『滝を見にいく』
2014/日本 上映時間88分
監督・脚本:沖田修一
製作:井田寛
前田直典 他
企画:深田誠剛
プロデューサー:春藤忠温
小野仁史 他
撮影:芦澤明子
キャスト:根岸純子
安澤千草
萩野百合子
桐原三枝 他
80点
”40越えたら皆同い年”
去年の年間ベストに『横道世之介』を挙げた自分。
その沖田監督の新作とあらばと喜び勇んで新宿武蔵野館(都内この一館のみ)へ向かい鑑賞。
山で遭難した7人のおばちゃんのコメディ。
有名俳優皆無、全編山。
一体制作費は『インターステラー』の何万分の何なんだ!?
でも負けてないぞ!!
沖田監督のオフビートな作風が、おばちゃん達が醸し出すバイブスにまぁ合うこと合うこと。
変に笑いを意識しなくても、おばちゃん達の何気ない会話がそのまま掛け合いになってる面白さ。沖田作品に共通してる、会話の間から生まれる笑いがこの作品だとドンピシャ。
「飲む?」「中身は?」「ほうじ茶」「ナーイス」
食い気味の「ナーイス」で笑いに包まれる劇場内。
ひと際大きな声で、実感こもった様に笑う劇中のキャストと同年代のおばちゃん達。
この4DX加減も中々味わい深い。
さっきからおばちゃんおばちゃんと連呼してますが、とにかくこの純度高めのおばちゃん達の連帯感がなんとも頼もしいのです。
7人それぞれのキャラの描き込みも、冒頭のバス車内での何気ない行動でさりげなくもしっかり示す。巧い。
普段の生活では相容れないようなそれぞれも、遭難した山の中、食料を分け合い、腹の内を見せ合い、思い出話に花を咲かせ、シートに包まり就寝、の前に熱唱。
ある人物の夢のシーン。
趣味のバードウォッチングをしていると、謎の男が近づき話しかけてくる。
どうやら死別した夫らしい。妙に年齢が若いのは、亡くなった頃のままの姿なのか、一番幸福な記憶の中の夫の姿なのか。
足早に去って行き、行かないでと涙ぐむ。
でも、起こされ目を覚ましたならば、目の前におばちゃん6人の覗き込む顔に、頼もしくかけられる「帰るよ」との声。
この友情いい!!
平均年齢高めの『サニー 永遠の仲間達』のようなこの友情いい!!
確かに、滝に直行して温泉に入っていても良い旅行になったでしょう。
でも、遭難して、寄り道して、連帯し友情を育んでから見た滝は、謎の充実感と満足感に満ちていたことでしょう。
寄り道って、いいよね…!!
沖田監督地力恐るべし。
『インターステラー』の何万分の一の制作費でも、負けない位面白い映画は撮れるんだ!!
<あらすじ>
幻の滝を見に行くツアーに参加した7人のおばちゃんたち。写真を撮ったりおしゃべりに花を咲かせたり、それぞれの楽しみ方で紅葉のひろがる山道を進んでいくが、ガイドの男性が先を見に行ったきり戻ってこなくなってしまう。携帯の電波も届かない山中に取り残されたおばちゃんたちは、食料も寝床もないサバイバル生活を送るハメになり……。
映画.comより
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