『20 Feet from Stardom』
2013/米 上映時間90分
監督:モーガン・ネヴィル
製作:ギル・フリーセン
ケイトリン・ロジャース
モーガン・ネヴィル
撮影:ニコラ・マーシュ
グラハム・ウィロビー
編集:ダグラス・ブラッシュ
ジェイソン・ゼルデス 他
キャスト:ダーレン・ラブ
メリー・クレイトン
ジュディス・ヒル
リサ・フィッチャー
85点
"誇りを持って歌ってんのよ”
祝オスカー!!
長編ドキュメンタリー部門受賞おめでとうございます。
去年の『シュガーマン 奇跡に愛された男』に続いて、音楽ドキュメンタリーが2年連続で受賞。
そんなアカデミー授賞式当日のベストタイミングに、”分かってる”シネコン、シネマイクスピアリにて鑑賞してきました。
因に、『シュガーマン 奇跡に愛された男』もシネマイクスピアリでの鑑賞で、本当に映画への理解がとても深いシネコンです、シネマイクスピアリさん。
音楽ドキュメンタリーに外れ無し。
オスカーも納得の素晴らしい作品でした。
音楽多めで行きましょー!
この作品一本に、アメリカにおけるバックシンガーの歴史、今、それぞれの苦悩、挫折、成功、これから、全てが詰まってます。
これを小気味よい編集と、シンガー達のインタビュー、そして素晴らしい歌声で彩り上映時間90分で収めてるんだから実に濃密な時間。
それがバックコーラスの仕事。
こ、これは正に、究極のプロフェッショナルじゃないですか!?
そんなバックコーラスを、当の本人達も誇りに思っているし、彼女達に花を添えてもらってるミュージシャン達も、しっかりその実力を認めリスペクトしているのが映画から伝わってきます。
それを伝えるミュージシャンのメンツが豪華で、ブルース・スプリングディーンに、ミック・ジャガー。スティーヴィー・ワンダー、スティングなどなど、S級スーパースター達。
使われてる映像素材も豪華。
マイケル・ジャクソン、デビット・ボウイの当時の映像。
声で出演した『ライオン・キング』『アバター』の映像等々を惜しみなく使用してます。
これらの映像をしっかり使用させてくれてる辺りに、アメリカのショウビズ界がバックシンガー達にしっかり敬意を払ってることが感じられて、そこでもなんか胸が熱くなりましたね。
日本じゃ権利やらなんやらで絶対にこうは出来ない。
アメリカはエンタメが成熟してて羨ましいなぁ。
ただもちろん、そこからソロのシンガーとして成功しようと、更なる努力をする者もいる訳ですが、これがそう上手く行かないのがショウビズの世界。
スターとバックコーラスを隔てるものは何なのか。
スティングが言います。
スターになることは、実力の問題ではないんだ。タイミングが合うかどうか。運もあるし、それは偶然と言っていい。
もちろん高い能力を持ったこと前提の話ですが、その上で、運、タイミング、プロとしての心構えを身につけられるかだと。
そんな全く酷な世界に対して、心を込めて歌えば、スターになれると思ってたと、彼女達は言います。
実力十分ある。努力だってしてる。何がだめなのか。
バックシンガーとして生きてく道もある。でも、あのセンターに立ちたい。
だってそれが夢なんだから!!
ここで、マイケル・ジャクソンの追悼式でスターになるチャンスを掴んだジュディス・ヒルの歌を。
ソロになったものの、全くの鳴かず飛ばずで夢を砕かれ、一旦は夢を諦めるけども、家政婦として働いていた家のラジオから、あの時自分が歌っていた曲が流れ、改めて気が付いた。
自分には歌を歌うことが出来るんだから、この声を聞かせなくては、と。
こう言うエピソードはどうもまいります。
そのラジオから流れて来た曲がこの曲。
自分には歌の才能があるんだから。
だったら、声を聞かせてみんなに分け与えなくちゃ。
この言葉は目から鱗でしたね。
歌を皆に分け与えると。
私は全くの音痴でして、歌が上手い人を心底羨ましいといつも思ってるんですけど、なるほど、歌の上手い人は我々みたいな者の代わりに歌を歌って聞かせるって考え方もあるのかと。
あと、やっぱりソウルフルな歌を聴くだけでアガりますね。
ラストのコンサートシーンでの大団円的な終わり方もズルいけど感動。
途中情報量の多さと、それぞれのエピソードが同時進行で進む語り口に頭が混乱したけども、90分の濃密な彼女達の人生に乾杯!!
シンガーの顔を丸く塗りつぶして、隣に写るバックシンガーを強調した名盤のジャケがスライド形式で登場するオープニングも気持ちいい!!
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