2014年10月31日金曜日

イコライザー


The Equalizer
2014/米 上映時間132分
監督:アントワン・フークア
脚本:リチャード・ウェンク
製作:トッド・ブラック
ジェイソン・ブルメンタル 他
製作総指揮:エズラ・スワードロウ
デヴィット・ブルームフィールド 他
音楽:ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ

キャスト:デンゼル・ワシントン
マートン・ソーカス
クロエ・クレース・モレッツ
デヴィット・ハーバー 他

79点







”この世の不条理の数だけ続編希望”





”チャック・ノリスのピースサインは、「あと二秒で殺す」の意味”
ー チャック・ノリス・ファクトより


これを地で行く最強無双ヒーロー映画、ここに爆誕。

スカッと晴れるルサンチマン。
そのエモーションに身を任せて、頭を空っぽに。

するとどうでしょう、もうあなたは”イコライザー”を求めているはず。






大味なアクション映画かと思いきや、序盤から抑制の利いたトーンと演出でビックリ。

事の発端となるエピソード、クロエ・グレース・モレッツ演じる娼婦のエピソードは、ゆっくりゆっくり描写を積み重ね、盛り上がりを抑えてタメて、ここぞの場面で一気にアクションを解放。しかもそれが気持ちいいぐらいに圧倒的な攻撃力。
こいつ何者なんだ感もしっかり出てる。
何よりスカっとする…!!
”必殺”の前に金銭で譲歩を提案するのもいいじゃないですか。言わば最後通告ですよ。


”必殺”の語り口もスマートでテンポが良い。
相手を追ったと思ったらシーン変わって血の付いたハンマーを拭いていたり、ジャンプカットでいきなり爆発を背に歩くデンゼル・ワシントンを見せたりと、間接的な”必殺”描写を挟む、オーソドックスなんだけど確かな語り口。

この何が良いって、間を省略することでデンゼル・ワシントンの圧倒的な存在感と底知れぬ凶暴さがより強調されて、最強感がより濃くなる。
涼しい顔して現場を後にするデンゼル・ワシントンしかこっちは見てない訳ですから、そのプロフェッショナルさにお前何者なんだよ感がビンビン。






ただ、言いたいこともあるにはある。
一番気になったのは主人公の動機に当たる部分。

序盤は、友人のクロエ・モレッツが何やら危ない仕事をしていて、ついに暴力を振るわれたから、堪忍袋の緒が切れた風に相手をこてんぱんにやっつける。
ここにはしっかりとしたカタルシスがあるわけです。
勧善懲悪的にとてもスカッとする。

しかし、その後の戦いの理由は、その相手組織に目を付けられたことで抗争に巻き込まれた形になる訳です。
これがどうも燃えきらない。
結局、相手から追われていること以外に主人公が相手組織と戦うモチベーションがあるように見えないから、アクションでは盛り上がれても、物語自体が中々アクションのカタルシスに繋がらないのが勿体ない。

クライマックスで申し訳程度に人質が登場しますけど、これも早々に解放。


ただ、これはしょうがないとも言えるんです。

この映画全体、とにもかくにもデンゼル・ワシントンが最強過ぎる。
その様はまるでチャック・ノリスであり、セガールであり、リーアム・ニーソン。

映画全体のバランスを取るか、デンゼル・ワシントンの圧倒的な最強加減を取るか。

これはもう、後者しかないでしょうに。

デンゼル・ワシントンが最強である程に、映画としてのバランスは取れなくなる。
何故なら地球上に彼以上の人類がいないからです、この映画内では。

でもどうです。
人類最強の男デンゼル・ワシントン、見たくないですか?
この作品には紛れも無く最強のデンゼル・ワシントンがいますよ。

ラストのケレン味なんてどうですか!?
あれ屋内ですよ。
さながら雨でしょ。
撃つのも拳銃じゃないですからね、釘ですからね。


序盤で登場したクロエ・モレッツが早々に映画からいなくなるんですが、これは”最強の男”デンゼル・ワシントンに心置きなく暴れてもらう為の配慮だということに自分の中ではしています。






この手の映画で132分は少し長く感じなくも無い。
せっかく”必殺”のテンポは良いのに、全体としては鈍い印象。
メリッサ・レオが出てくるとは言え、元同僚の元を訪ねるシーンはいるのか。

ただ、最強の男デンゼル・ワシントンが見られるんだから儲け物。
個人的には大満足です。

明らかに続編を匂わせる終わり方をしたので、どうかこのままにシリーズ化をお願いしたい。
元はテレビシリーズなので難なく出来るはず。
世の不条理の数だけ続編は作れますよ。



<あらすじ>
元CIAエージェントのマッコールは、いまはホームセンターで働く、ごく普通の真面目な人間として生活していた。しかし、ある夜、なじみのカフェで娼婦の少女テリーと出会い、彼女を囲うロシアンマフィアの非情さに、内に眠っていた正義感が目を覚ましていく。かつてのマッコールは、身のまわりにあるあらゆる物を武器に変え、警察では解決できない不正をこの世から瞬時に消してしまう「イコライザー」と呼ばれる男だった。マッコールはテリーとの出会いから、再びイコライザーとしての仕事を遂行していく。
映画.comより





2014年10月28日火曜日

悪童日記


A nagy fuzet
2013/ドイツ・ハンガリー合作
監督:ヤーノシュ・サース
製作:サンドル・ソス
パル・サンドール
製作総指揮:アルベルト・キッツラー
ジェルジ・ズーフ
音楽:ヨハン・ヨハンソン

キャスト:アンドラーシュ・ジューマント
ラースロー・ジューマント
ピロシュカ・モルナール
ウルリッヒ・トムセン
ウルリッヒ・マテス 他

86点




”したたかな力強さ”




日比谷シャンテにて鑑賞。

双子の健気さに胸を熱くさせ、次第にあらわになる彼等のしたたかさに鳥肌立たせて少しの怖さを感じつつ、最後の選択にまた胸を熱く。

全編に漂う戦時下のじんわりとした緊張感。
映画全体がパワフルでありながら、語り口は軽妙さも兼ね備えてる。

大変素晴らしい作品でした。

原作未読です。

ネタバレ含みます。







過酷な状況を生き抜く為の”訓練”、そのエスカレートと、段々と知恵としたたかさを手に入れて行く二人に鳥肌。

祖母の家に預けられて間もない頃こそ母への思いを抱きながらの生活だったものの、生き抜く”訓練”を積み、手に入れた強さとしたたかさをしっかりと内在化して、遂には母親の引き取りの申し出も拒否。

