『白ゆき姫殺人事件』
2014/日本 上映時間126分
監督:中村義洋
脚本:林民夫
製作総指揮:大門正
音楽:安川午朗
撮影:小林元
編集:川瀬功
原作:湊かなえ「白ゆき姫殺人事件」
キャスト:井上真央
綾野剛
蓮佛 美沙子
菜々緒
金子ノブアキ
69点
”ベストなタイミングで映画化”
湊かなえの原作を読んでから鑑賞。
全て登場人物の独白で進む、話があるようで無いこの原作をどう映像化するの?と読みながら誰もが考えるでしょうけど、なるほど、そこを変えると上手くいくのかと納得。
原作の雑誌記者の設定を、テレビディレクターに変更。
そうすれば映像化の意味もあるし、週刊誌と双璧を成す下世話メディアの代表お昼のワイドショー(ミ○ネ屋)なんて良いターゲットじゃないか。
原作だと巻末にただまとめられていたTwitterのタイムラインを画面で見せるのもいいんじゃない。
総じて映像化には成功してると思います。
原作以上に情報が整理されてるから、劇映画としても見やすい作りにもなっています。
ただ、その分原作のいびつさが取れて、普通の映画になっていたのが勿体ない。
この先ネタバレ全開です。ご注意!!!
原作含めて手法そのものはよくある”藪の中”方式で、一つの事柄を複数の視点から語っていって、次第に事の何かが浮かび上がってくるはずなんですけど、今作だと皆が語れば語る程事実が浮かび上がってこないんですよ。
これが下世話で面白い。
皆が好き勝手話す事件と直接は関係ない事で段々と”城野美姫”のイメージが出来上がってくるんですけど、映画だとその枝葉の部分が省かれちゃってるんですよねぇ。
個人的に原作で一番好きなポイントだったんでとても惜しい。
確かにあれを盛り込むとただただ間延びした映画になりかねないんで、削るのは正解だとは思うんですけどね。
あと、ラストのネタばらしの回想は蛇足です。
火をつけて、「・・・きれい」なんて台詞言わせちゃダメ。
あれじゃ彼女がサイコパスか何かにしか見えないから、見てるこっちは安心出来ちゃうんですよ。
動機は伏せておかないと。全てが腑に落ちたら魅力半減。
最後に、これは原作を読んでても思ったことなんですけど、犯人は城野美姫であって欲しかった。
読後の不快感だったらこれがベストだと思うんですよ。
実は一番最初にタレ込んだ奴が犯人ってのは確かにインパクトありますけど、どうしてもそこでまで。
城野美姫だったらどうです、不快感に徒労感ですよ。
なんだか気付いたら文句多めな上に体温低めの文章になってましたけど面白かったです、
うん。
うん。
特に、マスコミがSTAP細胞騒動でとある人を追っかけ、彼女のプライベートまであることないこと書き立ててる今。
この作品を観るにはベストなタイミングでは無いでしょうか。
<あらすじ>
日の出化粧品の美人社員・三木典子が何者かに惨殺される事件が起こり、典子と同期入社で地味な存在の女性・城野美姫に疑惑の目が向けられる。テレビのワイドショーは美姫の同僚や同級生、故郷の人々や家族を取材し、関係者たちの口からは美姫に関する驚くべき内容の証言が飛び交う。噂が噂を呼び、何が真実なのか多くの関係者たちは翻弄されていき……。
映画.comより
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