鎌倉に行ってきた。
お目当てはもちろん『海街diary』の風景を生で感じること。
あと生しらす丼。
天気は雨。
まあまあ、映画でも印象的な雨のシーンはあったし、雨の鎌倉なんて情緒があっていい。
横須賀線から雨の車窓を眺め、「すずちゃんの鎌倉さんぽ」でこれから行く場所に目星をつけてながら、一時間程で鎌倉に到着。
平日だし、雨だし、そんなに人なんかいないだろうと思っていたら、鎌倉駅には既に沢山の人。海外からの人も多くいる。『海街diary』のポスターも至る所に貼ってあって、立派な観光地だ。
作品から勝手に日常の鎌倉を身近に感じていた身としては、少し悲しい。
江ノ電に乗り、極楽寺駅で下車。
作品で幸田家の最寄り駅になっているところ。
恐らく同じ目的で来ているのであろう、いいカメラで駅の写真を撮っていた方と目が合い、笑顔で会釈。
極楽寺でお賽銭を投げ、すずが雨宿りをしていた赤い屋根の導地蔵を通って成就院へ。
そこから坂を下り、道中で釜揚げしらすを買いながら、海へと出る。
この海が大しけ。
しかも海沿いは『海街diary』というより、どちらかと言えばテラスハウスなサーファー感に溢れていて、どこかよそ行きな雰囲気。
さっきまでいた極楽寺周辺には下校途中の小学生もいたりしてすごく雰囲気がよかっただけに、この海沿いにそこはかとなく漂う”オシャレ”な空気に疎外感を感じる。
なんだかなぁ、山沿いに行きたいなぁと思いつつ、大しけの海に悪戦苦闘しているサーファーを眺めながら生しらす丼をビールで流し込む。
鎌倉駅に戻り、佐助稲荷神社に行こうと住宅街の中を歩く。
途中、突然表れたカフェであんみつを食べて(この白玉が今まで食べた白玉のなかで一番もちもちしてた)、トンネルを抜けて、さらに歩く。結構歩く。
辺りは完全に住宅街。
すると、どこからかカレーの匂いが。
時間は六時過ぎ。夕飯の匂いだ。
この匂いが頭の中で自分の普段の生活と繋がる。
鎌倉駅の観光地加減と、海沿いのオシャレな雰囲気に勝手に切なくなったりしたけども、どんな場所にも生活はあるんだと、思いがけず『海街diary』を感じられたことに少し嬉しくなる。
そこからずんずん歩き、突如表れる鳥居。
薄暗い坂道を上っていくと(これがかなり怖い雰囲気)、表れた佐助稲荷神社。
上った先には別ルートが。これがかなりきつい。足を泥だらけにしながらなんとか下山。
その道中、偶然通りかかった銭洗弁財天でお金を洗い、へとへとになりながら鎌倉駅へ。駅前で鎌倉カスターを買い、耐えきれず駅のホームで一つぱくつき、帰りの電車を待つ。
帰りの電車。
あのカレーの匂いを思い出しながら、また『海街diary』の日常を想像してニヤつく。
ならば、鎌倉から離れたことだし、自分も普段の日常に戻ろうと、その足でレイトショーで『アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン』の2回目を観てから帰りましたとさ。