『Sabotage』
2014/米 上映時間109分 R15+
監督:デヴィット・エアー
脚本:スキップ・ウッズ
デヴィット・エアー
製作:ビル・ブロック
デヴィット・エアー 他
製作総指揮:ジョー・ロス 他
音楽:デヴィット・サーディ
撮影:ブルース・マクリーリー
原作:アガサ・クリスティ「そして誰もいなくなった」
キャスト:アーノルド・シュワルツェネッガー
サム・ワーシントン
オリヴィア・ウィリアムズ 他
40点
”奇妙奇天烈どうしてこうなった”
奇妙奇天烈…!!
何たる奇妙な作品であるか。
所々にデヴィット・エアー節を感じつつ、映画全体とにかく歪。
ディテールを取り出せば好きな箇所もある。
ただ決して褒められた出来じゃない。
デヴィット・エアー、どうしてこうなった。
ネタバレ全開なのでご注意ください
悪趣味極まりないゴア描写はさすが素晴らしいです。
ここまでやる必要あるか?と思う位に丁寧に登場する死体達。
水を吸ってプニプニした水死体、冷蔵庫を開けたら血がドバー等々、どれもこれも見ていてゾクゾクします。素晴らしいです。
ただ、とにもかくにも脚本。そしてその構成と語り口。
すべてがちぐはぐで歪。何なんだこのおかしなバランスは。
仲間が一人一人消されて行くサスペンス。
その合間に挟み込まれるアクション。
ことの発端になったある人物への復讐。
この三つがかなり強引に一つの容器に詰め込まれてます。
いや、もう収まりきらずに溢れ出していて、「復讐」に至っては完全にはみ出している状態。
この珍味っぷりを楽しめる心の余裕があればいいのですが、私はどうにも頂けない。
仲間が一人一人消されて行くサスペンス。
その発端となったのが、冒頭の突入任務でターゲットの金を一部くすねたから。
それがきっかけになって組織に狙われることになって仲間が消されて行くんですけど、この時点でお前等自業自得だろと思わずにはいられず。
そして最終的に明らかになったのは、実は全て仲間内での揉め事でした、と言うこと。
内輪揉めかい。心底どうでもいいよ。
もう勝手にせい。
黒幕がシュワちゃんだったことが更に飽きれる。
こうなると遡って色々なシーン、台詞が気になってくる。
ミスリードさせる為とはいえ、本気の調子で「許せない…!!」なんて言うか?
皆で集まった時なぜ彼女はあのタイミングで不倫を暴露したの?
と疑問は尽きないのですが、なんとこの作品の大枠の部分がアガサ・クリスティーの「そして誰もいなくなった」を元にしていると知ってほんの少し納得、出来るか!!
ドラマを生む為の仕掛けが強引過ぎるよ!!
手持ちカメラでぐらぐら揺れる割に細かくカットが割られて、視点もあちこち飛ぶ映像にも映画冒頭から違和感。
モキュメンタリーは許せても、モキュメンタリー”風”はどうにも好かない。
サスペンスを描く為に視点を絞れないとは言え、もっと適切な語り口があったはず。
突入する先の部屋を映すカメラもグラグラ揺れてるってどういうことですか。
臨場感を生むただの演出なんだろうけど、緊迫感を削いでる上に安っぽくて敵わない。
個人的に脚本以上にこの撮り方が駄目でした。
POV、モキュメンタリーは徹底されてるから良いんです。
モキュメンタリー風はただただ画が安い。
映画としての嘘がバレるだけ。
『エンド・オブ・ウォッチ』が如何に苦労して撮られていたのか実感しました。
先に挙げたゴア描写同様、妻の殺され方と復讐のとどめの刺し方が同じだったり、そこをしっかり描写として隠さずに見せているからただの露悪的な場面で終わっていない等、気の利いた演出もあるんです。
復讐心を忘れない為に定期的にスナッフビデオを酒あおりながら観てる、彼の中でもうそれすら日常になってる感じも凄く良いです。
”そして誰もいなくなった”ラストも好きです。
復讐を終えて血に染まったシュワちゃんの手のカットも良い。
ただ、その復讐と本編が完全に別の話になってるのは単純に上手くない。
全体通すとやっぱり歪。
<あらすじ>
DEA(麻薬取締局)特殊部隊を率いる捜査官ジョン・ウォートンは、8人の部下とともに必要とあらば容赦なく銃を撃ち放ち、破壊行為(サボタージュ)もいとわない屈強な男。ある麻薬組織のアジトに突入したジョンは、そこに残された大金を手にするが、そのことがきっかけでチームは謎の猟奇連続殺人の標的となってしまう。部下が1人また1人と消されていき、ジョンへの恨みを抱く麻薬組織の仕業か、チーム内の誰かによる裏切りなのか、メンバー間にも疑心暗鬼が募っていき、連続殺人はさらなる異常な展開を見せていく。
映画.comより
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