『テラスハウス クロージング・ドア』
2015/日本 上映時間128分
監督:前田真人
プロデューサー:太田大
松本彩夏
テーマ曲:テイラー・スウィフト
キャスト:菅谷哲也
小田部仁
吉野圭祐
島袋聖南
松川祐依子
和泉真弥
0点
”彼等は映画のプロではないが、バラエティのプロではある”
何故観に行ったのかはこちらに詳しく記してあるので、よろしければご参照下さい。
日本中の映画ファンから失笑と溜め息が漏れた人気バラエティ番組の映画化。
自分で言い出したんだ。それでも観に行くしか無い。
今劇場ではイーストウッドの新作『アメリカン・スナイパー』に、山下監督の新作『味園ユニバース』が掛かってるんですよ。
何でこんな…と言った所で自分で言い出したんだ自業自得。
初めから貶すつもりで観に行ったつもりは毛頭ございません。
映画監督の松江哲明さん、評論家のモルモット吉田さんなんかの好意的な声を聞いていたりして、観る直前になって少し気持ちが上向いていたりもしました。
で、観た結果、悔しいかな割と楽しめてしまった。
悔しいかな楽しめてしまった…。
これは自分の、人の恋愛を覗き見る俗っぽい興味が故。
ちくしょう…未だに中学生みたいな安い気持ちが自分の中に残っていた何て…。
そのことが悔しい…。
ただ、観る前から薄々気付いてはいましたが、これはやっぱり映画ではない。デカいテレビを皆で見ているようなもの。
今作で最もテレビっぽさを感じたのは、合間に入ってくるスタジオの芸能人達の風景は勿論ですが、編集のテンポと切り取り方。
今誰が誰を好きで、何をしようとしているのか。
つまり、好意の矢印の方向が分かる最低限の映像をテンポ良く繋げている感じ。
このおかげで退屈することはなく観ることは出来ました。が、これは間違いなくバラエティ的な編集テンポ。お茶の間で片手間でも見られるような編集。
カメラの目の前で起こる気持ちの移り変わりみたいなドキュメント的な要素は基本カット。
恋愛の泥臭さみたいなものは綺麗に排除されていれ、この辺りがこの番組にまとわりつく胡散臭さの一つなのかなと思ったり。
この作りで明らかなのは、この作り手達に今作を映画にしよう等と言う工夫は一切見られないと言うこと。と同時に、この作り手達、頑に今までのフォーマットを守っている訳ですから、映画のプロでは一切ないが、バラエティのプロではあると言うこと。
では何故バラエティ番組をわざわざ劇場で掛けるのか。
それは至ってシンプルな理由でしょう。
入場料金目当てなんでしょうよ。
この拝金主義のテレビ屋共が。
今作を観に来るファンの気持ちは理解出来るのです。
私だって、好きな作品の何やらが出たら例えそれが高かろうが観るし買うし聴くし読むし。そのファン心理はとてもよく理解出来る。
それだけに金目当てで劇場版を作るそのひん曲がった志の低さに反吐が出る。
だってこんなもの、実際テレビの特番で十分なものじゃないですか。
それを高い入場料を取って劇場で観させてる訳ですから、誰の得なんだと。テレビ屋の得なんだろうと。
ここには純粋に、映画館が映画ファンの手を離れていってしまうような寂しさもあります。
この作品が掛かる裏で番組表から漏れた作品もある訳ですから。
ただ卑屈になってもしょうがないので、こうポシティブに考えてみましょう。
この作品が興収1位になったということは、それだけの数の人の足が劇場に向いたということ。
中には劇場になんて年に一回行くか行かないかの方々も多いことでしょう。
そんな人が劇場に来た。これは素晴らしいこと。そしてチャンスでもあります。
劇場へ来た彼、彼女達を再び劇場へ来させる。
これが何よりも重要。
これだけの大きなパイが動いた訳ですから、これを逃す手はない。
そこで考えました。
彼、彼女達を再び劇場へ向かわす魔法の言葉はないものか。
そしたらあったんですよ。魔法の言葉。
それは、「LiLiCoも良いって言ってたよ。ブランチで」
これです。
よく分かりませんが、巷のLiLiCoへの信頼感は半端無いと聞きます。
ある映画をオススメして、ダメ押しでこれ。
いいと思います。これで行きましょう。
ただ、100人にやって実際に観に行ってくれるのはせいぜい1〜2人でしょう。
ただ、やらないよりはマシだ。
そもそもの話ですが、企画としてまず苦笑。
観に行ってその思いを更に深める。
この作品を観に行くことがもうネタなようなものじゃないですか。
それにこんなに真面目になってしまったりして、恥ずかしい気持ちも少しあるんですけど、ダメなものはやっぱりダメ。
楽しめてしまったのは自分の下衆な興味故。これは映画とは呼べない。
この先どんな酷い映画を観ようと、それと同じ土俵で語る気はありません。
だって映画ではないから。
<あらすじ>
海が見えるシェアハウスに暮らす男女の日々を追い、2012~14年にフジテレビ系列で放送されて人気を博したリアリティ番組「テラスハウス」を映画化。番組開始時から2年間、テラスハウスに暮らし続けた菅谷哲也が扉を開き、家を出ていこうとするところで終わったテレビ最終回の直後から始まり、菅谷と新たな住人たち、そしてテラスハウスを巣立っていったメンバーたちのテレビ放送終了後の姿を描く。
映画.comより
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