2014年2月16日日曜日

アメリカン・ハッスル


American Hustle
2013/米 上映時間138分
監督:デビット・O・ラッセル
脚本:デビット・O・ラッセル
エリック・ウォーレン・シンガー
製作:チャールズ・ローヴェン
ミーガン・エリソン 他
製作総指揮:マシュー・バドマン
ブラッドリー・クーパー 他
音楽:ダニー・エルフマン
撮影:リアヌ・サンドグレン

キャスト:クリスチャン・ベール
ブラッドリー・クーパー
エイミー・アダムス 他

90点




”みんな自分に嘘ついてる”



公開日初日の朝一の回に気合いを入れて鑑賞。
去年の年間ランキングに同監督の『世界にひとつのプレイブック』を入れたり、事前の情報から期待値MAXだったり、とにかく楽しみ公開日が待ち遠しかったんです。

しかも、同じ週に『ウルフ・オブ・ウォールストリート』『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』『スノー・ピアサー』、『ラッシュ/プライドと友情』の先行上映があったりして、映画館はお祭り状態。

『永遠の0』の牙城を崩し、『ゼロ・グラビティ』の仇を討つには今しかない!!と息巻いていたんですけども、ふたを開ければ依然1位は『永遠の0』。
『アメリカン・ハッスル』に至っては初登場9位ですよ。

落胆。
洋画って本当に観られていないのだと。


別に映画ファンは興収のランキングなんて気にしません。
自らの経験とカンを頼りに面白い映画を見つけます。

ただ、一般のライトな観客は、少なからず興行収入のランキングで、その作品に対しての態度を決めがちではないですか。王様のブラなんたらのランキングを見たりしてさ。

そうなってくると、ますます観られていない洋画は不利な状況になる一方。

なんだかんぁ、なんだかなぁ・・・。


と、愚痴から入りたくもなるくらい、観られていないのが悔しくなるくらい、『アメリカン・ハッスル』最高に面白い映画でした。
まだ観ていないのならば、今直ぐ映画館へ。
観れば面白いんだからさ。いいじゃない観れば。



このメンツで面白くない訳がないじゃない



監督のデビット・O・ラッセルと言えば劇中の音楽使いがとにかく抜群。
シーンにばっちり合った選曲で、そのセンスに観ていてとにかくアガるんですけど、何と言うか、お洒落では無いんですよ。ちょっと泥臭さを感じさせる選曲なんですよ。
それがセンスなんですけどね。

例えば『ザ・ファイター』で、中盤家族との関係を切ってマーク・ウォールバーグが勝ち星を挙げだすのをダイジェストで見せるシークエンス。
流れるのはレッチリとエアロスミス。
しかも試合のエモーションに合わせて選曲は「Back in the saddle」ですよ。

ベタか!?
デビット・O・ラッセルベタか!!

でも、このベタさ、泥臭さが最高にいいんですよ。
ともすれば最高にサムいことになりがちな選曲も、がっちり場面と合ってるから良いんです。





落ち込んだ時に聴く曲、空元気上げて行きたい時に聴く曲、人生の色んな場面で流れる曲って誰にでもあるじゃないですか。
まさに選曲がそれで、凄く泥臭い。ダサい。
でもそれが激しくエモーショナル。

”iPod感覚”とでも言いましょうか、曲が劇中の人物にしっかり寄り添ってるんです。

今作で言うと、まさかの『007/死ぬのは奴らだ』から「Live and let die」
この曲を聴きながら、ジェニファー・ローレンスが頭を振り乱しながら掃除をするんです。

この曲のこんな使い方ありますか!?
最高でしょ。

もちろんサントラ購入しました。
ただ今ヘビロテ中。



髪をいじられて憮然とするクリスチャン・ベール、最高。



映画始まって直ぐ。
画面に映るのは、頭をハゲ散らかし、ぼってりと腹が出ているクリスチャン・ベール。
その彼が、部分カツラを装着し、九部分けにする様を意地悪く我々に見せます。

カツラってなんでしょう。
自らの死んだ毛根を偽る帽子のことです。
つまり、嘘です。

この部分カツラ装着シーンは、これから始まる物語への高らかな宣言です。
この物語は、嘘を巡る話であると。


劇中、それぞれの目的の為に、みんな嘘をついてます。
そんなもんだから、それぞれの気持ちはあっちに行ったりこっちに行ったり。

そんなそれぞれの思惑が錯綜するのが中盤のクライマックスであるパーティーシーン。

前述の音楽使いも相まってこのシーンはもう最高ですね。最高です。
ライトが壊れ、煙の中からそれぞれ登場のケレンが効いた演出も最高。



パーティー中、それぞれ目的が違うもんだから、外目には同じ行動をしている様に見えても心は全く異なる方向へ。

それぞれが何をやりたいかしっかり理解した状態で観た2回目は倍面白かったですね。
スター俳優達を集めてここまで整理してキャラクターを描き分けるその手腕も見事。

”デニーロ・アプローチ”を実践してるクリスチャン・ベールが、その彼と対面するシーンも最高としか言いようが無い。前日に『レイジング・ブル』も観ていたから尚更。

改めて、キャスト豪華だなぁ。



「Live and Led Die!!!!!!」



個性溢れるスター俳優達を集めて、潰し合う事無くそれぞれがしっかり化学反応を起こして倍の魅力を引き出してるなんてそれだけで、奇跡だし観る価値あり。

なんでみんな観ない?
これを観ないで何を観ると言うの??

観てくださいよ。
絶対面白いから!!

恐らく、3月3日のアカデミー賞を終えて、何かしらの賞を取れば少しは関心も高くなる、かな?


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