2013日本 上映時間111分
監督・脚本・原作:前田司郎
製作:重村博文
森山敦 他
音楽:岡田徹(ムーンライダーズ)
キャスト:井浦新(洞口)
窪塚洋介 (大川)
市川実日子(京子)
倉科カナ(楓)
80点
"久々に会った友達には、あんな感じになるよね”
11月23日、午後の予定がぽったり空いたので、何か映画でも観ようとスケジュールを確認。
土曜なこともあって封切りの映画が多いがどれも時間が中途半端。
うーん、どうしよう。
ん、『ジ、エクストリーム、スキヤキ』??
どこかで聞いたような。
主演、井浦新、おっ。
窪塚洋介、おっ!?
ペコとスマイルではないか。
どれどれ、監督と脚本は、え!?前田司郎!?
これは観に行かねばならぬ!!
「縁切った人と会っちゃったら、それ縁切れてねぇじゃねぇか」 |
監督を務めてるのは、『横道世之介』の脚本を手がけ、監督の沖田修一さんと学生時代からの盟友でもある前田司郎さん。
その初監督作品。否が応でも期待してしまう。
恐らく狙ってであろう『ピンポン』コンビの起用もどうしたって期待をしてしまいますよ。
ですが、序盤このふたりのやり取りが恥ずかしいくらいにオーバーで、まったく噛み合ってない。ギャグもことごとくスベる。
映像も手持ちカメラで無駄にグラグラ揺れるし、歩きながら話してるのをワンカットでだらーっと撮っていて全く画に締まりがない。
弱ったなぁ、酷いなぁ、なんてことを思っていると、旅行が始まった中盤辺りから急に演技も落ち着きだして、カメラも安定。雰囲気いいぞ。
思い返すと、疎遠になってた友達に久々に会ったら、確かに距離感掴めなくてやけにオーバーになるし、口数も増えるわ。
沈黙が嫌で普段なら絶対言わないようなギャグも言ったりするわ。
そう考えると、序盤のオーバーな演技も全く以て合点がいくし、安定しないカメラも、ふたりの気まずさを観客にも共有させるって意味で効果的。
この演出お見事なんじゃないでしょうか。
4人の半端な距離感心地いい |
4人が思いつきで旅を始めてからが素晴らしい。
洞口(井浦新)と大川(窪塚洋介)は大学の友人。
何かをきっかけで疎遠になり、15年振りに再会した模様。
この再会感を出す為の『ピンポン』コンビ起用でしょうね。
このふたりと、大川の同棲相手の楓(倉科カナ)と、ふたりの大学の友人京子(市川実日子)を巻き込んで旅が始まるんですけど、何がきっかけでふたりが疎遠になったのかが最後まではっきりとは明らかにならないんです。(ノベライズ版では描かれてるそうですが)
4人の会話の端々で、それぞれの過去と関係はうっすらとは浮かび上がってくるんですけど、肝心のきっかけはお話の真ん中にぽっかり空いたまま。
それをもって批判されてる方をよく見かけますが、この部分こそがこの映画の魅力では。
誰でも、何かがきっかけになって友人と疎遠になった記憶はないですかね。
しかも、その記憶を引きずってしまって、自分が成長出来ていないと感じることはないでしょうか。
うおー、今なら謝れる気がする!!なんてことは。
はっきりしないふたりの関係は、誰もが自己を投影出来るようにわざと巨大な空洞としているのでしょう。
そう思って観ると、15年振りに会いに来た洞口の気持ちが垣間見えて凄く愛おしい!!
ペコもスマイルも大きくなりましたね |
旅館での宅飲みのシーン。
本当に酔ってるのか、ほろ酔いの雰囲気がムンムンで凄くいい。
大川の「寝れねー!!」は心の叫びでしょ。
キャベツに焼き肉のタレをつけて食べてるあたりもいい感じ。
そこで明らかになる、みんなそれぞれ成長してて、自分だけが取り残されてる感も切実。
全員で雑魚寝して、みんなが寝静まった後、だんだんと洞口が京子の手を握りにいくシーンのあの牛歩感、身悶えするぐらい好きです。
キスまではいかないんです。やっと手を握れるあの距離感がいい。
みんなが寝ている空間で、ふたりだけが起きてるって言うシチュエーションが個人的に好きなんですよ。
次の朝何事もなかったかのようなふたりもあっさりしてて凄く良い。
宅飲みシーン最高 |
『横道世之介』で存分に発揮されてたやり取りのおもしろさは健在。
ムーンライダーズの音楽も絶妙な青さで心地いい。
次回作も多いに期待です。
沖田監督と高良健吾が友情出演してるんですけど、たぶん大浴場のシーンかと。
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