『ドラえもん のび太の宇宙英雄記』
2015/日本 上映時間101分
監督:大杉宣弘
脚本:清水東
キャラクターデザイン:丸山宏一
美術監督:皆谷透
編集:小島俊彦
音楽:沢田完
キャスト:水田わさび
大原めぐみ
かかずゆみ
木村昴
関智一 他
60点
”マネはいいけどちゃんとやろう”
今年自分に課してる自分ルールで鑑賞。
観てみたらこれが諸に『ギャラクシー・クエスト』で『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』で驚いた。
その意味では楽しめました。が、やるならちゃんとやろう。
映画序盤、ドラえもんの秘密道具で憧れのヒーロー映画を自主制作していた5人。
その様子を本物のヒーローと勘違いし、故郷の星の危機を救って欲しいと頼み込む地球に不時着していた宇宙人。すると、まだ映画の撮影が続いてると思っている5人は、彼の頼みを聞き入れてヒーローとして宇宙へ向かうことに…。
ってこれ『トロピック・サンダー』じゃないか…!!
『ギャラクシー・クエスト』じゃないか!!!
おまけに劇中『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』な展開もあります。
間違いなく今作の作り手は、上記の作品達をパク…オマージュして今作を作ったのでしょう。そもそもの企画の成り立ちも、今のアメコミ映画の勢いを借りてのことだと思います。
その意味では楽しめました。
ただ、やるならちゃんとやろうって話で。
言ってしまうならば、なぜ『トロピック・サンダー』と『ギャラクシー・クエスト』と『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』をミックスさせてこんな中途半端な作品になったのか…!!と言うこと。
この手の作品で一番重要な場面。
それは、主人公達が市井の人々を守る為、遂に奮起すること。
今作だとその重要なシーンで諸に『ガーディアンズ・オブギャラクシー』なことをやってるんですが、それはそれで確かに楽しいです。スネオがロケット的な立ち位置だったのもクスりと笑ってしまいました。
ですが、なぜこんなに燃えてこないのか。
それは、そこに至るまでの主人公達への追い込みが足りず、作り手がドラえもん達を突き放しきれていないから。
状況を説明すると、ある星にとある友好的な謎の企業の使者がやってきて、レジャー施設を建設しようと言い出し、住民はこれに賛成。しかし、この謎の使者達が実は宇宙海賊の幹部で、この星に眠る資源が狙いだった!ということに一人気付いてしまった警察官が、ドラえもん達に助けを求めると言うもの。
住民達に使者が実は悪者だと言ったところで、皆聞く耳をもたないのです。
どうしたって盛り上がるこの状況。
ただ今作はこの”狼少年”的な状況の追い込みがあまりに足らない。
警察官が真実を叫んでも、皆凄く優しいんですよ。
子供達に至っては彼を心配している始末。
これで盛り上がるのか!?
否、断じて否。
石を投げさせなさいよ。
笑い者にさせなさいよ。
ベストなバランスは「ONE PIECE」でのウソップとクラハドールの回。
皆の為を思って叫んでも、誰も聞く耳を持たない。
この場を乱す邪魔者扱いまでして、石を投げ、箒で叩き、罵声を浴びせる。
その様子を透明マント越しに見ているドラえもん達。
我慢ならぬとマントから飛び出そうとするのび太を、他の星の文化水準に関わることをしてはいけない決まり(『スター・トレック』オマージュ)だと制止するドラえもん。
拳を握りしめるのび太。
そしてシーン変わって『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』炸裂ですよ。
のび太「確かに勝ち目は無い。でもこの状況を救えるのは俺たちしかいない。
俺たちはいつだって逃げて来た。多くの物を無くした。故郷、家族…。
だが今日は俺たちにチャンスをくれた」
ジャイアン「どんな…?」
のび太「人助けさ。この星の人々を見殺しには出来ない。俺たちにしか出来ないんだ。やるしかないだろ…!!」
顔を見合わせ、頷き、立ち上がる4人。
スネ夫に注がれる視線。
スネ夫「しょうがないな。ママのケーキを食べるのはお預けだ」
どうですかこれ。
なんだか身体に力が漲るじゃないですか。
極めつけに戦いの様子を住民達に見せて、長老的な人物が「間違っていたのは、私達の方だった…。何てこと彼にしてしまったんだ」と言わせれば完璧。
お話をもっと直線構造にして、敵キャラのドジなギャグは全てカット。敵をちゃんと強くして、中盤でドラえもん達を突き放す。そして、ラストにちゃんとスカッとカタルシス溢れる展開を置く。
するとストレートに燃える物語になるし、101分と比較的長い上映時間ももっと短くなるはず。
とは言え、前述の通りパク…オマージュ元の映画がどれも好きなので、それなりには楽しめたのも事実。
ただ、本気で作らないと、本気でキッズは喜びません。
この程度の志でヒーロー映画を作られてもキッズの反応は正直ですし、失笑で終わるのが関の山。
本当に真面目にやってください。
<あらすじ>
テレビのヒーローに憧れ、みんなでヒーロー映画を作ろうと言い出したのび太。ドラえもんのひみつ道具「バーガー監督」を使い、「銀河防衛隊」というヒーローになって宇宙の平和を守るという筋書きの映画を撮り始める。ところが、地球に不時着していたポックル星人のアロンに本物のヒーローと間違われてしまい、一緒に宇宙に行くことに。ポックル星にたどり着いたのび太たちは、宇宙海賊が企む恐ろしい計画を知り、本物のヒーローになって戦うことになる。
映画.comより
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