『るろうに剣心 伝説の最期編』
2014/日本 135分
監督:大友啓史
脚本:藤井清美
大友啓史
製作:上木則安
畠中達郎 他
製作総指揮:ウィリアム・アイアトン
音楽:佐藤直紀
原作:和月伸宏「るろうに剣心 -明治剣客浪漫潭」
キャスト:佐藤健
武井咲
藤原竜也
伊勢谷友介 他
60点
”アクション最高その他ダメ(2回目)”
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』を観に行った9月13日。
その日は祖母も一緒に映画を観に行ってまして、福山雅治ファンの祖母は違うスクリーンにて同じ日に封切られた『るろうに剣心 伝説の最期篇』を鑑賞。
その夜、それぞれ観た映画の話になった訳ですが、しきりに祖母が伊藤博文がズルい伊藤博文がズルいと言うんですよ。
おばあちゃん、自分も観るつもりだしそこ重要そうだからネタバレなしね、と言うと、ああそうかとその話は流れた訳ですが、いざ観てみると本当にズルいのなんのって。
それ以上にその珍シーンぶりにお口あんぐり。
凄まじいですねこりゃ。
圧倒的なポテンシャルを秘めながら、不完全燃焼に終わってしまった悲劇。
本当に本当に勿体ない…!!
某映画情報サイトだとやたらと評価が高くて、星取り評で皆星五つを付けてるんですよ。
肝心の評論を読むと納得は出来るんですが、その他の部分に目をつむり過ぎです。
諸手を上げて評価することはどうしても出来ない。
ただ、アクションはとんでもないことになってます。
これも確か。
日本の漫画、アニメの実写映画化の歴史を見るに、過去に大火傷を負った映画達と比べてしまえばもの凄く愛を持って作られた幸福な作品だと言うことも確か。
ただこれはひとえにアクション監督谷垣氏の功績と、それに120%応えたキャスト陣の努力の賜物です。
そのアクションシーンの熱いものを削ぐようなことをした大友監督。
ちょっとそこに正座なさい。
本当にアクションシーンは素晴らしい。
特に今作だと剣心対蒼紫戦。
あのスピードこそまさに神速の抜刀術…!!
狭い通路で対峙した剣心と蒼紫。
剣心の剣は抜刀術なので、狭い場所だと圧倒的に不利。
そこで蒼紫の斬撃を後ろに流しつつ後退、広い場所へ移動。
そこで刀を向けて啖呵を切り、神速の抜刀術炸裂。
修行後の状態でもあるので終止剣心が蒼紫をリード。
蒼紫をこてんぱんにのしちゃうんです。
それぞれの動き、行動、戦い方にちゃんと意味があって、戦いの組み方が凄いロジカル。
これらをちゃんとアクションのみで見せてるから説得力も抜群。
カメラの動きも素晴らしくて、広い場所で剣を交える剣心と蒼紫を俯瞰で撮るショットに。そこから剣の振りがゆっくりになった所でカメラが一旦上がって広角になって、剣のスピードが再び早くなると同時にカメラも下がる。
この戦いの緩急に合わせたカメラワーク、気持ちいい!!
工夫の痕が随所に見られた本当に素晴らしい高速チャンバラでした。
何度でも何度でも観たいです。
アクション監督の谷垣さん、本当に素晴らしい仕事です。
原作ファンの一人としてお礼が言いたいくらいです。
ありがとうございました!!!!
谷垣さん、Twitterをやられているそうなのでちょっと拝見してみると、思った通りアクションに非常にロジカルな考えをお持ちのようで、一部ツイートを抜粋しますと。
1vs4の戦いも「戦い方のストーリー」があってですね。最初はみんなバラバラにかかり→かなわない。次に「せーの!」で同時にかかり→でもかなわない。それで、4人のフォーメーションというかチームワークで戦う、って流れ。まあ、それでもかなわないんだがw
— 谷垣健治 (@KenjiTanigaki) 2014, 9月 23
ラスト1vs4の何が難しいって、志々雄にかかっていく4人はアクションの技術的に言うと、志々雄がいわゆる「芯」であるのに対し「カラミ」に近いポジション。攻撃のタイミングが早くても遅くてもダメだし、棒立ちで待ってたらおかしいし。普段やってることとは別個の技術。さあ、劇場へGo!
— 谷垣健治 (@KenjiTanigaki) 2014, 10月 1
背筋が伸びる思いです。
もう一度お礼を言います。
ありがとうございました…!!!!
このアクションを生身で演じた役者陣の方々も素晴らしい。
佐藤健さん。
あなたはもう剣心です。
藤原竜也さん。
観る前に文句垂れてすみませんでした。
あなたはもう志々雄真実です。
神木隆之介さん。
あなたはもう瀬田宗次郎にしか見えません。
最高にハマってました。
伊勢谷友介さんも、青木崇高さんも皆さん素晴らしい。
さあ大友さんちょっとこっちに来なさい。
『ダークナイト』がやりたいんなら他所でやんな!!
