2013/日本 上映時間113分
監督:佐藤東弥
脚本:渡辺雄介
製作:門屋大輔
柏木豊 他
製作総指揮:城朋子
佐藤直樹
原作:タツノコプロ
キャスト:松坂桃李 (大鷲の健)
綾野剛 (コンドルのジョー)
濱田龍巨 (燕の堪平)
剛力彩芽 (白鳥のジュン)
鈴木亮平 (みみずくの竜)
15点
”これでいいのか日本のヒーローよ"
アメコミヒーロー映画がハリウッドで大ブーム。しかも日本の十八番、特撮魂リスペクトの『パシフィック・リム』なんて観てしまったら、JAPANのヒーローにも期待してしまうのが人情と言うものじゃないですか。
本当に期待して観に行ったんですよ。嘘じゃないです、本当です。
確かに前評判は高くは無かったですよ。岸谷五朗の髪型とヒゲは違和感しかありませんでしたよ。
でも、もし面白かったらみんなに自慢出来るじゃないですか。
そして、期待と不安の混じった気持ちで観て参りました。
結果から言いますと、うーん、大爆発!!!!
荒廃=スプレーの落書きってもうやめましょうよ。ダサいから
冒頭の、未知の敵とやらに地球が破壊される描写を、ナレーションと字幕で済ますブサイクな演出の時点でもう首を捻ってたんですが、まあまあこれからこれからと姿勢を正して。
だけど、これが全ての始まりでした。
オープニングタイトル後、荒廃した中野の街並が登場するんですけど、街には他国から逃げて来た外国人で溢れていて『日本以外全部沈没』のような状態。
セットを頑張って作ったんでしょうね、褒めてと言わんばかりに意味もなくいろんな所を映しまくる。ただ、真っ昼間なのでチープさが際立ってます。うーん残念。
そこに、街の屋台で何かを食べている松坂桃李登場。なんでしょう、『ブレードランナー』のオマージュのつもりでしょうか。
そこに敵が突然攻めて来て戦闘が始まるんですけど、いつの間にか街並が新宿に変わってるんですよ。目の錯覚?
ただ、この戦闘シーンは観ていられましたよ。VFXがこの映画のウリらしいですからね。
でも、力とお金が尽きたのでしょう。残念ながら戦闘シーン、冒頭とラストにしかないんですよ。じゃあ他に何があるのか。
それは、がたがたの脚本によるただただ陳腐なドラマです。
めっちゃビルあるし
お話がとにかくがたがた。そして演出がとにかく陳腐。
『ガッチャマン』はダークヒーロー路線で行く、みたいな話は聞いてましたけど、『ダークナイト』でやってた、敵が捕まったのは実は作戦の内展開をもろパクリしているのには本当にあきれました。
『007 スカイフォール』も『アベンジャーズ』もやってたからいいと思ったんでしょうか。
レベルが違うんだよレベルが。やるならちゃんとしてください。お願いしますよ本当。
そして本当に唐突に、何か戦う意味的なことを急に問いだすんですよ。
でも本当に急だから、事態の切迫感は全くないし、前半に割と楽しそうに戦ってたから、唐突に戦う意味を問われだしても頭のおかしい人達にしか見えないです。
そしたら今度は、鈴木亮平演じる”みみずくの竜”が、母親の身体が良くないから、除隊を考えてるみたいなことを突然言い出すんですよ。しかもその件はそれ以降触れられることはなく。
なんだか箇条書きみたいな脚本なんですよね。
台詞と台詞、シーンとシーンの繋がりがなくて、全てが点でしかないんですよ。すべてが事務的。これお話って言わないですよ。
敵のボスは元恋人
何が一番おかしいかって、中盤に明らかになるんですけど、敵のボスは、綾野剛演じる”コンドルのジョー”のかつての恋人だったと。しかも松坂桃李演じる”大鷲の健”も思いを寄せていて、三角関係であったと。
この3人の恋模様が物語の中心にあるんですよ。
もう邦画の病理ですよね。恋愛描写を入れれば若い女性が劇場に来ると思ってるんですもん。
元の原作にはこんな設定無いんですよ。今回の映画化での脚色ですよ。勘弁してくださいよ。
これだからテレビ局発の映画はダメだって言われるんですよ。
これを爆破するんです
三角関係の展開を入れちゃったもんだから、クライマックスは敵のボスを倒すか倒さないかで延々揉めるんですよ。しかもタイムリミットが6分しか無いって言っているのに。
倒した後も急ぐ様子は全く無く、延々なんか語り合ってるんです。何分経ってるの?
しかも戦闘の途中で、松坂桃李と綾野剛を除く3人はスクリーンから突然姿を消すわで、なんもなんとも言えない気持ちに。
クライマックスでこの体たらくですからあきれますよね。
スーツは良かったですよ
ここで強調しておきたいのは、役者さん達には全く罪は無いということです。
誰がやったって大火傷必須の企画なんですから。
というよりも、役者さん達の見せ場が全くないんですよ。
綾野剛は『クローズZERO2』で長い手足を活かして殺陣をやってたし、鈴木亮平は自慢の肉体があるし、剛力彩芽はダンスやってるんだから動けるはずだし。
なんでそれを活かさない。VFXがウリだかなんだか知らないですけど。
後、剛力さんがどうたらこうたら言ってるのをよく目にしますが、全くのお門違いじゃないですかね。むしろ、5人の中でアクションシーンは一番キビキビしてたと思います。
少なくとも、この映画の問題はその遥か以前かと。
『HK 変態仮面』を観よう!!
元々、三池崇監督に『科学忍者隊ガッチャマン』のオファーがあったんですけど、『ガッチャマン』を実写化するには、『ダークナイト』を撮る予算と技量が必要になると断ったのだと。そして、同じタケノコプロでも、『ヤッターマン』なら勝機はあると監督を引受けたのだそうです。
つまり、そういうことです。
でも安心してください。
『ガッチャマン』がだめでも、日本には『変態仮面』という素敵なヒーローがいるんです。
ということで皆さん、『HK 変態仮面』を観ましょう!!!!