2013年12月26日木曜日

カノジョは嘘を愛しすぎてる


『カノジョは嘘を愛しすぎてる』
2013/日本 上映時間117分
監督:小泉徳宏
脚本:吉田智子
音楽プロデューサー:亀田誠治
音楽:岩﨑太整
原作:青木琴美『カノジョは嘘を愛しすぎてる』

キャスト:佐藤健(小笠原秋)
大原櫻子(小枝理子)
三浦翔平(坂口瞬)
窪田正孝(篠原心也)他


70点





”『BECK』もこうだったらよかったのにね”


クリスマスの夜に一人で観るにはかなりのハードルでした。
夜の予定は空いてるし、直帰するのも何だしと入ってみたものの、劇場内はカップルと女性だらけ。
そりゃ当たり前だ。

それにしても、こんなに女性でいっぱいの劇場初めて観ました。

それもそのはず、シネマトゥデイにもこんな記事がありまして、


”客層の男女比は7対93で女性が圧倒的。年齢別では16~19歳が41.4パーセント、 20代が21.1パーセント、 13~15歳が15.9パーセントと若い女性層の圧倒的な支持を集めた。”
シネマトゥデイ』より一部抜粋


少女マンガ原作だし、当然の結果ですね。
それにしても圧倒的だ。

客入れ時から皆なんだかテンション高くて、なんだか楽しそう。
うう、この疎外感、失敗したかも。
正直帰って『燃えよドラゴン』が観たい。
身体は心の底からカンフーを欲している。

映画が始まってもしばらくはまだそう思ってましたけど、ある人が画面に登場してから映画にぐいぐいでした。

結論から言うと、観て正解でした。


この出会いは正直恥ずかしかった
どうかと思う部分も結構ありますよ。
キャラクターはテレビっぽいし、台詞は漫画からそのまま抜いたようだし。
相武紗季の背伸びしたディーバ感はすごく安っぽいし。

ただ、大原櫻子さん演じる小枝理子が登場してからそんな欠点はどうでもよくなるんです。


大原さん絡みのシーンどれも良い。
テレビ的なキャラクターの中で彼女一人が凄く浮いてるんですよ。
彼女の存在で画面が中和されて凄くいいんです。


素人っぽいんだけど、そここそいいんですよ。
なぜなら、普通の女子高生がデビューする小枝理子の役柄そのものだから。
ここはデカいですよ。

それに、この小枝理子ちゃん歌が上手いって言う設定なんですけど、しっかり劇中で歌ってみせます。
これがめちゃくちゃ上手いんですよ。

中盤の本格的に歌う所まで歌声を聞かせないタメの演出も効いてて凄くいいです。
彼女がちょっと口ずさむだけで、むむ!これはきっと上手いはず!!なんて気持ちに。

しかもそれが、秋が本当に理子ちゃんを好きになるきっかけにもなってるからばっちりで。
彼女が歌いだすとそれだけで映画が圧倒的な説得力を持つんですよ。


この映画は、しっかり歌が歌える女優さんをオーディションで見つけて、その歌を劇中で聞かせてる時点でもう”勝ってるん”です。

主人公が持つ”奇跡の歌声”を聞かせず、しかもそれを何回も繰り返すって言う腰の引けた演出に逃げて、原作ファンと映画ファンの失笑を買った『BECK』なんて映画がありましたけど、やるべきことは正にこれでしょ。
歌を聴かせるってことが何よりの説得力なんだから。



気持ち良さそうに歌うのもまたよろし



劇中歌も亀田誠治プロデュースで耳馴染みが良く、ポップな売れ線ど真ん中な感じが映画とピッタリ。
新人アーティストがいきなりCMのタイアップでデビューなんかもよく聞く流れで、しかもペプシNexのCMってとこ含めて妙に納得。
音楽業界の内幕物としてもそれなりに良く出来てるのでは。

ただ、”演奏差し替え問題”の設定が投げっぱなしなのが気になる所。
Mush&co.のメンバーは納得したんですかね。
最後のライブはなかなか爽快だっただけにそこが気がかり。

序盤の秋と理子の出会いはいいとして、そこから初デート後までが急展開過ぎるのも気になるところ。
急に抱きしめて「私が守ってあげる」は、理子ちゃんが完全に頭のおかしい重い女になってますよ。

ただただ、この映画のラストがいいんですよ。
いくらでもベタベタギトギトな演出にも出来たと思うんですけど、凄く品があっていい。
ラストショットからのエンドロールの流れの切れ味も良くて。



いかにも”大型新人”っぽいデビューで


観る前の期待値からの挙げ幅が大きかったんで少し甘めかもしれないですけど、なかなかの掘り出しものでした。
面白かったです。

すごく良心的で、誠実に作られた作品だと思います。


2 件のコメント:

  1. すごく同感です‼私も見て正解だと思いました。

    原作を見ていなかったというのも大きいとは思いますが、とても楽しめました。

    恋愛映画という点でも楽しめましたが、音楽映画として魅了されたという方が強いですね。
    キネマのとりこさんの言う通り小枝理子役の大原櫻子さんの素人ならではの新鮮さと歌唱力、
    亀田誠治さんプロデュースの劇中歌がこの映画にぴったりだったのではないかと思います‼

    また、ラストをワンパにしてない感じもよかったと個人的には思いました。先を想像できるからこその
    楽しみといいますか、、、どちらかひとつに絞ってしまっていたら”期待外れ”なーんて思ったかも
    しれなかったですしね。まあ、人それぞれですのではっきりしてほしかったという方もいるのではないか
    とは思いますがw

    ぜひもう一度映画館に足を運びたいとおもいます。

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    返信
    1. DABファンさん
      コメントありがとうございます。

      理子ちゃん天使みたいですよねぇ。

      やっぱりラストですね、もの凄く好きです。
      曲で思いを語って、なおかつエンドロールに持ってくるとは痺れました。
      曖昧な方が余韻に浸れるので、個人的に映画のラストは断然好きですね。

      削除

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