2013/アメリカ 上映時間94分 R15+
監督・脚本:ハーマニー・コリン
製作:チャールズ=マリー・アントニオーズ
ジョーダン・ガートナー
クリス・ハンレイデ
デヴィッド・ザンダー
キャスト:セレーナ・ゴメス (フェイス)
ヴァネッサ・ハジェンズ (キャンディ)
アシュレイ・ベンソン (ブリット)
レイチェル・コリン (コティ)
ジェームズ・フランコ (エイリアン)
”永遠なれ、ビッチども”
どうですかこの不謹慎極まりないポスターは。ビキニに拳銃ですよ、けしからん。
この不謹慎ポスターからまともなお話は想像出来ないですよね。
実際、そりゃもう話はぶっ飛んでます。春休みに遊びたいけどお金が無いから強盗しちゃおう、そして”永遠の春休みを”って話ですよ。
ただ、話はぶっ飛んでいても、この映画語り口はもの凄く真面目なんです。
スプリングブレイク参考画像
まずスプリングブレイクの説明をすると、日本の春休みと基本は同じ、なんですが、学生達のやることが日本のそれとは全く違うんですよ。学生達は学期が終わると湖だとか海に集まって、数日間どんちゃん騒ぎをしまくるっていう、アメリカにおける若者文化の一つなんですね。
あまりに馬鹿騒ぎしまくるもんだから、よく映画等でピラニア、殺人鬼達の殺戮の対象になっちゃいます。そんな映画も例に漏れずオバカ映画ばかりです。
この映画の冒頭、そんなスプリングブレイクのシーンから始まります。ただただ目の前のどんちゃん騒ぎに呆気にとられて、正直面食らっちゃいましたよ。まさに乱痴気騒ぎ。
でも、シーン全体がスローで流れていて、誰かの心象風景のようで、どこか超現実的なんですね。しかもバックではずっと不穏な音楽が流れているんです。
そしたらシーンがぶつっと切れてブラックアウト、主人公4人が受けている大学の授業シーンに変わるんです。
つまり冒頭のスプリングブレイクシーンは、4人にとっての憧れ、願望を表していて、また不穏な音楽によって、この先の彼女達の行く先を暗示しているわけです。
馬鹿映画だと思って観に行きましたけど、この語り口の鮮やかさにやられちゃいましたよ。
お腹冷えるから何か着なさい!!
スプリングブレイクに行きたい願望はあっても、お金が無くて行けないブレイカーズ達。
じゃあ強盗だ!と、さっそく犯行に取り掛かり、あっさり成功ブレイカーズ。念願のお祭り騒ぎ、楽しく踊るブレイカーズ。夜中も騒ぐ、ブレイカーズ。もう、けしからんぞ。
ある夜、コティ(レイチェル・コリン ちなみに監督の奥さん)が男に迫られるんだけども、笑ってその場をやり過ごすシーンがあるですが、遊んでいそうに見えるけど最低限の貞操はわきまえていてちょっと臆病、というキャラの掘り下げ方、鮮やかです。
ジェームズ・フランコですよこの人
青春を謳歌するブレイカーズ達4人。しかし、調子に乗ってたら薬物接種で逮捕されちゃうんです。でも何故か保釈されるブレイカーズ。いったい誰が保釈金を払ったのかというと、お待たせいたしました、ジェームズ・フランコ登場です。
ジェームズ・フランコ演じるエイリアンと名乗るこの男、地域一帯を支配しているギャングのボスで、なぜか捕まったブレイカーズ達に目を掛けて家に招待するんです。
なぜなのかは最後まで語られません。なぜだったんだ。
しかし、その怪しさにいち早く気付いた最年少のフェイス(セレーナ・ゴメス ジャスティン・ビーバーの元恋人)が怖いと泣き出してしまい、この旅から一人離脱します。
思わぬ場所に紛れ込んでしまって怯えてしまうあの感覚、凄いリアルでした。
相手のシマ、荒し回ります
普通であれば、残ったブレイカーズ達が闇社会に触れ、ギャング同士の過激な抗争に巻き込まれていく、みたいな話を想像するじゃないですか。しかし、その逆なんです。ブレイカーズ達がジェームズ・フランコをけしかけて、相手ギャングと戦わせるんですよ。ぶっ飛んでるでしょ、もう。
もちろん相手ギャングもだまっちゃいませんよ。フランコとブレイカーズ達がドライブしている所を奇襲、ブレイカーズ一人負傷、これ以上は身の危険が、とここでコティが離脱します。
クライマックス、残った2人のブレイカーズとフランコで、遂に相手アジトへと乗り込むんですが、早々にフランコが撃たれ、ブレイカーズ達だけで突入、あっさり敵のボスを倒します。
ブレイカーズは、フランコ、敵のボス、全てを倒して、遂に楽園を手にし、颯爽とオープンカーで走るところで映画は終わります。彼女達が、望んでいた”永遠の春休み”を手に入れた瞬間です。
しかし、流れている音楽は、どこか不穏なんです。それは本当に”永遠”なのか。
こんなお話が全編、スローモーションや細かな時系列操作、合間にビデオで撮ったスプリングブレイクシーンなどを挟み込みながら、幻想的に語られていき、ものすごくクラクラします。ところどころ『ドライヴ』を思わせるようなシーンもありました。
もの凄く好き嫌いが分かれる映画なのは間違いないです。
TOHOシネマズ六本木で観ていたんですが、映画の途中で退席するおじさまが1人いらっしゃいました。
諸手を上げて傑作、とまでは言わないですけど、十分楽しめましたよ。
欲を言えば暑くなりだした今の時期に観たかった。
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