2014年2月26日水曜日

大統領の執事の涙


The Butler
2013/米 上映時間132分
監督:リー・ダニエルズ
脚本:ダニー・ストロング
製作:ローラ・ジスキン
バメラ・オアス・ウィリアムズ
リー・デニエルズ 他
製作総指揮:レン・ブラヴァトニック
音楽:ロドリーゴ・レアン
撮影:アンドリュー・ダン
編集:ジョー・クロッツ

キャスト:フォレスト・ウィテカー
オプラ・ウィンフリー
レニー・クラヴィッツ 他

58点




”100%正しい映画が、100%面白い映画だとは限らない”





凄く良い映画だと思います。
描かれているメッセージは100%正しいです。ぐうの音も出ません。

ただ、それが映画としての面白さになっているかと言われたら、個人的には首を捻ってしまう。



『プレシャス』に続いて登場のマライヤ・キャリー



大統領執事のセシルと、公民権運動に参加する息子ルイスから見た、当時のそれぞれのアメリカ人種差別の歴史を、物語は『フォレスト・ガンプ』方式で辿って行きます。

『フォレスト・ガンプ』では、当時のアメリカを体現するフォレスト。
ヒッピー、フリーセックス等々、そのカウンターカルチャーに参加したジェニー。

『フォレスト・ガンプ』が二つの視点で当時のアメリカを語ったように、今作はアメリカの人種差別の歴史を、父はホワイトハウス側から、息子は差別に抵抗する黒人側からの視点で描いていくんですけど、ここに『フォレスト・ガンプ』と異なる部分が。

それは、主役のセシルが全く歴史に関わらないんですよ。
アメリカの中心から、黒人としての彼の視点で歴史が語られるでも無く、ただセシルは事態を静かに見守るんですけど、これが勿体ない。

差別に対して積極的にアクションを起こしていたのは息子のルイスの方で、ルイスの物語の方がよっぽどドラマチックなんですよね。

だから観ている間、二人をどう観ていいのか分からなくてすごく居心地が悪いんですよ。

最終的にセシルはルイスの活動に参加する訳ですから。
やっぱり讃えられるべきは困難に屈さなかった息子じゃないかよ、と。



ロビン・ウィリアムス、アラン・リックマン、大統領夫人にジェーン・フォンダ。豪華。



この映画で描かれているもの、メッセージ、全てが正しいです。
オバマ当選で終わるのも納得です。

ただ、何でしょう、これは好みの問題かもしれないんですけど、正し過ぎるんですよねぇ。
正論を振りかざされて天の邪鬼になってるんではなくて、映画としてお利口すぎるんですよねぇ。事実がどうとかでは無くて、映画としてのお話で。


でも、そここそがこの映画の魅力なのかもと、観終わって数日経って思い始めました。
全体に軽快でサラッとしてるのも、魅力なのだとも感じます。
鑑賞に体力が要る『プレシャス』に比べたら、気軽に誰もが観られますからね。



役者陣は皆素晴らしいです。




あくまで主観なんですけど、100%正しいメッセージを持つ今作と、最低野郎が最低最悪の限りを尽くす『ウルフ・オブ・ウォールストリート』
映画としてどっちが魅力的かと言われたら、断然『ウルフ・オブ・ウォールストリート』なんですよねぇ、『アメリカン・ハッスル』なんですよねぇ。

映画って、本当に不思議。


0 件のコメント:

コメントを投稿

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...