2013/米 上映時間109分 PG12
監督:リチャード・リンクレーター
脚本:リチャード・リンクレーター
イーサン・ホーク
ジュリー・デルピー
製作:リチャード・リンクレーター
クリストス・V・コンスタンタ 他
製作総指揮:リズ・グロッツァー
マーティン・シェイファー 他
音楽:グレアム・レイノルズ
キャスト:イーサン・ホーク
ジュリー・デルピー
90点
”会話をやめないで”
1995年、ウィーンでの出会いを描いた『ビフォア・サンライズ』
再会の約束を果たせなかった二人が、その9年後に再びパリで出会う2004年の『ビフォア・サンセット』
そして、そこから9年後の二人を描いたのが今作『ビフォア・ミッドナイト』
40歳となって、色恋の季節を過ぎた二人はどう変わっているのか。
はたまた何も変わらずあの日のままの姿なのか。
二人はですねぇ、やっぱり年月分変わってました。
もう魔法に掛かった二人はいませんでした。
そりゃそうだ。
そこが描きたくての続編なのだろうから。
「永遠に続く愛って、意味があるのかしら?」
18年前のウィーンにて |
このシリーズの特徴としては、とにかく主演の二人が延々と喋る。
会話自体は何気ない世間話から、壮大な死生観まで、とにかく色々なことを喋る。
しかも、会話がアドリブにしか見えない程自然な演技で、尚かつ劇中で出てくるのはほぼ二人だから実に濃密な時間。
そんな何気ない会話の端々から、二人の性格、価値観、恋愛観がうっすら垣間見えてくる。
一作目の『ビフォア・サンライズ』では、ウィーンの街で、日が出るまで。『ビフォア・サンセット』では、日が沈むまでの時間を、それぞれ限られた時間を惜しみながらのおしゃべり。
ただ、今作の『ビフォア・ミッドナイト』の二人は子供がいて、既に関係が出来上がってる。おまけにジェシーには前妻との子供もいて、それが二人にとって悩みの種。
今まで恋を盛り上げていた、お別れまでのリミットはもうナッシング。
あるのは、ひたすらに続く時間のみ。
あの時はあんなに一緒にいたいと思っていたのに。
あぁ、あのウィーンでの出会いをもってしても、時間には勝てないのね。
劇中では、二人のこれからの時間を強調するような台詞が随所に出てきて、それがまたこれからの途方も無さを感じさせて。
今回も喋る、喋る。 |
その途方も無さを強く実感するのが、ホテルに到着してからの喧嘩シーン。
子供を預け、二人水入らずで夜を過ごそうと。
早速ベッドで抱きしめ合ってると、一本の電話がきっかけで喧嘩を始める二人。
冒頭でも軽い甘噛みみたいな言い争いはありましたけど、今度は本物。
喧嘩は最初の話題を大きく逸れて、いつしか日頃の不満吐露大会に。
とにかくこの喧嘩シーンが長い長い。
ずーっと言い合いしてるんですよ、
今までは、今の瞬間の気持ちを伝えてればよかったのに、今の二人の話題はもちろんこれからのこと。
そりゃ終わらないよね。
終わる気配も全く無いからもうこっちは観てて苦笑いですよ。
ただ、この喧嘩がどんどんドライブしていく感じ、ただの傍観者からしてみれば最高です。
当事者にしてみればソファに倒れたくもなりますけど。
そして、堪忍袋の緒が切れたセリーヌが部屋を出て行き、でもなんだかこれじゃあ私が負けた気がすると直ぐさま戻って再び言い合い。
ただ、部屋を出て少し冷静になったのか落ち着きを取り戻す二人。
安心したジェシーはグラスにワインを注いで、セリーヌに渡すや否や、ブーメランが帰ってきたようにまた喧嘩を始めるセリーヌ。
もはや煉獄感。
抜け出せない無限ループ。
そして遂に決定的な言葉を残して部屋を出て行くセリーヌ。
ああ、ああ、あぁ。
この、ホテルに行って愛を確かめ合おうとするも失敗する流れ、どっかでも観たことあるなと思ってたら、あれですよ、『ブルーバレンタイン』での世にも恐ろしいベッドシーンからの喧嘩がそれですよ。
しかし、ジェシーとセリーヌはちゃんと、最後は仲直りをしてみせます。
『ブルーバレンタイン』に無くて『ビフォア・ミッドナイト』にあるものは何か。
それは、二人はまだ、ちゃんとお互いの意見を言い合える関係であると言う事です。
しゃべり続ける事。話を聞く事。
つまり、おしゃべりです!!
おしゃべりと、情熱的なセックス。
これが何より重要。
恐らく二人は、また幾度と無く喧嘩をするでしょう。
でも、あのおしゃべりが出来る限りは、二人はきっと大丈夫。
それでは最後に、観る前に勝手なイメージで連想してた曲をお聴きください。
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