『Into The Woods』
2014/米 上映時間125分
監督:ロブ・マーシャル
脚本:ジェームズ・ラバイン
製作:ジョン・デルーカ
ロブ・マーシャル 他
音楽:スティーヴン・ソンドハイム
撮影:ディオン・ビーブ
編集:ワイアット・スミス
キャスト:メリル・ストリープ
エミリー・ブラント
アナ・ケンドリック
クリス・パイン 他
50点
”その志は高し”
最寄りのTOHOで封切り日に鑑賞。
メインスクリーンでの上映、ほぼ満席。
言わばディズニーオールスター興行、その分かりやすいポップさに集まったのでしょう、客層はまんべんなく、少しカップルが多いような雰囲気。皆楽しそう。
そんな雰囲気が、終わる頃には皆苦笑い。
皆の心の声を代弁するならばこう言ったところでしょう。
「思ってたのと違う」
帰りの電車でカップルがこう話してました。
「なんか暗い終りだったね」
心中お察しします。
今作のテーマはずばり”物語論”
その誕生から物語を伝えることに情熱を燃やしているディズニーが今作に挑んだその志は間違いなく素晴らしいことだと思います。
ただ、出来上がったものはその志とは別に、ただただ下手、無惨、残念…。
ただ何度でも強調したい。
この作品に挑戦したその志は大変に素晴らしい…!!
そもそも今までディズニーが語って来たような童話って、本当にいい話なのか。
綺麗に語られているけども、一枚皮をめくれば、それぞれがそれぞれのエゴにまみれているようなお話ではないのか。
でも、そこも含めて全てを語り、物語を紡いでいく。
確かに欲望はむき出し。それぞれがエゴにまみれて、選択も利己的。
その結果最悪の結末を迎えても、それも含めて物語として語り継いでいく。
それが物語の力ではないのか。
言ってしまえば”教訓”だといった文脈に回収されてしまうけど、それを物語として語る、そのことに意味があるんじゃいのか。
今まで作って来た作品達を底からひっくり返しかねないこの作品をディズニー自らが手掛ける。
映画そのものよりもこの部分にまず拍手。
大変に素晴らしい。
が、出来上がった映画は、無惨。
特に後半部。
映画全体は大まかに分けて二部構成になっていまして、前半部でパン屋の夫妻を軸にそれぞれの物語を語り、一旦のハッピーエンドで後半へ。
この後半こそが今作の肝。
つまり、前半部でのそれぞれの選択がどんな結果を生むのかを描くパート。
この肝が駄目なんだから今作は駄目。
元々要素が多いこの作品で、後半部で一気に語りは崩壊。
一番気になったのはパン屋夫妻と王子の密会の件。
正しく無いと分かっていながら惹かれてしまいもすると言う、欲を描くとしてシーン自体の存在は良いんです。
問題はその処理の仕方。
劇中で彼女は直後に崖から落ちて死んでしまう訳ですが、あのテンポで見せられたらもはやコントだし、もっと問題なのは、彼女の死がその後あまりに扱いが軽過ぎること。
今作でのこの軽く見える死の扱い方はテーマに対してあまりに不誠実。
そんなことしてるのに、ラストのナレーションでテーマを説明しているもんだから、そこに説教臭さすら感じてしまって、正直観た直後はかなり不快さすら感じました。
ただ思い返すと、ラストで語り始める物語が、映画全体のナレーションだったことに気付けば、全編がビターな味わいになっているなぁとも思います。
ただやっぱり後半ですよ。
何度でも言います。
志は良いんです。ただ手に余ってるのがはっきり分かる。
もし成功に終わっていたら、傑作にだってなりえたと思います。
そのくらいの企画だったのに、勿体ない…。
<あらすじ>
魔女にかけられた呪いのせいで子どもに恵まれなかったパン屋の夫婦は、子どもを授かりたければ「赤いずきん」「黄色い髪」「白い牛」「黄金の靴」の4つのアイテムを森から持ち帰れと魔女に命じられ、森へ向かう。時を同じくして、赤ずきんやラプンツェル、ジャック、シンデレラたちもそれぞれの願いをかなえるために森へとやってくるが……。
映画.comより
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