彼等の中の信念が確実に根付いてる証の出来事。
親も何も信用せず、頼るのは自分たちの力のみ。


個人的に一番唸ったのはラストの二人の後ろ姿。
父の屍を踏み越えて行く双子の一人と、今まで通りの生活を続けるもう一人。
励まし合って、引き離されることを一番恐れた二人が、遂に別々の道を進む選択にまたもや鳥肌ですよ。
生きて行くのにもう双子の相手さえいらない。

何よりこのラストに希望すら感じられるのは、二人の選択で作品を締めて、それぞれの歩き出す後ろ姿で終わっているから。

個人的に、後ろ姿で終わる映画が大好きなんです。
そこからは希望しか感じられないから。
目の前の道を歩く後ろ姿には、能動的な意思を感じるんです。

例えば、これは完全にハッピー指向ですが『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』
あのマット・デイモンが運転する車と延々と真っ直ぐ続いた道は希望に満ち溢れているじゃないですか。

『ヱヴァンゲリヲン 新劇場版:Q』
あの、3人が赤い大地を歩き出す後ろ姿は希望に満ちてます。

中でも、後ろ姿エンディングで一番印象に残っているのは是枝監督作の『誰も知らない』
どんなに悲惨で救いようの無い話でも、さんさんと照る太陽の下を彼等が歩いて行く後ろ姿にはたくましさと希望しか感じられないんです。
お高いところからの安易な慰めなんか拒否してるように感じるんです。

今作のエンディングもこれと同様。
可哀想だとか、切ないだとか、そんな視線を拒否する背中ですよ、あれは。

自分たちはこうやって生きて来たし、これからもこうやって生きて行く。
そのたくましい決意を切り取ったラストです。






全体に緊張感が漂いつつも、所々語り口は軽妙でクスっともさせられる。
凍死した脱走兵から装備を奪うシーンのあの無理矢理加減には笑いました。

それでいてギョッとするようなシーンもあって、ホラー的でもある。

本当に豊かな映画。



<あらすじ>
第2次世界大戦末期。双子の兄弟が、祖母が暮らす農園へ疎開してくる。彼らは村人たちから魔女と呼ばれる意地悪な祖母に重労働を強いられながらも、あらゆる方法で肉体的・精神的鍛錬を積み重ねる。大人たちの残虐性を目の当たりにした2人は、独自の信念に従って過酷な毎日をたくましく生きぬいていくが……。
映画.comより





2014年10月23日木曜日

ぶどうのなみだ


ぶどうのなみだ
監督・脚本:三島有紀子
企画:鈴井亜由美
プロデュース:森谷雄
プロデューサー:岩浪泰幸
音楽:安川午朗
撮影:月永雄太

キャスト:大泉洋
染谷将太
安藤裕子
田口トモロヲ
前野朋哉 他

9点




”北の大地も、この世界観は許容出来ない”




今年のワースト候補です。
最初はスルーする気満々だったんですが、北海道でオールロケ、しかもロケ地が毎年帰省している祖父母のある岩見沢の三笠と聞いて、これは何はなくとも観てみるかと軽い気持ちで劇場へ行ってみると、これが飛び切りの地雷でして。

しかも久々に踏んだ地雷なもんだからそのダメージも相当なもので、帰り道にて『燃えよドラゴン』のテーマを聴きながら必死で持ち堪えていました。


ー 李小龍よ、我を救いたまえ。


薄ら寒いファンタジー。
北の大地で展開されるオカルトホラー。

この世界観、雄大な北の大地でも許容することは出来ない。






ポスタータイトルの丸っこいフォントの雰囲気で、食べ物食べてほっこり癒される系映画だろうと高を括っていたんですけど、そんなの甘い。

世界観で言うと、『47RONIN』に近いです。
つまりはファンタジー。
しかもかなりちぐはぐな。

とにかく、この映画全体を包み込む世界観が気持ち悪い。
そして、その中で動く人物達の行動原理が一々意味不明などころか全く説明がされないから気味が悪い。

冒頭、農作業に精を出す大泉洋と染谷将太。
その格好が、泥一つ付いていない藍色の麻のシャツ。
そんなお洒落して農作業してる人なんていないよ、と思いつつ、でもそんな世界感ならばそれに乗りましょうじゃないかと心を広く持ちましたよ。

しかし、その決意を無惨に打ち砕く、もはや暴力的な描写の連べ打ちに私の目はどんどん濁って行きました。

その始まりを告げるのが安藤裕子演じる謎の女の登場。
その前の、夕飯をお洒落な木のプレートにちょこんと盛り付けて食べてる大泉洋と染谷将太を観て私の脳が死んで行く音がはっきり聞こえましたけど、そんなもんじゃない。

キャンプカーで大胆に大泉洋のぶどう畑に侵入して、おもむろにダウンジングを初めて、ここに穴を掘ると言い出す安藤裕子。
ここは俺の畑だと大泉洋が突っぱねると、あんたはここでなくてもいいけど、私はここじゃなきゃダメなのと言い放ち、勝手に穴掘り生活スタート。
その穴掘りってのが、アニメみたく丸く垂直に掘って行く類いのもので、これまたなんともまぁ。
我慢です。ここで思考を止めてはダメですよ。

見かねた大泉洋が警察を呼ぶと、もの凄くクラシカルな出で立ちでクラシックカー風のパトカーに乗った田口トモロヲ演じる警察が登場。
ああ、もう分かった。これはこう言う映画なのね!
分かった、本格的にそう言うつもりで観る!!

