2014年4月2日水曜日

愛の渦


愛の渦
2014/日本 上映時間123分 R18+
監督・脚本・原作:三浦大輔
製作:岡田真
木村俊樹
音楽:海田庄吾
撮影:早坂伸
編集:堀善介

キャスト:池松壮亮
門脇麦
遠藤賢一
中村映里子
新井浩文
三津谷葉子 他

80点



”人のセックスを笑うな”



連日満員が続いてるテアトル新宿にて鑑賞。

新宿ってのが『愛の渦』を観るにはまたいいんですよねぇ。
直ぐそこに歌舞伎町ですから。
自分の目の前の座席に、5〜6人の恐らくあっち系だと思われる方々がそれぞれ女性を連れていらっしゃいまして、終始和やかに鑑賞されてました。うーん、アウトレイジ!ビヨンド!!

他にも、あの人はお水の方かな。あの人はホストだ。え!?女性の団体多くないかい!?
と、およそ郊外のシネコンでは味わえない様な環境での鑑賞。
しかも、自分含めてみんな『愛の渦』を観に来てるだけって、なんだかテンション高いんですよ。
どんなものが観れるのかと。

で、いざ上映が始まるとみんな声を出して笑う笑う。
題材が題材なだけに敬遠されてる方も多いと思いますが、これ笑えるコメディです。場内爆笑でした。
濡れ場もいやらしさは感じません。
なので、そういう目的で行くと逆に肩すかしを食らうかも。


ですが、乱交パーティーに集まった男女の映画ってことで、それを説明する以下の文章は非常にセクシャルな内容が含まれるので苦手な方はご注意を。












舞台は乱交パーティー、ですがそれ自体がテーマではないです。
そこから浮かび上がってくる、肩書きも何も捨てて、裸になって見えてくるむきだしの何かです。

観てて面白かったのはいかにも日本人的なコミュニケーションの取り方。
参加者が集まっていざ始めとなっても、誰がこの場の主導権を握るのか皆だんまり決め込んでるんですよ。
乱交パーティー。後腐れ無いセックスを求めて来てるはずなのに、この期に及んでまだ気を使い合ってるんですよ。

それを無音の長回しで見せる。
劇場も固唾を飲んで見守ります。

これが凄く面白い。
なんか、世界各国で『愛の渦』をリメイクしたら、きっとそれぞれの国民性が出て面白い気が。



最も面白かったのは、性行為を端から見るとこんなにも滑稽なのかってことですね。
そこまでにたどり着く駆け引き含めて、自分の中の性欲に突き動かされて、夢中で腰を振ってるってなんて無様なんだ。

『クラッシュ』公開の時のクローネンバーグのインタビューで、テクノロジーがどんなに進歩しても、人間は動物的な性欲にいつまでも支配されてるんだ。みたいな事を言ってた気がするんですけど、正にそうで。

今作はお説教じみたことは全く言ってないですけど、どんな肩書きのどんな人も、自分の中の動物的な欲にはどうしたって抗えないし、それが生きる力に繋がる訳ですけど、その中で性欲って一番恥ずかしいものじゃないですか、何故か。
言うのも、見られるのも。毛嫌いしてる人だっている。
でも、抗えない。どんな人だって。

で、それに動かされて色んな悲喜劇が起こる。
どんなに頭のいい人でも腰を振るんですよ。

何か、改めて考えると滑稽!
セックスって滑稽!!

何が言いたいかと申しますと、要するに人のセックスを笑うな。
こういうことです。


悲喜劇と言えば、今作で言うと好きになっちゃう問題ですね
愛の無いセックスを求めに来たのに、好きになっちゃった。

もう、ばかばかばか!!
トラジコメディ!!






ラスト、カーテンを開けて日光を浴びた時の気だるさも見事。
劇場自体も暗闇な訳ですから、あれはもう体感ですね。

そしてどっと疲れます。
どなたかも言及されてましたが、この体感具合はさながら『ゼロ・グラビティ』です。

そして、むきだしの欲がぶつかり合う。
これは『愛のむきだし』です。
ただ、愛は皆無で、ただのむきだしですが。



<あらすじ>
フリーター、女子大生、サラリーマン、OL、保育士など、ごく普通の人々が六本木のマンションの一室に集まり、毎夜繰り広げる乱交パーティに明け暮れる姿を通して、性欲やそれに伴う感情に振り回される人間の本質やせつなさを描き出していく。





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