2015年10月24日土曜日

バクマン。


バクマン。
2015/日本 上映時間120分
監督・脚本:大根仁
製作:市川南
撮影:宮本 亘
編集:大関泰幸
音楽:サカナクション
原作:「バクマン。」大場つぐみ
小畑健

キャスト:佐藤健
神木隆之介
小松菜奈 他

80点



”鮮やかな手際の良さ”



大作と小規模インディーズの二極化が激しい今の日本映画界において欠けているピースを考えると、その間を埋める、いわゆる”普通に面白い日本映画”だと常々考えいるのですが、『バクマン。』を観た今、大根監督がそこを埋めてくれるのかもと予感。

だって、普通に面白いどころか手堅くちょー面白いですもん。







原作からの再構成、手際のいい語り口、演出。
どれも手堅く巧い。

原作から一本の完結した映画への再構成として、ジャンプの”友情・努力・勝利”を映画の三幕構成に当てはめて語る全体の構成が見事。
原作に一応は登場していた主人公たちの両親を大胆に省いたことも、大根さん的な語り口として好印象です。

映画序盤。
まずジャンプが”いかにすげぇ漫画雑誌か”を主人公二人のナレーションで説明。
ここで、お話全体の大枠、つまり、二人が戦うべき”すげぇ舞台”を観客に対して提示し、物語のレールを敷きます。
この、二人が戦う場所、越えるべき壁、物語のゴールを手際よく説明する冒頭の数分で既に親指立ってました。
ここら辺が手堅い当たり。

全体の語りのテンポも良いし、特筆すべきは中盤におけるそのものずばりの漫画バトルシーン。
「”努力”の描写が弱い」との声を度々聞くのですが、これほど見事に映画的に描写されているではありませんか。
ここだけで実写化した価値があるってものんです。






キャストのはまり具合も素晴らしい。
発表当時は逆では??と思っていた主演二人もばっちり。
山田孝之は相変わらず素晴らしいので置いておくとして(ちなみに彼はこの後「北区赤羽」へ)、小松菜奈の正しい使い方には目を見張ります。
正直原作の亜豆の100倍魅力的です。

彼女の魅力が物語の推進力足り得てる。
そして、”亜城木夢叶”が出てこないなぁと思っていたら、そうくるか。
最後の一押しとしてベタに燃えました。
この改変嫌いじゃない。






確かに語りの良さによぅて原作が元々持つ歪さが際立ってしまっている箇所もあります。
ただ、ちょこちょこと帳尻合わせるよりも、全体のテンポを優先させたことは個人的には好みです。

Gペンの音の気持ちよさは映画でなきゃダメ。




<あらすじ>
高い画力に恵まれながらも夢を持たず普通の生活を送ってきた高校生の真城最高は、同じクラスの秀才・高木秋人から一緒に漫画家になろうと誘われる。プロの漫画家だった叔父を過労で亡くした過去を持つ最高は漫画を描くことを拒否するが、思いを寄せる声優志望のクラスメイト・亜豆美保と交わした約束をきっかけに漫画家を目指すことに。週刊少年ジャンプでの連載を目標に漫画づくりに励む最高と秋人は、敏腕編集者・服部に才能を認められ漫画家としての第一歩を踏み出す。しかし、そんな2人の前に同年代の天才漫画家・新妻エイジが現われる。
映画.comより





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