と、始まって何度目かの決意を新たにすると、安藤裕子においしい料理を出されてすっかり仲良くなっちゃう田口トモロヲ。

こんな調子で大泉洋を除く町の人みんなと仲良くなっちゃう安藤裕子。
その町の人の数、私のカウントだと4人です。
そして、総勢でも5人のはずです。






ここで何より怖いのは、安藤裕子の行動の目的が劇中で全く説明されないんですよ。
一応ラストでアンモナイトの発掘をしていたってことになるんですけど、なんでアンモナイトなのかは明かされず放ったらかし。

確かに、確かに三笠はアンモナイトの化石が発掘された土地です。
え!?もしかしてそう言う理由なのか。
その現実の土地柄で全てが説明が出来ていると思っているのか。

大泉洋のぶどう畑だってそうです。
彼、元々の指揮者の仕事を病気が原因で辞めて、そしてワイナリーの経営を始めたそうなんですけど、なぜワイナリー?
元々父がぶどうの木を一本持っていたからとか何とか言ってましたけど、なぜ彼がワインに固執するのかが全く分からない。
え!?もしかして岩見沢にワイナリーがあるからなのか。


つまりこう言うことです。
安藤裕子のアンモナイトも、大泉洋のワイナリーも、全てはその土地のもの。言わば名産品。
その名産品で、劇中のなんやかんやが全て説明出来ているのだとこの作り手達は思っている訳ですよ。
本当におめでたい人達ですね。

その癖にですよ、劇中で空知、空知と地名を出しておきながら、薄ら寒いファンタジーで現実の空知を手前勝手に掻き消す暴挙。


やってることが余りにちぐはぐ。

でも、そんなことはいいんです。
この理屈は観終わってから思ったことですから。

本当に困ったのは、この映画全体を包む世界観が気持ち悪過ぎること。
何度途中で出ようと思ったか。


劇中、『野のなななのか』よろしく、楽器隊がぶどう畑を練り歩くシーンがあるんですけど、その恥ずかしさったらないです。
逆説的に、大林監督のあのアバンギャルドさを支える圧倒的なバランス感覚を思い知らされました。
『野のなななのか』のパスカルズは素晴らしいですよ。

言わずもがな、基本台詞は全て心のうちを口で説明する”心のお漏らし”状態。
これに加えて、前述の全く行動原理が分からないキャラ達、5人しかいない町人。
それを包み込むお寒いファンタジー演出の数々。


ー 李小龍よ、我を救いたまえ。






役者さん達に罪はありません。
大泉洋さんがこの映画に出ているということだけが唯一この作品で好感の持てるポイント。
染谷将太さんが悪いはずが無い。
安藤裕子さんだって悪く無いです。

個人的に安藤裕子さんの大ファンでして。
(彼女が歌うオザケンカバー「僕らが旅に出る理由」が本当に本当に素晴らしい!!)
その意味でも彼女のこの扱いは許せない…!!

それでは、お口直しに安藤裕子さんの、「ぼくらが旅に出る理由」をどうぞ。

うん、良い曲だ。







<あらすじ>
北海道・空知で暮らす男性アオと、ひとまわり年の離れた弟のロク。アオは父親が残したぶどうの木でワインをつくり、ロクは小麦を育てている。アオは「黒いダイヤ」と呼ばれるピノ・ノワールの醸造に挑んでいるが、なかなか上手くいかずにいた。そんなある日、アオとロクの前に、キャンピングカーに乗った旅人の女性エリカが現れ、彼女の持つ不思議な魅力が、兄弟の穏やかな日常に変化をもたらしていく。
映画.comより





2014年10月18日土曜日

猿の惑星:新世紀


Dawn of the Planet of the Apes
2014/米 上映時間130分
監督:マット・リーブス
脚本:リック・ジャッファ
アマンダ・シルヴァー
マーク・ボンバック
製作:ピーター・チャーニン
ディラン・クラーク 他
製作総指揮:マーク・ボンバック 他
音楽:マイケル・ジアッキーノ
撮影:マイケル・セレシン

キャスト:アンディ・サーキス
ジェイソン・クラーク
ゲイリー・オールドマン

95点




”後戻りの無い「No」”




TOHO船橋の4番スクリーン。
TCX、ドルビーアトモス環境で鑑賞。

先行で観た人の評判は上々で、中には『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』より好きなんて声もちらほらあったり。
なんだいなんだい、それはいくらなんでも言い過ぎじゃないのかい、と思っていたんですけど、実際に観てみるとこれが誇張でもなんでもなく本当に素晴らしい作品。

骨太でパワフルな傑作。






公開前の反笑いの下馬評を覆した前作『猿の惑星:創世記』に輪をかけて、何よりまずストレートに面白い作品にちゃんとなってる…!!

その要因の一つが、今作からクレジットにトップで名前を連ねているアンディー・サーキス演じるシーザーと、その仲間達の力強さ。猿力!!
もちろん彼等はCGによって肉付けされている訳ですけど、表情と仕草一つで感情がしっかり読み取れる。
彼等は少しの英語と手話でお互いにコミュニケーションを取っているんですけど、その動作全てに感情が込もっていて、その表情の豊かさと言ったらもう。






大挙してやって来た猿達と対峙する人間。
その黒い群衆の中でマルコムが着た白いヘンリーシャツだけが目立たせて、行動と共に彼の性格付けをサラッと済ませる語りのスマートさ。

猿と人間の違いをさりげなくも分かりやすく示す対比も素晴らしくて、ただの一喝で騒ぎを鎮められる猿達と、それすらも電気を必要とする人間達。
この、猿の進化を大げさでなく、これまたスマート且つ説得力を持って演出する辺り、ダグ・リーマン、やるじゃないか!!

