2013/米 上映時間134分
監督:ポール・グリーングラス
脚本:ビリー・レイ
製作:スコット・ルーディン
マイケル・デ・ルカ 他
製作総指揮:エリ・ブッシュ
ケビン・スペイシー 他
原作:リチャード・フィリップス
ステファン・タルティ 『キャプテンの責務』
キャスト:トム・ハンクス (リチャード・フィリップス)
バーカッド・アブディ (ムセ)
バーカッド・アビディラマン (ビラル)
ファイサル・アメッド (ナジェ)
マハト・M・アリ (エルミ)
95点
”予告通りに、予告以上面白い”
大変面白かったです。
帰り道で「いやー、面白かった。いやー、面白かった」と割と大声で独り言をつぶやいていました。
そんな自分はさぞ気持ち悪かったことでしょう。
レイトショー終わりの深夜でしたし。
面白かったんだからしょうがない。いやー、面白かった。
『ゼロ・グラビティ』の陰に隠れて全くノーマークでしたけど、間違いなくオスカー候補の一つでしょう。
狙いに行ってる感ビンビンですね。
いやー、面白かった!!
お話なんてどうでもいいから乗り込んでくるなと思ってしまいました。 |
冒頭、トム・ハンクス側のカメラを比較的安定させ、ソマリアの海賊側をグリーングラス監督お得意の揺れる手持ちカメラにして、ふたつが交わるにつれてカメラの揺れ方も交わりだす構成が実に見事。
オープニングから徐々に増して行く緊張感に一気に映画に引き込まれます。
さっきまで暢気にコーヒー飲んでたのに、一気に状況が一変するあの感覚に凄まじく興奮。
船を占拠されてからのフィリップス(トム・ハンクス)と海賊との駆け引きも息を呑む程にリアル。
特にソマリア人海賊の演技は凄まじいものがありました。
トム・ハンクスと完璧に演技でやり合ってます。
オーディションで選ばれた素人さんとのことですがあっぱれですよ。
演技が見事過ぎて、本当に何をしだすか分からないんですよ、アイツら。
船が故障したとフィリップが嘘を付くと、じゃあ俺が直すと手当り次第にボタンをいじりだすし、一人気性の荒い奴いるし。
めちゃくちゃ緊張して、トム・ハンクスよろしく自分の脇汗も凄かったです。
救命艇に移ってからは舞台と人物が限定されて、人間ドラマとして実に濃密。
前半で海賊側のエピソードも描かれてるからお話としてフェアでどちらの視点にも立てる。
彼らは彼らなりの理由があって、こんな卑劣な行為を行ってるんです。
彼らは元漁師で、海賊行為をやらざるおえない状況がしっかり描かれているところに好感を覚えます。
キャラクターの人物配置も整理されていて、しっかり描き込みがされているので、舞台は狭い救命艇の中だけなのに、4人とトム・ハンクスとのやりとりで映画が止まらない。
緊張感は一瞬も途切れません。
手に汗握るってこう言うこと。
脇汗パラダイス。
後半の救出作戦になっても、普通だったら家族なりの外部のエピソードを挟み込む所、船長フィリップス、ソマリア人海賊、救出する海軍の当事者達のみに視点が絞られてるからエモーションが全く途切れない。映画を通して舞台はほぼ海上。
人間ドラマとして実に純度が高いです。
海軍全面協力の圧倒的説得力 |
海軍全面協力で、救出に来る船も部隊も全て本物。
それが圧倒的な迫力と説得力で、ここだけで100点満点です。
ただただ、ここも事実に基づいてるのか、救出作戦が思うようにいかない。
それが増々緊張を高める。
とうとう体力と忍耐に限界が来たトム・ハンクスが家族への想いを叫ぶんですけど、その叫びが真に迫るものがあって思わず涙してしまいました。
トム・ハンクスお馴染みの叫び演技にはずるいものがあります。
全てが終わったラストはもう素晴らしいとしか言いようが無い絶妙なバランス感覚。
安易な美談に終わらせず、大仰な演出無しで事実を淡々と伝える語り口はとても誠実。
締めの全てをトム・ハンクスの演技に委ねています。
ここでのトム・ハンクスの演技は、監督もインタビューで答えてますが、間違いなく彼のベストアクトです。
色々な感情が入り交じった表情を見事に表現してます。
見事です。本当に素晴らしい。
この男、やっぱり凄いよ。 |
『ゼロ・グラビティ』に気を取られてましたが、こっちも間違いなく傑作です。
有名どころがトム・ハンクスしか出ていないのにも関わらず、俳優の演技と、演出でこんなにもリッチな映画は出来上がるんです。
いやー、面白かった!!
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