『Gravity』
2013/米 上映時間91分
監督:アルフォンソ・キュアロン
脚本:アルフォンソ・キュアロン
ホナス・キュアロン
製作:アルフォンソ・キュアロン
デヴィット・ハイマン
製作総指揮:スティーヴン・ジョーンズ
音楽:スティーヴン・プライス
撮影:エマニュエル・ルベツキ
キャスト:サンドラ・ブロック (ライアン・ストーン)
ジョージ・クルーニー (マット・コワルスキー)
100点※IMAX3Dに限る
”重力があるって素晴らしい、大地に感謝!”
絶対に映画館で観てください。
出来れば遠出をしてでもIMAX3Dで鑑賞してください。
DVDで済ませようなんて言語道断。
映画ファンであろうと無かろうと、この作品を観ないなんてことは許されませんよ。
だって今、間違いなく映画史に残るであろう作品が劇場で掛かってるんですよ!?
2200円で宇宙に行けるんですよ。
そりゃ観るでしょ!!
もし、あなたがまだ観ていないのなら、速やかに明日の回を予約しましょう。
つまらなかったら観た後に文句を言えばいいじゃないですか。ね?ね?
よし、明日のあなたはもう『ゼロ・グラビティ』を観ています。
楽しそうに作業してたのにさ |
子供の頃、宇宙の始まりを考えだして止まらなくなってしまった様に、もし宇宙でひとりぼっちになったらと想像して、眠れぬ夜を過ごしたことはないでしょうか?
私にはあります。
その想像が映画で実現してしまいました。
映画館が宇宙になってます。
まずそもそもとして、宇宙空間と映画館の相性がとても良い。
スクリーンと暗闇がシームレスになる訳ですから。
そこに3Dが足されることで画面への没入度が増して、浮遊感すら感じられるんです。
さらにそこに加わる要素が、監督アルフォンソ・キュアロンの得意技、”長回し”でございます。
前作『トゥモロー・ワールド』でも終盤に6分強の長回しがありましたけど、今作の冒頭は20分ノーカット。
楽しくおしゃべりしながらの船外活動から、衛生の破片が飛んでくる衝突事故までをカットを割らずに見せるんです。
息が詰まって死ぬかと思いました。
そこから宇宙に放り出される訳ですけど、上下の無い宇宙で長回しのカメラが動きまくるんで、前述の3Dも相まって上下の感覚が完全に無くなります。フー、宇宙へフライアウェイ!!
ここは正直字幕が邪魔に感じましたね。
水平な字幕があると上下の基準が出来てしまうので。
お近くに環境がある方は吹き替え版もおすすめします。
振動で伝わってくる音の表現も、無音との緩急を付けた音楽も素晴らしいです。
この感覚を味わうだけで十分に素晴らしいです。
まさに映画体験。
それに加えて、主演2人のキャラクターもしっかり少ない台詞で描き込みがされていて、ちゃんと物語としての深みある。無駄を省いて最小限にとどめた脚本が緻密で見事。
この辺りがこの映画の素晴らしいところです。
ちょっとした台詞でちゃんとふたりの人となりが理解出来るようになってるいし、それがストーリーのエモーションにもしっかり絡んでくるからラストは思わず胸が熱くなる。
叫んでるライアンを窓の外から捉えるシーンは実に意地悪でしたねぇ |
既に多くの方が言われてる通り、この映画のテーマの一つは”再誕”です。
娘を無くして虚無に取り付かれていたライアンが、絶望的な状況から再び生きる力を呼び覚ます物語です。
その”再誕”のメタファーがいろいろな場面に散りばめられてます。
コワルスキーとの間につながれたロープはへその緒のようだし、ソユーズに入って宇宙服を脱いだ姿はあからさまに胎児のようで。
垂れ下がったチューブもへその緒そのもの。
パンフレットで門間さんが指摘されてる通り、
終盤のあるものが卵子を目指す精子のようにも見えるあたり、”生命の奇跡”としても今作を見ることが出来るでしょう。
地上への帰還とライアンのパーソナルな話がしっかり絡み合ってるから、クライマックスの爽快感はもの凄いものがあります。
ラストショットからタイトルが出る流れには痺れる様な感動を味わえました。
賛否が別れる中盤の不意打ち展開も、極限状態と酸素欠乏状態が生きる本能を見せたと考えれば納得がいくし、そうと分かった状態で観た2回目は心底グッときてしまいましたね。映画ならではの素晴らしいシーンです。
そんなに勢いあると、ほら、ほら、あー |
つらつらと書いてきましたが、とにかく映画館で、3Dで、IMAXで観てください。
ひとりで観ると尚良し。
この映画では孤独は最高のスパイスになります。
追記
スピンオフ作品も公開されてるそうです。
タイトルは『ANINGAAQ』
てっきりラジオを受信したのかと思ってたんですけど、あの時の通信は通じてたんですね。
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