そして、この猿と人間のコミュニケーションの差が、今作のテーマをより深く掘り下げているとも思います。
これは後述。






作品毎にその時々の社会背景をメタファーとして織り込んでいる『猿の惑星』シリーズ

今作で言うとそれは、争い、戦争の発生。
もっと言うと、誤解とコミュニケーションの齟齬から発生する憎しみの連鎖。そこから発生する一度始まったらもう後戻りは出来ない、戦争の発生するその瞬間。

これは紛れも無く今現在頻発している中東の民族紛争であり、日本を含めて世界各地で静かに高まっている不気味な争いの予感に対しての警鐘のように思えてなりません。

今作で一番唸ったのは、雨のテントの外で猿と人間がコミックを読みながら言葉を使いコミュニケーションを取るシーン。そして、そのシーンに被せるように次のシーンの射撃テストの銃声が森に響く場面。

この、相互理解の努力を打ち消すような暴力的な銃声の音。
ここでコミックが使われているのもピリッと効いてます。

本来はそのカウンターになるはずの文化や教育も、暴力や武力の前では全て犠牲に。
相互理解の努力を踏みにじっていくのです。

個人的にこのシーンでは『グランド・ブダペスト・ホテル』で語られていたテーマを連想したり。

戦争の発端となるのは、小さな誤解であったり、コミュニケーションの齟齬。
そしてそれは、何かの小さなきっかけで始まってしまえば、エゴや体裁、メンツと結びつき、もう後戻りは出来ないのです。
それが間違っていると分かってはいても。

この、相当骨太な社会派メッセージを、猿と人間の構図を使いつつ誰もが楽しめる真っ当なエンターテイメントで包み込んだその見事さですよ。


映画ラスト。
もう後には引き返せないシーザーとマルコム。
大きな何かが始める不吉な予感を感じさせつつ、もう会うことは無いその二人の男の友情の終りで締めるそのバランス感覚。見事!
シーザーの決意に満ちた目をした、冒頭と対になったラストショット。見事!!

全て鮮やか!お見事!!





今作での「No」の使い方も凄く良い。
もう後戻りは出来ない、決意の場面での「No」

もう、お見事!!!!!!


<あらすじ>
猿のシーザーが天性のリーダーシップを用いて仲間を率い、人類への反乱を起こしてから10年。勢力を拡大し、手話や言語を操るようになった猿たちは、森の奥深くに文明的なコロニーを築いていた。一方の人類は、わずかな生存者たちが荒廃した都市の一角で息をひそめて日々を過ごしていた。そんなある日、資源を求めた人間たちが猿たちのテリトリーを侵食したことから、一触即発の事態が発生。シーザーと、人間たちの中でも穏健派のグループを率いるマルコムは、和解の道を模索するが、彼らの思惑をよそに、猿たちと人間たちとの対立と憎悪は日に日に増大し、やがてシーザーは生き残るための重大な決断を迫られる。
映画.comより





2014年10月14日火曜日

アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜


About Time
2013/米 上映時間124分
監督・脚本:リチャード・カーティス
製作:ティム・ビーヴァン
エリック・フェルナー
ニッキー・ケンテッシュ・バーンズ
撮影:ジョン・グレセリアン
編集:マーク・デイ
音楽:ニック・レアード=クロウズ

キャスト:ドーナル・グリーンソン
レイチェル・マクアダムス
ビル・ナイ 他

60点




”タイムトラベルの甘さが主人公を甘やかす”



船橋のTOHOシネマズにて鑑賞。

凄く可愛いらしい映画だと思います。
グッとくる場面、好きなシーン、沢山あります。

でもなんだろう、この違和感は。


凄い高評価の声ばかりを耳にします。
今現在『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』を7回観に行ってる偏った人の話だと思って頂けたら。






あのロンドンの街並、海辺の家。世界観は凄く好きなんです。
キャラクターだって皆魅力的に描かれてはいる。

ただどうしても映画全体が主人公に甘過ぎる気がしてならない。
葛藤が無いからドラマが無い。ドラマが無いから話が無い。

その原因になっているのが、そもそものタイムトラベルの設定の甘さ。
タイムトラベルはあくまで設定で、この作品が描こうとしているのは当たり前にある普段の日常だと言うことは分かります。
でも設定で、肝心のお話がもの凄く主人公に甘く身勝手なものになってしまっている気が。

主人公は最初から最後まで、何か不都合が起こったら過去に戻り修正、過去に戻り修正。
それが裏目に出て予想外の未来になれば、また過去に戻り修正。

例えば中盤の妹を巡るエピソード。
過去に戻り妹を救ってしまったら、未来では子供が変わってしまう。
なので再び過去に戻りそれを無かったことに。

で、結局どうするかと言うと、病院のベッドで付きっきりで妹を説得。
結果子供も元に戻り、妹も救われ万事解決。
じゃあ最初からそうしなさいよ!!
過去に戻る能力の無い大半の人はそうしてるんだから。

端から見ればどうしようも無い彼氏でも、妹にとってはずっと付き合ってきた人で、そこには個人的な感情もある。
例え間違いだったとしても、それが経験になって、その失敗から学んで、思い出になる訳じゃないですか。

誰がそれを奪えるのか。

あの時私じゃなくても他の人に声を掛けてたのねってそれは描き方としてズルい。
少なくともこのテーマの映画でそれはやって欲しく無い。

何がおかしいって、このエピソードがただのタイムトラベルのルール説明になってること。
作劇としても上手く無い。


こんな感じで、劇中彼の人生における失敗だったり、間違いだったりが最初から最後まで全て綺麗に取り除かれてるから、こんなの理想の人生なんかに決して見えない。
選択と葛藤が無いから彼が成長してるように全く感じない。

失敗の無い人生が最高の人生と言うふうにしか、少なくとも私には見えませんでした。
あまりに潔癖過ぎる。

そう言う人生を通して最後に理想に気付いたのかもしれないですけど、最初から最後まで幸せで、そして最後に”理想の人生”に気が付くってそれはあなた、いくらなんでも甘過ぎるよ。


最初からこの流れだから途中から彼に感情移入出来ず、中盤の初恋の人に対しての”レズだから”発言も少しイラっときたり。

ラストのメッセージ。
未来から戻って来たように毎日を生きよう。

このメッセージ自体には凄く共感出来ます。
いい言葉です。

ただお前がそれ言うかと。
今まで好き勝手やって来てたじゃないか!?

あなた以外の大半の人は、繰り返しの無い毎日を、間違えて、失敗して、悩んで悩んで、選択して、そしてそういう考えを胸に抱いてポシティブにいようと努力して生きているの。

この映画に言われても説得力が無いよ。






ただ、身悶えしながら見ていたのはカップルのイチャつき描写。
ここはさすがラブコメを撮ってきた監督。
あの結婚式の段取りが決まって行く度に一枚ずつ服を脱ぐってなんですか!?
健康的なエロっていいね!!
変態よ変態!!

