2014年3月26日水曜日

アナと雪の女王(3D)


FROZEN
2013/米 上映時間102分
監督:クリス・バック
ジェニファー・リー
脚本:ジェニファー・リー
シェーン・モリス
製作:ピーター・デル・ヴェッチョ
ジョン・ラセター
原案:ハンス・クリスチャン・アンデルセン『雪の女王』
音楽:クリストフ・ベック
編集:ジェフ・ドラヘイム

キャスト:クリスティン・ベル
イディナ・メンゼル
ジョナサン・グロフ 他

80点




”ありのままで”



公開日初日にTOHO船橋のTCX、ドルビーアトモス環境で鑑賞。
場内ほぼ満席で、そのほとんどがカップル、カップル、カップル。

そりゃそうだ。
その日は3月14日のホワイトデイ。
雪の王国の雪の女王の映画なんてその日にぴったりの映画じゃないか。
ディズニーだし、読後の清々しさも保証されてる。

それにしても皆うきうき楽しそう。
そんな中一人孤高な鑑賞スタイルの自分は妙な卑屈スイッチが入って、周りから聞こえてくる間違った映画知識を指摘して回りたい衝動を我慢しながら、映画が始まるのをじっと待ってました。

『アナと雪の女王』はそんな卑屈な私の心を溶かす、素晴らしい映画でした。


上映開始から一週間ぐらいは周りのレリゴー熱(『アナと雪の女王』と同義)がもの凄い事になってて、とにかくみんなレリゴーレリゴー。
口を開けばレリゴー、レリゴー、ヒアーアイスタンド状態だったたんですけど、時間も経って熱も落ち着いて来て、評判も賛否合わせてまんべんなくなって来た様子。
ここに来て否の意見が目立って来たかなと言った印象。

で、色んな評論を確認しつつ、2回目を鑑賞した私の感想は、駄目な所はハッキリある。だけど、それ以上にレリゴーだった!!
要するに、レリゴーが自分の琴線に触れまくって、そりゃもう好きだ!!
こんな感じです。


個人的な話、ディズニーキャラで誰が好きかと聞かれたら、「アイアンマンMk.7!!」なんて逃げの答えは抜きにして、今ならエルサ姉さんと答えるでしょう。
なんだかねぇ、好きなんですよねぇ。






予告で丸々流してた『Let It Go』
こんなことして本編大丈夫か、飽きられない??
と考えてたんですけど、これが本編の流れで観るとめちゃくちゃ良いんですよ。
そうだよね、自信が無ければ丸々流したりしないよね。


『Let It Go』は、自分の運命を必死で自分に納得させようとする曲なんですよ。
こんな力を持ってしまったけど、これでいいんだ。私は私のままでいいんだと。

その何が良いかって、必死で自分を納得させて、空元気上げてる感じがひしひしと伝わってきて、その健気さが胸にじんと来るんです。
そりゃそうですよ。彼女にとってありのままの自分でいるって事は、孤独になるってことですから。

この、ありのままでいる為に孤独を望んだり、その過程で自分を納得させる為に無理矢理に空元気上げてったこと、誰しも経験ないですかね。
この無理矢理自分を鼓舞することはある種のドーピングでもあるんで、しばらく経ってその反動でまた落ち込んだり。
これ誰でもあるでしょ。


高らかに歌い上げる美しいシーンですけど、エルサの心境はとても普遍的なものだと思うんです。

だから心底グッとくるし、エルサがエルサのままでちゃんと受け入れられる、孤独にならなくてもちゃんと自分の居場所があるラストに感動するんですよ。

しかもそのクライマックスで、序盤でアナが「雪だるまで遊ぼう」と唄う歌のそのメロディーが流れるんですよ。
これで、オラフが二人にとってどういう存在なのかを考えると心底グッとくるし、二人で雪で遊ぶクライマックスがより際立って良いシーンになってる。良いです。良いですよ!








映画全体を貫くテーマに関しては、ナイトウさんのブログにて素晴らしい考察がありますので、少し眺めに引用させて頂くと。


”それで話を最初に戻しますと、『愛は男女間にのみ生まれるものではない』というところね。愛にはいろいろな種類があって、恋愛だけではないのだよ。時代に合わせてきているなあということと、多様性について提示してきている。アナは最終的にクリストフとくっつくけれども、結婚には至らない。いずれするかもしれないが、それは今ではないし、結婚はゴールではない。”


アナの自己犠牲でもって二人の愛が証明されるラストを見ると、ディズニーが次のステップに行こうとしてる姿勢を感じます。
クリストフのキスかと思いきやそれを外しで使う辺り、恐らく意図的に今までのプリンセスストーリーを相対化した作りにしてきたんだと思います。

前作『シュガー・ラッシュ』の、全く別の方向から物語をスタートさせて、きっちりプリンセスストーリーに着地させるラストも見事でしたし、ディズニーも色々仕掛けて来てます。







ただ、やっぱり物語全体が性急で、キャラの描き込み不足は否めないです。
自分は結構汲み取ってキャラに対して思い入れて観てましたけど、それでも全体に駆け足なのは感じます。

あと、ハンス王子があまりにも物語に都合のいいキャラなのはどうなんでしょう。
前述の、これまでのプリンセスストーリーの相対化を際立たせる為とは言え、ちょっとあの性格の変わり様は唐突に感じました。


でもね、そんなことは観ている間は気になりません。
CGのクオリティには言及しませんでしたが、これは言わずもがな。
雪の結晶ももちろん素晴らしいですけど、今回は特に肌の質感表現ですね。
もうツルツルしたCG感は皆無。
寒さで肌が紅潮してる感じ素晴らしいです。


映画全体に欠点もあります。
ただ、個人的にエルサ姉さんにかなり思い入れて観てしまったので、自分は相当好きです。

日本での動員次第らしいですけど、間違いなく長編アニメーションの興行収入を塗り替えるでしょう。
あの予告編の『Let It Go』で観た気になってたら駄目ですよ!!



追記
短編も『ミッキーのミニー救出大作戦』も素晴らしい出来。
ディズニーが本気を出して劇場をアトラクション化して、それでいて過去の技術へのリスペクトも忘れない。
こんなの楽しいに決まってます。



<あらすじ>
触れたものを凍らせる秘密の力を持ったエルサは、その力を制御しきれず、真夏の王国を冬の世界に変えてしまう。エルサの妹アナは、逃亡した姉と王国を救うため、山男のクリストフとその相棒のトナカイのスヴェン、夏にあこがれる雪だるまのオラフとともに、雪山の奥へと旅に出る。
映画.comより







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