2014年2月7日金曜日

小さいおうち


小さいおうち
2014/日本 上映時間136分
監督:山田洋次
脚本:平松恵美子
山田洋次
音楽:久石譲
撮影:近森眞史
編集:石井巌

キャスト:松たか子
倍賞千恵子
黒木華
片岡孝太郎
吉岡秀隆


90点



”不本意な選択"


劇場は結構人は入ってました。
ただし、お客さんの層はお年寄りがほとんど。
いかんぞ、これはいかん。

かく言う私も、監督の作品を多く観ている訳ではないので、監督の作家性などは到底言及できませんが、今の時代に観らるべき、とても素晴らしい映画でした。

原作は未読です。



和服も洋装もどちらもお美しいです、松さん。



お話自体は非常にミニマムなものでも、作品の持つメッセージは非常に大きなもので、その当時は誰しもが抱えていた様な、そして、恐ろしくも今の我々もそうなりつつあるのでは。

それは、”あの当時は、誰しもが不本意な選択を強いられていた”
ラストでのこの台詞が全て。

自分のある選択によって、タキさんはその後60年間苦しむことになる訳ですが、彼女にその選択を迫らせたのは、他ならぬ”戦時下の世間の雰囲気”があったから。

この部分は原作から大きく改変されたポイントらしいですが、個人的には今の時代の映画としてこれは正解だと感じました。

タキさんは、例え秘められた恋だとしても、あの時二人を会わせていればと、思わずにいなかった日はないと思います。
彼女の選択は、戦時下の雰囲気からのものであって、間違いなく不本意な選択であったはず。
私は、タキさんの当時のあの瞬間の気持ち、60年分の思いを想像すると、胸がきゅっとなって仕方ないです。


人の生き死にと同時に、戦争は、その時代を生きる小市民の小さな思いもかすめ取っていきます。

再びそうなりつつある今の時代。
同じ道を辿るなと、これは監督からの警告なのでは。

ただ、だから戦争は駄目だとか、声高に叫ぶのではなく、小さなお話の中から紡ぎだされたこのメッセージから、監督の、映画人としてきちっとリベラルでいようとする姿勢と、映画的良心を垣間見ました。


戦争は確実にじわじわと彼らの生活に迫ってきます。
この状況は確実に今とリンクするし、この映画を今観る価値はここにこそあるでしょう。

向いのシアターで『永遠の0』を同じ時間帯に上映していたんですけど、むずかゆい思いをせずにはいられませんでしたね。



妻夫木さんもとても良かったですよ



キャスト陣は皆さん素晴らしいです。

松たか子さんは相変わらずお美しくて、もう。
インタビューでもありましたが、声の高さが彼女の少しふわっとした性格を表してもいて、まさしく時子です。

吉岡秀隆も、あの当時のモテ男感ビンビンです。

そして、何と言っても黒木華さん、やっぱり凄くいい女優さんです。
古風な顔立ちで映画美人。本当にスクリーン栄えします。
山形弁もめちゃくちゃ板に付いててキュート。
佇まいでもう100点ですね。


今の時代を生きる者なら見るべし。
特に若い子、良い映画だから観てね!!


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