あの自然体でオープンなイチャつき描写はストレートにたまらない。

暗闇での食事から初めて顔を合わせた時のあの高揚感。
あれはまさしく恋ですよ。
確かにあれは過去に戻って再び会いに行く。

ビル・ナイのチャーミングな演技も素晴らしい。
海辺の散歩のシーンは思わず涙しそうに。






ディテールを取り出せば好きなところは沢山あります。
ただ全体を通すとやっぱり納得いかない。

この世界観、キラメキ具合ならタイムスリップなんかない方が十分魅力的な作品になったのに。

”無為だと思ってた日常の大切さに気付く”なら、旅先のダイナーで旅費の計算をしていた『LIFE!』の方が私は好きです。


<あらすじ>
イギリス南西部に住む青年ティムは自分に自信がなく、ずっと恋人ができずにいた。21歳の誕生日に、一家に生まれた男たちにはタイムトラベル能力があることを父親から知らされたティムは、恋人を得るためタイムトラベルを繰り返すようになり、やがて魅力的な女性メアリーと出会う。しかし、タイムトラベルが引き起こした不運によって、その出会いがなかったことになってしまい、再び時間をやり直したティムはなんとか彼女の愛を勝ち取るが……。
映画.comより





2014年10月12日日曜日

るろうに剣心 伝説の最期編


るろうに剣心 伝説の最期編
2014/日本 135分
監督:大友啓史
脚本:藤井清美
大友啓史
製作:上木則安
畠中達郎 他
製作総指揮:ウィリアム・アイアトン
音楽:佐藤直紀
原作:和月伸宏「るろうに剣心 -明治剣客浪漫潭」

キャスト:佐藤健
武井咲
藤原竜也
伊勢谷友介 他

60点





”アクション最高その他ダメ(2回目)”




『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』を観に行った9月13日。
その日は祖母も一緒に映画を観に行ってまして、福山雅治ファンの祖母は違うスクリーンにて同じ日に封切られた『るろうに剣心 伝説の最期篇』を鑑賞。

その夜、それぞれ観た映画の話になった訳ですが、しきりに祖母が伊藤博文がズルい伊藤博文がズルいと言うんですよ。
おばあちゃん、自分も観るつもりだしそこ重要そうだからネタバレなしね、と言うと、ああそうかとその話は流れた訳ですが、いざ観てみると本当にズルいのなんのって。

それ以上にその珍シーンぶりにお口あんぐり。
凄まじいですねこりゃ。


圧倒的なポテンシャルを秘めながら、不完全燃焼に終わってしまった悲劇。
本当に本当に勿体ない…!!

某映画情報サイトだとやたらと評価が高くて、星取り評で皆星五つを付けてるんですよ。
肝心の評論を読むと納得は出来るんですが、その他の部分に目をつむり過ぎです。

諸手を上げて評価することはどうしても出来ない。

ただ、アクションはとんでもないことになってます。
これも確か。

日本の漫画、アニメの実写映画化の歴史を見るに、過去に大火傷を負った映画達と比べてしまえばもの凄く愛を持って作られた幸福な作品だと言うことも確か。

ただこれはひとえにアクション監督谷垣氏の功績と、それに120%応えたキャスト陣の努力の賜物です。

そのアクションシーンの熱いものを削ぐようなことをした大友監督。
ちょっとそこに正座なさい。






本当にアクションシーンは素晴らしい。
特に今作だと剣心対蒼紫戦。
あのスピードこそまさに神速の抜刀術…!!

狭い通路で対峙した剣心と蒼紫。
剣心の剣は抜刀術なので、狭い場所だと圧倒的に不利。
そこで蒼紫の斬撃を後ろに流しつつ後退、広い場所へ移動。
そこで刀を向けて啖呵を切り、神速の抜刀術炸裂。

修行後の状態でもあるので終止剣心が蒼紫をリード。
蒼紫をこてんぱんにのしちゃうんです。

それぞれの動き、行動、戦い方にちゃんと意味があって、戦いの組み方が凄いロジカル。
これらをちゃんとアクションのみで見せてるから説得力も抜群。

カメラの動きも素晴らしくて、広い場所で剣を交える剣心と蒼紫を俯瞰で撮るショットに。そこから剣の振りがゆっくりになった所でカメラが一旦上がって広角になって、剣のスピードが再び早くなると同時にカメラも下がる。
この戦いの緩急に合わせたカメラワーク、気持ちいい!!

工夫の痕が随所に見られた本当に素晴らしい高速チャンバラでした。
何度でも何度でも観たいです。

アクション監督の谷垣さん、本当に素晴らしい仕事です。
原作ファンの一人としてお礼が言いたいくらいです。
ありがとうございました!!!!

谷垣さん、Twitterをやられているそうなのでちょっと拝見してみると、思った通りアクションに非常にロジカルな考えをお持ちのようで、一部ツイートを抜粋しますと。





背筋が伸びる思いです。
もう一度お礼を言います。
ありがとうございました…!!!!

このアクションを生身で演じた役者陣の方々も素晴らしい。

佐藤健さん。
あなたはもう剣心です。

藤原竜也さん。
観る前に文句垂れてすみませんでした。
あなたはもう志々雄真実です。

神木隆之介さん。
あなたはもう瀬田宗次郎にしか見えません。
最高にハマってました。

伊勢谷友介さんも、青木崇高さんも皆さん素晴らしい。


さあ大友さんちょっとこっちに来なさい。
『ダークナイト』がやりたいんなら他所でやんな!!