折角アクションが絶好調なのに、その熱いものをわざわざ削ぐ様な話運び、脚本、本末転倒もいいとこ。
致命的なのは、志々雄真実一派が政府転覆を狙える程強そうには全く見えないこと。
戦艦を海にぷかぷか浮かべて、小さな漁村を砲撃してそれで政府を脅そうってあなたね、無理があるにも程があるよ。
だから、剣心がわざわざ乗り出さなくても、明治政府が、もっと言うとあの大砲一つでどうにでもなったでしょと思わずにはいられない。
やはり剣心しか志々雄は倒せない…!!
こういう追い込みがあればよりラストの対決だって燃えられるのに。
原作に無い斬首のシーンも全くいらない。
前半の修行シーンで剣心に過去を振り返らせておいてまたしつこく同じことをやる不細工さ。
これは思うに、大友さんが『ダークナイト・ライジング』的な、ヒーローが追われる身になる展開をやりたかったのでしょう。
ただ残念ながら完全なる蛇足。
全カットでダイエットの余地あり。
そう言えば『ダークナイト』の香港のシーン。
あれも完全に蛇足でしたね。
そしてあれはノーランが『007 サンダーボール作戦』をマネしたくて撮ったシーン。
シーンそのものの存在意義までマネするとはいやはやなんとも。
そして一番お口あんぐりだったシーンが伊藤博文の敬礼のシーンですよ。
状況を説明すると、志々雄の言いなりになった伊藤博文は中盤に剣心を指名手配にして、それが斬首のシーンに。
その後剣心達が志々雄のいる戦艦に乗り込んでも、味方がいるにも関わらず勝手に砲撃を始めたりと好き勝手やってた訳です。
そんな伊藤博文が、戦いを終えた剣心達の元に政府高官を引き連れてぞろぞろやって来て、一通り何か言った後に、こう言うんです。
「侍達に、敬礼!!」と。
すると、なんとも大仰なメインテーマがドカーンと流れ出すんです。
ん????
これ皮肉なのか、本当にカッコいいシーンとして撮っているのか、どっちなのか。
演出の意図が全く掴めない。
話の流れだと完全に皮肉めいたシーン。
ただ演出は良さげなイケてるシーン風味。
役者さん達の顔は伊藤博文に完全に引いてる顔をしてるんです。
だから台本には、”調子の良い伊藤を憎々しげな目で見つめる剣心”みたいなことが書いてあるはずなんです。
でないと話の流れとしておかしいですから。
でもそれが編集の段階でちぐはぐなことになってる。
このシーンは本当に何をやろうとしたのか意味が分からないです。
これが戦いの最後なんですから、締まらないなぁ本当に。
他にも、誰も知らないはずの剣心の修行場所に操が現れて、どこで場所を知ったのかと問う剣心に、そんなことより、と強引に話を持って行く操。一作目と全く同じ戦い方で手抜きとしか思えない、やたら狭い場所で汚れる左之助戦。
戦いの直前に説明台詞で済まされる宗次郎の過去と、その説明の不十分さに発狂する理由が分からずただの頭のおかしい子になってた瀬田宗次郎等々、挙げ出すとキリが無い程粗だらけ。
宗次郎戦に関しては前作で剣心を追い詰めた張本人なんだから、もっとじっくりキャラを掘り下げるべき。
全体に大友演出は気取ってる割にやってることが間抜けなんですよ。
観るべきかどうかと聞かれたら、間違いなく観るべきです。
本気度100%の素晴らしい超高速チャンバラを観ることが出来ます。
ラストでは珍シーンも観れてお口あんぐりできますし。
最後にもう一度谷垣さんにお礼を言いたいと思います。
本当にありがとうございました。
ぜひ谷垣氏と佐藤健”剣心”はそのままに、『追憶篇』を実写化してもらいたい。
まだ剣心が人斬りだった時の、血なまぐさい殺陣が観てみたい。
もちろん監督は交代で。
本当にありがとうございました。
ぜひ谷垣氏と佐藤健”剣心”はそのままに、『追憶篇』を実写化してもらいたい。
まだ剣心が人斬りだった時の、血なまぐさい殺陣が観てみたい。
もちろん監督は交代で。
<あらすじ>
日本征服を狙う志々雄真実を止めようと戦う緋村剣心だが、志々雄配下の瀬田宗次郎に逆刃刀を折られてしまう。かつてない窮地に立たされた剣心は、志々雄一派に打ち勝つため、自ら壮絶な道を選ぶ。主演の佐藤を筆頭に、武井咲、青木崇高、蒼井優ら前作で話題となったキャスト陣も再結集。「龍馬伝」で大森監督や佐藤ともタッグを組んだ福山雅治が、剣心の師匠・比古清十郎を演じ、2部作を通じて出演している。
映画.comより
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