2013/日本 上映時間126分
監督・脚本・原作:宮崎駿
製作:奥田誠治
福山亮一
藤巻直哉
音楽:久石譲
主題歌:荒井由美『ひこうき雲』
キャスト:庵野秀明
瀧本美織
西島秀俊
西村雅彦
スティーブン・アルバート 他
80点
"いい風吹いてました”
80点
"いい風吹いてました”
宮崎駿最新作ってことで、数年振りのお祭りですよ。
なんせ前作が”さかなの子”ですから、これまた振り切ってる作品ですよね。
その分、大変いい風が吹いてました。本当に良かったです。
ちなみにジブリは好きですが、ファンと言えるほど詳しくはないです。
震災後初の作品になるので、監督なりの思いみたいなが入ったものになってるんだろうなと思ってたんですけど、予想に反して、もっとフラットで、より個人的な、小さなお話しで、震災を描いてる訳でもなく、戦争の時代を描いてるでもなく、一人の男が夢を叶えようとする話であり、その夢に孕んでいる残酷さのお話ではないでしょうか。
自分はそう感じました。
二郎の夢は、"美しい風のような飛行機”を造ることです。
でも、カプローニが夢の中で言ったように、飛行機は呪われた発明であり、二郎が生きる時代はその飛行機を使って戦争をしている時代です。
そんな時代に生きていながら、二郎はただ実直に、自分の夢を叶えようと生きています。
「機銃を乗せなければもっと軽くなるんだけどなぁ」なんて、戦闘機を設計している人間とは思えないような無邪気な発言をしたりも。
しかし、"美しい風のような飛行機”零戦を設計し、遂に夢を叶えた二郎を待っていたものは、日本の敗戦、飛行機の墓場、造った飛行機は一機も帰って来なかったという事実であり、二郎の言葉にあるように、地獄のような現実でした。
でも、そんな過酷な夢の中でずっと待っていてくれたのは菜緒子であり、それでも二郎に「生きて」と伝えるのです。
このラストシーンからの『ひこうき雲』は破壊力抜群でした。
二郎と菜緒子のささやかな生活も本当に良くて、お互いに時間が無いと分かっているからこそ添い遂げようとする2人の姿は気高くも思えて、胸に迫るものが。
急場しのぎの結婚式のシーンもグッときましたし、初夜のシーンも本当に良かったです。
そして菜緒子が黙って山奥の高原病院に戻っていき、黒川の奥さんの「美しいところだけ好きな人に見てもらったのね…」の台詞で涙腺決壊、号泣でした。
ジブリっぽくないと言われている作品ですが、主人公が、自分より先に相手に何かを分け与える描写でキャラクターの性格付けをする辺り、やっぱりジブリだなと感じたりも。
シベリアって何なんでしょ。
賛否両論らしいですけど、自分の目でしっかり確かめてください。
もし風が吹いたなら、自分の中で大切な一本にきっとなると思いますよ。
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