折角アクションが絶好調なのに、その熱いものをわざわざ削ぐ様な話運び、脚本、本末転倒もいいとこ。

全体のお話がアクションのエモーションに繋がってないんですよ。
致命的なのは、志々雄真実一派が政府転覆を狙える程強そうには全く見えないこと。
戦艦を海にぷかぷか浮かべて、小さな漁村を砲撃してそれで政府を脅そうってあなたね、無理があるにも程があるよ。

だから、剣心がわざわざ乗り出さなくても、明治政府が、もっと言うとあの大砲一つでどうにでもなったでしょと思わずにはいられない。

やはり剣心しか志々雄は倒せない…!!
こういう追い込みがあればよりラストの対決だって燃えられるのに。


原作に無い斬首のシーンも全くいらない。
前半の修行シーンで剣心に過去を振り返らせておいてまたしつこく同じことをやる不細工さ。
これは思うに、大友さんが『ダークナイト・ライジング』的な、ヒーローが追われる身になる展開をやりたかったのでしょう。
ただ残念ながら完全なる蛇足。
全カットでダイエットの余地あり。

そう言えば『ダークナイト』の香港のシーン。
あれも完全に蛇足でしたね。
そしてあれはノーランが『007 サンダーボール作戦』をマネしたくて撮ったシーン。

シーンそのものの存在意義までマネするとはいやはやなんとも。


そして一番お口あんぐりだったシーンが伊藤博文の敬礼のシーンですよ。
状況を説明すると、志々雄の言いなりになった伊藤博文は中盤に剣心を指名手配にして、それが斬首のシーンに。
その後剣心達が志々雄のいる戦艦に乗り込んでも、味方がいるにも関わらず勝手に砲撃を始めたりと好き勝手やってた訳です。

そんな伊藤博文が、戦いを終えた剣心達の元に政府高官を引き連れてぞろぞろやって来て、一通り何か言った後に、こう言うんです。

「侍達に、敬礼!!」と。

すると、なんとも大仰なメインテーマがドカーンと流れ出すんです。

ん????

これ皮肉なのか、本当にカッコいいシーンとして撮っているのか、どっちなのか。
演出の意図が全く掴めない。

話の流れだと完全に皮肉めいたシーン。
ただ演出は良さげなイケてるシーン風味。

役者さん達の顔は伊藤博文に完全に引いてる顔をしてるんです。
だから台本には、”調子の良い伊藤を憎々しげな目で見つめる剣心”みたいなことが書いてあるはずなんです。
でないと話の流れとしておかしいですから。

でもそれが編集の段階でちぐはぐなことになってる。

このシーンは本当に何をやろうとしたのか意味が分からないです。
これが戦いの最後なんですから、締まらないなぁ本当に。

他にも、誰も知らないはずの剣心の修行場所に操が現れて、どこで場所を知ったのかと問う剣心に、そんなことより、と強引に話を持って行く操。一作目と全く同じ戦い方で手抜きとしか思えない、やたら狭い場所で汚れる左之助戦。
戦いの直前に説明台詞で済まされる宗次郎の過去と、その説明の不十分さに発狂する理由が分からずただの頭のおかしい子になってた瀬田宗次郎等々、挙げ出すとキリが無い程粗だらけ。

宗次郎戦に関しては前作で剣心を追い詰めた張本人なんだから、もっとじっくりキャラを掘り下げるべき。


全体に大友演出は気取ってる割にやってることが間抜けなんですよ。






観るべきかどうかと聞かれたら、間違いなく観るべきです。
本気度100%の素晴らしい超高速チャンバラを観ることが出来ます。

ラストでは珍シーンも観れてお口あんぐりできますし。


最後にもう一度谷垣さんにお礼を言いたいと思います。
本当にありがとうございました。

ぜひ谷垣氏と佐藤健”剣心”はそのままに、『追憶篇』を実写化してもらいたい。
まだ剣心が人斬りだった時の、血なまぐさい殺陣が観てみたい。

もちろん監督は交代で。



<あらすじ>
日本征服を狙う志々雄真実を止めようと戦う緋村剣心だが、志々雄配下の瀬田宗次郎に逆刃刀を折られてしまう。かつてない窮地に立たされた剣心は、志々雄一派に打ち勝つため、自ら壮絶な道を選ぶ。主演の佐藤を筆頭に、武井咲、青木崇高、蒼井優ら前作で話題となったキャスト陣も再結集。「龍馬伝」で大森監督や佐藤ともタッグを組んだ福山雅治が、剣心の師匠・比古清十郎を演じ、2部作を通じて出演している。
映画.comより




2014年10月9日木曜日

4DXに行ってみた ~ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー編~




9月18日、お初の4DX体験をして参りました。

その前に少し時間は遡って9月11日。
遅めの夏休みを利用して祖父母のいる北海道を岩見沢市まで飛行機でGO






一応鞄の中に社長を忍ばせ、観光名所でパチパチ写真を撮ってやろうと意気込んでいたんですが結局一枚も写真は撮らず。

写真はおろか観光名所にもほとんど行ってません。
何故ならそれどころでは無かったから。

9月13日に観てしまったのです。
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』を。

その時の様子はこちらに記してあるのですが、とにかく観光どころの騒ぎじゃない。
次の日は小樽に行って回らない寿司をたらふく食べる予定だったんですが、そんな食欲なんてパス。

札幌の紀伊国屋に向かい、洋書コーナーで「ザ・アート・オブ・ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」を購入。
行きと帰りの高速バスの中では勿論サントラを聴いて、完全にガーディアンズテンション。

今自分が北の大地にいるなんて完全に忘れています。
本当は芦別に行って『野のなななのか』のロケ地巡りする予定だったのにそれもパス!!

そんな感じの日々を過ごし、あっという間に北海道旅行は終了。
17日、夜行列車にて札幌を出発。
明くる日の朝に上野駅に到着。

千葉の自宅に着き、荷解きを済ませホッと一息。
さて貴重な一日OFFだ、どうしたものか。

映画でも観に行くか。
何を観ようか。
うん勿論『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2回目)
それならこのテンションで平和島の4DXに行こうじゃないか!!


・めくるめく、キネマの思ひ出/ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー(IMAX3D/吹替4DX/字幕2D)












4DXとは…!!
奥行き表現の3Dに加えて、動く座席、飛び出す水しぶき、吹き付ける風、匂い、煙、等々の演出で更に映画への没入感を高めた体感型の新しい映画体験の形であります。

元々は名古屋と福岡の二館のみのだった4DXシアター。
それが今年の夏に東京の平和島シネマサンシャインに上陸。

最寄りの駅からだと一本で行けるものの、平和島という割とへんぴな場所にある為今まで食指が動かなかったんですが、この旅行直後のテンションなら行ける…!!

