことに。
そんなママの一人と木陰でチュッチュチュッチュしているところを見てしまい怒る息子。
次の日、そんな息子を連れ出し、突然降り出した雨の中でサッカーの練習をする親子、仲直り。その光景を見て涙ぐむ前妻。
言葉にならないほどいいシーンでした。
さっきまでピーカンだったのに突然降り出す雨
言い寄って来たママの一人、キャサリン・ゼタ=ジョーンズのお膳立てでスポーツキャスターになれることになった主人公。
ご褒美をちょうだいと、キスをせがむゼタ=ジョーンズ。
やっぱり家族が大事だと断る主人公。
逃した魚は大きいわよ、と凄んでみせるゼタ=ジョーンズ。
このシーンがこの映画のダメさを全てを象徴してますよ。
主人公、劇中で悩み、葛藤してる風な雰囲気を漂わせて、それを感動的に演出してるようですけど、何も悩んで何かないですよ。
コーチやって上手くいって、ママ達から言い寄られて、キャスターの仕事も見つかって、って、それ全部向こうからやって来たラッキーでしかないから。
主人公が能動的に何か事を好転させないんです。ご都合主義的に周りが全てを解決してくれるんですよ。これに感情移入しろって言う方が難しいんじゃないですかね。
そんなもの観せられて、最後は家族再生ってなんだよそれ。
この監督は、観客の感情をどこに持っていくつもりだったんでしょうか。
こんなお話でも、観ている間周りからすすり泣く声が聞こえて来たからびっくりでした。
別に否定はしないですけど、もっといい映画あるから、そっちを観てー!!
ハートウォーミングな親子愛
この映画を観て思ったことは、今までダメだと思ってた映画は実はそんなに悪くないのではないかということ。
そういうことに気付かせてくれたという意味では、この映画を観た意義はあったということですね。ありがとう。
余談でございますが、試写会後、この映画への文句を肴に友人と晩酌をしていたのですが、帰りの終電間近の電車で携帯が無い事に気が付き、急いで来た道を戻るという、この映画よりよっぽどスリリングでサスペンスフルな出来事がありました。
日常にはこんなにもドラマチックな展開に溢れているんだなと実感した次第でございました。
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