『クローズ EXPLODE』
2014/日本 上映時間129分
監督:豊田利晃
プロデューサー:山本又一郎
企画:濱名一哉
共同プロデューサー:佐谷秀美
岡田有正
キャスト:東出昌大
早乙女太一
勝地涼
KENZO
矢本悠馬
柳楽優弥 他
45点
”ヤンキーを普通の世界に置いてどうするよ”
三池崇が監督した前二作は割と好き。
観ている間は血が沸いて、拳を握ってみたりもしましたが、しばらく経つと変な映画だったなぁなんて思ったり。でもまた観たくなったり。
特に主演のヤンキー役者陣がみんな良いんですよ。
主演の小栗旬の頼りなさもいい具合にハマってるし、山田孝之のイッちゃってる目は間違いなく百獣の王、芹沢。
高岡蒼甫も良いし、桐谷健太も良い。
『2』の金子ノブアキ、ブレイク前の綾野剛もいい味出してた。
当時としては新しかった『300』を模したアクションシーンもそれなりに見応えあったし。
なんだか思い返すとかなり好きな方かも。
では、今回の新作はどうかと言いますと、個人的には全くダメです。
三池版と比べてどうのの話ではなくて、諸々が不細工で全くダメ。
本当に迷惑極まりない世界観。
前作前々作だと、我々のような”普通の人々”はきれいに取り除かれていて、存在するのはヤンキーと、その延長のヤクザのみ。
勝つか負けるか、やるかやられるか、白か黒か。
純度高めな漢(おとこ)達の、言わばファンタジーがあったんです。
個人的な解釈だと、あれは彼らヤンキー達の主観映像なんですよ。
彼らには世界がああ見えてるんです。
世界観が徹底されてるから、観ている我々もなんの疑いも無くお話に乗れる。
で、今作ですよ。
仕切り直しをするにあたって、前作の世界観を踏襲しろとは言いません。
ただね、あまりにも中途半端だよ。
オープニングの商店街だとそこら中ヤンキーで溢れ返ってて、町の人がいる気配なんて皆無。
でも、中盤から窓の奥から見える景色に映り込む人、人、人。
喫茶店でヤンキー揃ってミーティング中。その窓の奥に通行人。
かっ、かっこわるい画だこと。
想像してください。
怖い顔したお兄さんの話し合い。そのそとではサラリーマンがとことこ歩いてるんですよ。
所詮お前らはガキだってことを強調してるようなもんでしょ。
本当に間抜けな画。
そこから先はもう諦めたように、普通の人のいる真っ只中で喧嘩が始まったりするもんだから、もうどうしようもない。
ヤンキーを普通の世界においてどうするんだよ。
関係ない人たち巻き込んで本当に迷惑だよ。
巻き込まれる人達が気になって、観てる間のノイズになるんですよ。
その結果どう言う気持ちになるのか。
どうでもよくなるんです。
ヤンキーの喧嘩なんて心底どうでもよくなるんですよ。
そうなったらもう終わりですよ。
もう乗れないですもん。
とりあえず迷惑掛けてすみませんと謝れ。
脚本に向井康介さんが参加されてるからなのか、とにかく無駄に長い会話が多い。
それをワンシーンで見せる。
ヤンキーのだらだら長い真面目腐った会話なんて誰が聞きたい?
向井さんは大好きな脚本家さんです。
特に山下監督と組んで書かれた作品全て好きと言っても良いぐらいどれも大好きです。
ただ、正直今回の題材とは相性悪いのではと思わざる得ない。
向井さんの持ち味は、オフビートは会話から生まれる笑いな訳で、今回の世界観とは食い合わせが悪いですよ。
とは言え、好きなところもありますよ。
勝地涼率いる弱小グループと、それに加わる東出昌大のキャッキャ感は見ていて凄く良かったです。
前シリーズに比べて明らかに劣ってしまう役者陣の中でこの二人は特に良かった。
気の良いチャラいキャラをやらせたらピカイチですね、勝地涼。本当に安心できる。
賛否分かれてるらしいですが、東出くんも凄く良かったですよ。
『桐島』の宏樹よろしく、あの虚無に取り付かれた目に底知れない強さがしっかりありました。
彼らの銭湯でのシーンは本当に大好きです。
あれは良かった!!
早乙女太一も現実のDV疑惑をここで活かせるなんてねぇ。
粋がった一年坊主キャラで、ちゃんとこっちをムカつかせにきてたんで好感持てましたよ。
彼の動きで強さに説得力もあるし。
ただ、その彼らのクライマックスの戦いがあまりにショボ過ぎる。
まず構図が三年vs.一年って盛り上がるかぁ!!!!!!!!
大ボスが早乙女太一なのは分かるし、バイクチームが加わってるとはいえ、それ以外は所詮一年のザコなんだからフェアじゃないだろ。
最後の二人のタイマンでお互いの回想に入るのも不細工だよ。
最後の放火の件の着地も噴飯物。
結果、『桐島』のスピンオフとしてみたらギリ面白いんじゃない。
このくらいのテンションです。
漢の映画でこのテンションはいかんぜ。
<あらすじ>
空席になった鈴蘭高校の頂点の座を目指し、トップに最も近いと言われる男・強羅徹、強羅のライバルとされる高木哲次、お調子者を装う切れ者・小岐須健一、一匹狼の山下甲兵ら新3年生が名乗りをあげる。しかし、3年の転入生・鏑木旋風雄と新1年生・加賀美遼平が現れたことから、校内の勢力図が大きく塗り替えられていく。
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