羽田空港行きの電車に揺られること約1時間。
京急線平和島駅に到着。
そこから大きな道路を歩くこと5分。

見えて来ました平和島シネマサンシャイン






てっきり立派なショッピングセンターを予想していた平和島シネマサンシャイン。
そのいかにも地方の国道沿いにありそうなアミューズメントパーク的な外観に少し胸をざわつかせつついざ入場。

一階がドンキホーテで、二階にパチスロ。
三階にゲームセンターがあり、四階に映画館。

う、うおー!!
なんと香ばしい建物であるか!!

壁に染み付いたタバコの匂いがより一層の香ばしさを引き立てている。
良い、凄く良いぞこの建物。

小綺麗なショッピングモールなんかより断然良い。
私の理想のシネコン感がここにある。






劇場に到着。
人の姿はまばら。
平日だからこんなものか。

エスカレーターを降りて左手にチケットカウンターと食べ物の売店。
真ん中にシアターへのゲートがあって、右手に売店、なんですが、私の目に飛び込んで来たものは…!!






会議机 …!!!!
なんたる、なんたるこの味のある雰囲気!!
好きだ、好きだぞ平和島シネマサンシャイン。

まだ上映まで少し時間があるので、ロビーにて待機。
すると『るろうに剣心/伝説の最期編』開場のアナウンス。

「お待たせ致しました。ただいまより、『るろうに剣心/伝説の最期編』開場でございま〜す。…」
すると近くにいたカップルの♂の方が得意げに、「”さいご”って(苦笑、”さいき”でしょ…」

この香ばしさ、無限大。


そうこうしている間に『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー4DX』開場。
入り口で3Dメガネ(XpanD)を受け取り、一番奥のシアターへ。
入り口手前にはコインロッカーが。
100円を入れて戻ってくるタイプです。







座席は通常にシネコンのものより大きめ。
身体全体を包み込む作りで、頭の両脇にもしっかりクッションが。
イス全体が動くので足を乗せる受けもあり。

劇場内は飲食厳禁(そりゃそうだ)なので、客入時にスタッフさんが見回りをしてポップコーンなどは没収されます。

上映開始時間が来て、場内暗転。
すると、4DXの演出を最大限活用した紹介映像が流れ、否応にも高まる期待。






そしていよいよ本編開始。

初めての4DXが『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』になったこと、大変嬉しく思います。

予想通りドッグファイトと4DXの相性抜群!!
座席がさながらミラノ号のコックピット。
動く座席でライド感。最後の作戦に自分も参加しているかのよう。
右に左にネクロクラフトの攻撃をかわし、目指すは敵戦艦ダーク・アスター。
もう最高!!

キルン刑務所脱獄の件も、3Dで観てもディズニーランドのスター・ツアーズぽいなと感じてましたけど、動く座席効果で完全にそれ。
グルートが手から光る胞子を出すシーンはシャボン玉が。
辺りが炎に包まれるシーンには匂いで焦げ臭さを演出。
そして何より驚いたのが、劇中で流れる曲に合わせてリズムを取るように、小気味よく座席が動くんですよ。
冒頭の「Come and Get Your Love」
イントロのベース。
動き出す座席。
気持ちィイ!!!!!


この4DX体験共々、初の平和島上陸は最高の思い出となりました。
上映があるうちにもう一度行きたい。
そしてその時は温泉にも入りたい。

なにやら4DX、ユナイテッドシネマ豊洲にも出来るとのこと。
あの小綺麗なららぽーとにかぁ。
なんかもの足りないなぁ。



・めくるめく、キネマの思ひ出/ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー(IMAX3D/吹替4DX/字幕2D)


2014年10月5日日曜日

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』常設劇場







夜中に工作
常設劇場が出来ました。

ここは年間通して『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』を上映している理想の映画館です。
残念ながらIMAXシアターはありません。

チケットは誰でも500円


上映スケジュール
シアター1
ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー(字幕版)
11:35〜13:55
14:20〜16:40
17:05〜19:25
19:50〜22:10

シアター2
ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー(吹替版)
16:35〜18:45
(L)21:30〜23:40




2014年10月4日土曜日

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー(IMAX 3D/吹替4DX/字幕2D)


Guardians of the Galaxy
2014/米 上映時間121分
監督:ジェームズ・ガン
脚本:ジェームズ・ガン
ニコール・パールマン
製作:ケヴィン・フェイグ
製作総指揮:ルイス・デスポジート 他
アラン・ファイン
音楽:テイラー・ベイツ

キャスト:クリス・プラット
ゾーイ・サルダナ
デビット・バウティスタ
ブラッドリー・クーパー
ヴィン・ディーゼル 他

100点




"歌とダンスで銀河を救う"




もう最高です。
とにかく最高なんです。
121分間最高なんです。
もう既に5回観ています。
間違いなく上映が続いてる限り観に行きます。

初見は9月13日の公開初日。
その時、私は遅い夏休みを利用して祖父母のいる北海道に行ってまして、福山雅治ファンの祖母と一緒にサッポロファクトーにあるユナイテッドシネマ札幌へ。

昼食を済ませて、祖母は『るろうに剣心/伝説の最期篇』へ。
私はIMAXスクリーンの『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』

札幌のIMAXの傾斜のキツい場内と、知ってる中でもかなりデカめのIMAXスクリーンに、なんだかプラネタリウムみたぁ〜いと微妙なテンションの上げ方をしつつ席に付き上映を待ちます。
そして上映開始。

121分後。
一目散に売店へ走りパンフレット購入。
その頬には一筋の涙が。
いや、一筋なんてものではありません。
そこには幸せの涙で頬ががびがびになった私がいました。

他の人に怪訝な顔をされながらトイレで顔を洗い、劇場を後に。
建物の外に出て鞄からiPodを取り出し、流すはRed Boneの「Come and Get YourLove」

バスに乗って札幌駅まで行くつもりだったけど予定変更。
足取り軽やかに、満面の笑みを浮かべ時に天を仰ぐようにこの喜びを噛み締めます。



ああ、なんて幸せなんだ…!!



北の大地に響き渡る(つもりの)私の心の声。

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』、もう文句無し。
最高です。
今年ベスト1。


クライマックスへのネタバレを含みますのでご注意を。




2014年10月2日木曜日

ザ・マペッツ2/ワールド・ツアー


Muppets Most Wanted
2014/米 上映時間107分
監督:ジェームズ・ボビン
脚本:ジェイソン・シーゲル
製作:デビット・ホーバーマン
トッド・リーバーマン
製作総指揮:ジョン・G・スコッティ
ニコラス・ストーラー
音楽:クリストフ・ベック

キャスト:リッキー・ジャーベイス
タイ・バレル
ティナ・フェイ 他


80点




”この恵まれた作品を見逃さない手は無い”




公開初日に、シネマイクスピアリにて前作『ザ・マペッツ』との二本立て上映にて鑑賞。

全国での公開がシネマイクスピアリとイオンシネマむさし村山の2館のみと言うなんとも寂しい状況。

しかし、これは決してやる気がない訳ではないのです。
ディズニージャパンの熱意溢れる担当の方が、ビデオスルーになりかけていたところを、何とかしてもぎ取った勝利の2館なのです。

二本立て上映の合間にトークショーがあって、この熱意溢れる担当の方もサプライズでステージに上がり拍手喝采。よくぞやってくれたと。
そして去り際にしっかり『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の宣伝。
流石わかってるー。


マペッツ2、大変面白かったです。
海外のショウビズの底力を見せつけられました。
これがビデオスルーなんてダメだよ。






マペッツとは。
元々は『ザ・マペットショー』と言うタイトルで1976年から放送されてたイギリスのコメディ番組で、マペットと有名人が楽しく愉快にトークするコメディ。
キャラのデザインから分かる通り、マペット達の考案は『セサミ・ストリート』と同じジム・ヘンソンが担当。

スター・ウォーズからマーク・ハミルとC-3PO、R2-D2が出演した回もあったり。







そのマペッツ達が再集結して、2011年に劇場公開されたのが『ザ・マペッツ』
これがとにかく傑作でして、愛らしいキャラクター、冴えたギャグ、”古いもの”への愛情、ミュージカルの楽しさ、どれもが一級品。

今作のエイミー・アダムスがとてもキュートなので彼女のダンスを。







特に素晴らしいのが、クライマックス、ラストシーンでの何百メートルの道いっぱいに集まったマペッツファンを映す空撮のショット。

例え時代遅れのものになってしまったとしても、ファンの中にしっかりと作品は生き続ける。
そのことがはっきりと可視化された圧倒的なシーンに思わず鳥肌。
トークショーにて漫画家の花くまゆうさくさんもおっしゃられていましたが、正に映画に魔法が掛かった瞬間。

見事なシーンでした。






そのラストから直接の流れを汲むのが今作『ザ・マペッツ2/ワールド・ツアー』
だから二本立てで観れたのは大正解。

ただ、いきなりオープニングから前作の”撮影終了のシーン”からスタート。
つまり続きとして前作とのメタ構造にして、前作を劇中劇にしてるんです。

何!?
これじゃ前作の素晴らしいラストが台無しじゃないか!!
と思わずにはいられないこの出だし。

おいおい大丈夫か!?と心配するこっちをよそに、画面に登場するはなんとレディー・ガガ。
一瞬の出演ながらも満員の客席から上がる歓声。
世界の歌姫がカメオ出演か、すごいなーなんて関心していると、セリーヌ・ディオン登場。しかもがっつり歌声披露。
なんか豪華だなーとぼんやり思っていると、映画が進むに従って加速度的に増えていくカメオ出演の豪華メンツ。

自分が劇中で確認しただけでも、レイ・リオッタ、ダニー・トレホ、トニー・ベネット、ザック・ガリフィアナキス、トム・ヒドルストン、ジェームズ・マカヴォイ、クロエ・グレース・モレッツ、スタンリー・トゥッチ、クリストフ・ヴァルツ・・・。

どうなってるんだこのメンツ!?
しかも偉いのは、出演した一発のインパクトで終わらせないで、しっかりそれぞれをギャグに絡ませること。
だから短い出演時間でもちゃんと印象に残る。

前作がきっちり”エンターテイメントとは”、と言うテーマを描ききったのに対して、今作ははっきりお祭りです。お祭り映画です。

もともとの『マペット・ショー』がマペッツ達と有名人が絡む番組だったのだから、ある意味原点回帰とも言えるのかも。

このお祭りに乗って自分たちも楽しんでいる出演者陣と、こう言う映画がサラッと作れる海外のショウビズ界の空気がとても羨ましい。






こんなにお祭り気分の楽しい映画なのに、この規模は寂しい限り。
オンデマンド配信がメインなので、今でもパソコンがあれば視聴が出来ます。

だけど!
もし電車で行ける距離に上映館があるならば是非劇場で観て欲しい!!

だってせっかくもぎ取った劇場公開なのだから!!
『ヒックとドラゴン2』『22ジャンプ・ストリート』も劇場公開が決まっていない状態で、今作はとても恵まれた状況なのだから!!

見逃さない手はない!!
劇場が最寄りにある人はね!!



<あらすじ>
人間とマペット(操り人形)が共存する世界を舞台に描き、2011年・第84回アカデミー賞で歌曲賞を受賞したミュージカルコメディ「ザ・マペッツ」のシリーズ第2作。ロシアの刑務所から凶悪なカエルのゴンゾが脱走し、人々を恐怖に陥れていた。一方、再び落ち目になりつつあった「ザ・マペッツ」の面々は、敏腕プロモーターのドミニク・バジーの提案で、カーミットを座長にワールドツアーの真っ最中。そんなある日、町に出たカーミットは、自分と瓜二つのゴンゾにはめられ、逮捕されてしまう。ゴンゾはカーミットになりすましてザ・マペッツに潜り込み、世界を股にかけた恐ろしい計画を進行させるが……。トム・ヒドルストン、クロエ・グレース・モレッツ、セリーヌ・ディオン、レディー・ガガら、世界の人気スターやアーティストが豪華カメオ出演。
映画.comより




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